HARU

THE YELLOW MONKEYの最新ビデオ「Balloon Balloon」が公開された。同曲は、THE YELLOW MONKEYが実に19年振りにリリースした9作目のオリジナルアルバム9999の収録曲だ。彼らが今年4月から9月まで開催した大規模全国ツアーTHE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL->において、シングルカットされていないにも関わらずライブで盛り上がる人気曲となっていたため、映像を作ってみようと制作が決まったという。 若手映像作家HARUが監督を務めた今回の映像は、そのTHE YELLOW MONKEY然とした曲調とは裏腹に、ポップカラフルで、それでいてどこかクスッと笑えるコミカルささえ感じられる内容に。従来のTHE YELLOW MONKEYイメージを覆すような作品となっている。バンド自体の出演はなく、ショッピングモールを舞台にした女優の長井短が不思議なダンスを踊るという鮮烈な映像表現にも注目しながら、まずは映像を観てみてほしい。

今回がミュージックビデオ初監督となったHARUは、名門ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチン(Central Saint Martins)(以下、セントマ)を卒業した、という経歴以外、その素性も明らかになっていない。一体どのような人物で、どんな意図の下でこのMVを制作したのか。HARU自身に話を聞いた。

HARU

Interview:HARU

━━HARUさんは、今回担当したTHE YELLOW MONKEY「Balloon Balloon」のインスパイアード・ビデオが初の音楽映像監督作品となります。そこで、まずは簡単な経歴から教えてください。 日本の大学を卒業した後、思うところがあってロンドンのセントマに入り直して、グラフィックデザインを学びました。2010年に卒業してからはしばらくロンドングラフィックデザインイラストレーションの仕事をしていたのですが、映像の仕事に携わりたく日本に帰国しました。 ━━芸術系の有名大学はイギリス以外にも色々な国にありますが、その中でロンドンのセントマを選んだのはどうしてでしょうか?イギリスに留学した経験があって、相談した際、ブリティッシュイングリッシュアメリカン・イングリッシュなら前者の方が良いんじゃないと言われたこと。あとは、ロンドンセントマニューヨークパーソンズに行くかで悩んでいた時、知人から、ヨーロッパには歴史があり、多くの歴史的芸術作品や建築物と触れ合えるし、セントマはクラシカルだから、基礎からアートやデザインを学びたいならセントマの方が良いのでは、とアドバイスがあったことなどもあり、いろいろと考えた結果、最終的にセントマを選びました。 ━━セントマで学んだことで、今の仕事に生きている感覚というものは何かありますか? 業務的な話にはなりますが、リサーチ力は学んだと思います。自分はプロジェクトを組む時に、かなり入念にリサーチをして、それをレファレンスにサンプルとして落とし込むようにしています。他の美大出身の人と一緒に仕事をしていても、その辺りをかなり念入りにやる方なのかなとは思います。 ━━色彩感覚やデザインといった方面では影響はあると思いますか? セントマはファッションが強い大学なので、周りにファッション専攻の人たちも多かったんです。そういった影響もあると思いますね。あとは個人的に、プロジェクトに関係のないモノを掘る癖があって、建築、スカルプチャー、ファインアート、プロダクト、石、植物、自分で集めてきたコケなどの自然物からインスピレーションを得ることも多々あります。色味とかコンビネーションに関しては、むしろそういったところからヒントを得ることが多いですね。 ━━セントマで学びロンドンで働いた後、日本に帰国することにした理由は? 当時ロンドンではグラフィック関係の仕事をしていたんですが、映像業界で働きたいと思ってのことでした。ただ、営業の仕方もまったく分かっていなかったので、帰国当時は自分の好きなディレクターさんのところに直接メールを送ったりしていました。そんなことをしているうちに、グラフィックの依頼が来るようになり、フリーランスで一年半ほど仕事をして、その繋がりでご縁のあった会社で働かせていただくことになったんです。そこで5年ほど働いていたんですが、広告・CM媒体の案件が多く、やはりミュージックビデオの仕事をしたいという希望があったため、そちらの方面にアプライするようになりました。 ━━映像業界でも、特にミュージックビデオに強い希望を持ったのは何故でしょうか? すごく単純なんですけど、ミシェル・ゴンドリースパイク・ジョーンズビデオを観て、こういう世界観を作れるようになりたいと思ったのがきっかけですね。映像でしかできないギミックや動くことの面白さに惹かれたのが一番の理由です。

