時代がどれだけ激しいスピードで移り変わろうとも、この男の存在感だけは不変でした。野球評論家張本勲さん、79歳のことです。

「張本勲対ダルビッシュ有」


 スポーツ新聞社のウェブニュース担当者は語気を強め、証言します。

 「今年も張本さんにはPVを稼がせていただきました。本当に感謝しかない。日曜日はどの社もアクセス数が落ちるんですが、『サンデーモーニング』のオンエア後は『張本発言』の文字起こしでめちゃくちゃバズるんです。以前は我々に『テレビでの発言をそのままニュースにしただけで、それでも報道機関か』との批判もありましたけど、ここまで世間でニーズがあるわけですから、そういった議論も影を潜めてしまった。凄いお方ですよ」

 令和元年は「二大バトル」での暴れっぷりが鮮烈でした。まずは「張本勲ダルビッシュ有」。大物同士のマッチアップです。

 事の発端は夏の高校野球岩手大会決勝で、「令和の怪物」こと大船渡高校の佐々木朗希投手(現千葉ロッテマリーンズ)が登板を回避したまま敗退し、最後の夏を終えたことでした。張本さんは7月28日のオンエアで「最近のスポーツ界で私はこれが一番残念だと思いましたよ」「けがを怖がったんじゃ、スポーツやめたほうがいい」と発言しました。

 すると、これを受けて海の向こうからカブスダルビッシュ投手が自身のツイッターに「シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う」と投稿します。ちなみにシェンロンとは、鳥山明さんの漫画「ドラゴンボール」に登場する、あらゆる願いをかなえてくれる竜のことです。

 ウィットに富んだツイートですが、「消して下さい」という言葉の過激さもあってか、世間は騒然としました。

・今すぐ読みたい→
米大統領も怖くない!昭和、平成、令和と最強をキープする張本勲の生き方(https://cocokara-next.com/athlete_celeb/isaoharimoto-way-of-life/)

「張本勲対高野連」

 「張本対ダル」の場外バトルが注目を集めた結果、「佐々木朗希」の名は野球ファンスポーツファンの枠を飛び出し、広く世間一般に知られることになったのです。在京スポーツ紙のデスクはこんな見解を示しています。

 「佐々木君が決勝に投げた結果、僅差で負けて甲子園に行けなくても、ここまでのニュースにはならなかったと思います。『張本対ダル』が話題になったことで、老若男女に『佐々木朗希』の名が刻まれた。二人のハイパーインフルエンサーがガチでバトルを繰り広げたわけですから、PR効果は絶大だったと言えますね」

 師走になってもハリさんの舌鋒は鋭いままです。次に噛みついた相手は日本高野連。12月13日から3日間、プロ経験者が高校生大学生への指導が可能になる「学生野球資格」を回復するために受講が必要な研修会が行われ、元マリナーズ外野手イチロー氏さんらが受講したことについて、番組でこう発言しました。

 「こんなくだらん制度をやめてもらいたい。最高の技術を持った人がアマチュア子ども、技術がまだ足りない未経験者に教えるのに研修、必要なの?」

 最高峰の世界で研鑽を積んできたプロへの敬意が足りない。なぜイチローほどの人間が3日間も拘束され、座学に臨まねばならないのか-。そんな張本発言に正々堂々と反論したのは「高野連のドン」こと田名部和裕理事でした。プロアマの健全化に務めるなど、高野連ひと筋の73歳です。

 「サンデーモーニング」が放映された12月15日の午後、「張本勲」の名前こそ出さなかったものの、報道陣にこう説明したといいます。

 「名だたる名選手に、僕らが教えるということではない。現状を知ってもらおうというものです」

 学生野球を取り巻く現状は以前と大きく変化している。いくら技術力に優れた元プロであっても、教育者として指導の現場の「リアル」を認識した上で、アップデートしてほしい。なるほど、これも一理あります。前述のウェブニュース担当者はこう分析するのです。

 「『張本』だけでPVを持っているのに、これが『バトル勃発』となると一気に数字が跳ね上がります。しかもダルビッシュも高野連も、巨大で強靱です。そういう意味で、張本さんは今でも『現役選手』として“グラウンド”に立ち、ヒットを量産している。『奇跡の79歳』と言えるのではないでしょうか」

 そんなハリさんは2020年6月19日、80歳の「傘寿」を迎えます。アンチの存在も影響力の副産物。いくらシェンロンであろうとも、このコーナーを消し去ることは不可能でしょう。

 ハリさんに、あっぱれ!

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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