━━今回、その希望が叶って監督を務めることになりました。THE YELLOW MONKEYの映像を担当することになった経緯を教えてください。 もともと、今回お話をいただいた株式会社コエの代表である関和亮さんとは、コエ設立前にミュージックビデオ撮影の見学に行かせて頂いたりと、少しご縁があったんです。そこでコエにアプライしたところ、一緒に働かせていただくこととなりまして。その時期にちょうどTHE YELLOW MONKEYの新しい映像をコエが受けるという話があり、企画を出したところ自分の案が採用され、監督することになりました。 ━━今回はTHE YELLOW MONKEY側から、これまでのTHE YELLOW MONKEYイメージを一新するようなビデオを作りたいという希望があり、HARUさんの案が採用されたそうですね。 自分は広告の仕事に携わっていたので、そこにはマーケティング的な考えもありました。今までにない客層に向けて広告を打ち出し、新しい顧客層を広げるといった方式で、従来のTHE YELLOW MONKEYとは全くイメージの異なるビデオを作ろうと。THE YELLOW MONKEYには、ロックカッコいい、という確固たるイメージがありますから、全く反対の方向から攻めることで今までにない層にまで響くのではないかと考えたんです。 ━━マーケティング的な思考もあったとは言え、出来上がったビデオを見ると、HARUさんのカラーアイデアが全面に出ているように思います。 今回バンドの色に合わせなくていいとのことだったので、せっかくいただいたチャンスだし自分の好きなテイストバンドイメージに敢えて合わせずやってみようと思いました。ずっとナンセンスなものを作りたい、皆が見てポカンとするようなものを作りたいという思いがあったので、このチャンスに自分のやりたいアイデアを詰め込もうと。 また、個人的にダンスがすごく好きで、中でも本気のダンスというよりはシュールダンスに惹かれるんです。たぶん、踊るとか歌うという行為は、人間のプリミティヴな表現だから惹かれるんでしょうね。ナンセンスで、シュールで、よく分からないけど何か笑えるような映像表現という意味では、今回の映像には自分がやってみたかったことを詰め込めたと思いますね。

HARU

━━今回の制作にあたって、HARUさんからは3つの企画案を提示されたそうですね。その中から、今の案になった経緯を教えてください。 こちらから提案した企画案①は、不思議な世界観をもった人物たちのゆるいポージング/ダンスで構成されたもの。はマネキンと風船人間がマジシャンの手品を観るというストーリーのもの。グラフィックと映像ならではのギミックを使ったものでした。その中で、③の案は時間的な制約で制作が難しいという話になり、①と②で悩んだ結果、その折衷案のような形になりました。THE YELLOW MONKEYメンバーさんが②のマネキンのアイデアを面白いとおっしゃっていたのを聞いたので、そのアイデアを活かしながら、①の企画に登場する男性2人をマネキンにして、三角関係の恋模様みたいな裏ストーリーを出せるようにしようと。

HARU

━━”Balloon Balloon”の歌詞や曲調からは、どのようなインスピレーションを受けましたか? 歌謡曲的な昭和テイストというか、メランコリックイメージでした。はじめは曲調に寄せた方が良いのかなと思ったんですけど、あまり寄せて欲しくないというオーダーもあったので、曲調に関してはあまり意識せずに作りました。ただ、歌詞が恋模様を描いたような内容だったので、自分の方で三角関係という脚色をして、「燃えたぎる恋で、風船のように爆発してしまう」というような裏テーマは設定していました。 ━━今回の映像では、長井短さんが主演を務めています。長井さんにオファーした理由を教えて下さい。 実は、今回提案した案①に関しては、最初から長井さんを想定して考えていたんです。企画を考えているときに同時にモデルのことも考え始めて、同僚に話したところ、その同僚と長井短さんが同じ高校だという話になったんです。学年も違うしすごく近しい存在というわけではなかったそうなんですが、もしかしたら今回の企画に長井さんが合うのではないか、と写真を見せてくれて。普段、あんまりテレビを見ないので長井さんが有名な方だと知らなかったんですけど、すごく個性的な印象があって、自分がやりたいことに合うなと直感で感じたのがきっかけです。

HARU
HARU

━━実際にお仕事されて、長井さんの印象はどうでしたか? カット数が多すぎて個人的にはあまりしゃべれなかったんですけど、すごく楽しかったです。撮影の合間に、色んな面白いポーズをして、マネージャーさんに写真を撮ってもらっているのを見て、この方はいろんなことが出来るんだなって思いました。撮影が始まってからも、さっきやっていたのと同じポーズできますか?ってお願いしたりして。最初はコレオグラファーの方と相談しながらやっていたんですけど、後々には自由な演技も多くなっていきましたね。 ━━男性のマネキン2体は、片方がカジュアルファッション、もう一方がキレイ目なファッションを着ていて、対照的な設定がありそうですね。 そうです。実は名前も決めていて、若めの今どき男子はロニー、かっちりしたインテリ風はケンちゃんと呼んでいました。ラストカットをどっちのマネキンと撮るか、こちらでは決めていなかったんですが、長井さんに「どっちと撮りたい?」って聞いたら「ケンちゃん!」って言ってくれたので、最終的にケンちゃんでラストカットになりました。

HARU
HARU

━━今回の映像は、最初と最後が繋がって、ループできるようになっていますね。このようにしたのは何故ですか? 「Balloon Balloon」という曲自体がループというか、リフレインが主になっているので、最初と最後が繋がるようにしました。繰り返し、ループして映像も音楽も楽しんでもらえるといいな、と。ミュージックビデオって、すごいファンであっても最初から最後まで通して繰り返し見ることは少ないような気がするんです。でも、このビデオカット数が多いから飽きずに、ずっと楽しめるんじゃないかと思います。曲も楽しんでもらいながら、次に何が出てくるか、映像でも楽しんでもらえたら良いですね。 ━━最後に、今回が初監督となりましたが、今後一緒に仕事してみたいアーティストバンドを教えてください。 THE YELLOW MONKEYもそうだったんですが、世界観がすでに構築されていて、お互いの世界観を出し合って相乗効果を作れそうな人とやってみたいですね。あとは、海外でもビョークBjörkは憧れの存在なので、いつか一緒に仕事してみたいです。

HARU

Text by 青山晃大

HARU

HARU Central Saint Martins BA Graphic Design Course 卒業。 ロンドンにてグラフィックデザイナーイラストレーターとして働いたのち、日本へ帰国。 帰国後は、広告・CM・TV・PV等の企画やデザイン、モーショングラフィックなどの映像制作全般にアートディレクター/ディレクターとして携わる。 企画からブランディンググラフィックデザインイラストレーション・実写映像・モーショングラフィックデザイン・ファブリックデザインなど様々な分野で制作活動を続ける。

HARU

THE YELLOW MONKEY 吉井和哉、菊地英昭、廣瀬洋一、菊地英二のラインナップで1989年12月から活動。 グラムロックルーツに持つ独自のグラマラスなスタイルで人気を博し、1992年5月メジャーデビュー ライブの動員、CD売上ともに90年代の日本の音楽シーンを代表するロックバンドとなるも、2001年1月8日東京ドームでの公演終了後、活動を休止。 その後も休止状態のまま、2004年に解散。 2016年1月8日、再集結を発表。 22万人を動員した全国アリーナツアーを皮切りに、フェスへの参加や全国ホールツアー、15年ぶりの新曲リリースなど精力的に活動し、大晦日にはNHK紅白歌合戦への初出場を果たす。 2017年5月にはベストアルバムの新録盤をリリース。その後、3ヶ月連続配信リリースや再集結の一年間を追ったドキュメンタリー映画「オトトキ」の公開などを経て、12月に17年ぶりとなる東京ドーム公演を開催。2018年11月、約1年ぶりとなる新曲『天道虫』を配信リリース。同日、全シングルアルバムの全世界配信を開始。 2019年1月、先行配信シングルI don’t know』リリースを経て、4月17日に19年ぶり9枚目となるオリジナルアルバム9999』をリリース。同作を携え、4月27日より全国アリーナツアーを開催。そして、結成30周年を迎える 2019年12月28日ナゴヤドーム公演を皮切りに、キャリア初となるドームツアーの開催が決定している。 HPTwitterInstagramFacebookLINEYouTube

EVENT INFORMATION

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR

2019.12.28(土) OPEN 15:00START 17:00 ナゴヤドーム

2020.02.11(火・祝) OPEN 15:00START 17:00 京セラドーム大阪

2020.04.04(土) OPEN 16:00START 18:00 東京ドーム

2020.04.05(日) OPEN 15:00START 17:00 東京ドーム

指定席:¥9,900(税込) ※6歳以上チケットが必要(但し、6歳未満でも座席が必要な場合はチケット必要)

DOME TOUR特設サイト オフィシャルサイト

Copyright (C) Qetic Inc. All rights reserved.