12月30日に開幕する“令和初”の第98回全国高校サッカー選手権大会。冬の風物詩に華を添える応援マネージャーは女優の森七菜さんに決まった。
初代の堀北真希さんや新垣結衣さん、広瀬すずさんといった、早々たる歴代のメンバーからわかるように、登竜門的な役割も果たしているマネージャー。前回大会の清原果耶さんの今年の活躍も記憶に新しい。今大会では2016年にデビューし、映画やドラマなどで評価を高め、映画『天気の子』でヒロイン役の声優も務めた森さんとなった。
さらなる飛躍が期待される森さんに大会を控え、意気込みや応援マネージャーの活動を通じて伝えたいこと、今後の夢などを聞いた。
インタビュー=小松春生
写真=山口剛生
―――はじめに、マネージャー就任が決まったときの感想から教えてください。
森七菜(以下、森) すごく嬉しかったです。聞いた瞬間から「やりたいやりたい!」っていう感じでした。選手権マネージャーは、友達と約束していた夢でもあったので、念願でした。私は今、高校3年生なので、高校最後の年に選んでいただけて。正直、やりたいけど無理なんじゃないかなって、半ば諦めかけていたところもありました。なので、すごく喜びが大きかったです。
―――決定後から心境に変化はありましたか?
森 自覚が湧いてきました。サッカーについてたくさん学びたいです。天皇杯も見に行きたいですし。正直、まだサッカーのルールなども詳しくないですが、たくさん勉強して開会式を迎えたいです。もっと奥深く試合を見ることもできると思いますし、興味もあります。
―――実際に地区大会決勝を見に行かれたり、出場校への取材に行かれたりされています。選手たちの印象はいかがでしょう。
森 皆さん、オンとオフの切り替えがすごかったです。お話をうかがっているときは楽しそうに話していただいたんですが、試合や練習になると、いつのまにかすごく真剣な顔に変わっていて、びっくりしました。切り替えは私もお芝居をしているときに大事にしたいと思っているんですが、苦手な方なので見習わないといけないなって。同世代として皆さんのことをすごくリスペクトしますし、間近で体感できたことが嬉しかったです。
―――森さんは前回大会も試合をご覧になっていたそうですね。サッカーという競技の印象はいかがですか?
森 おもしろいです。先日も応援歌を歌う三阪咲さんやスタッフの皆さんと試合を見て、隣で解説していただいて。私が考えていたよりもずっと奥深くて楽しいんですよね。ゴールを目指していく中で、美しさがあったり泥臭いプレーがあったり、いろいろなものがあると改めて感じました。
―――泥臭さという点ではプレーの激しさはいかがでしたか? 同年代の選手がガンガンぶつかりあったり。
森 すごく感じました。ゴールキーパーが一回転して頭から落ちてしまったシーンを実際目の当りにしましたし、もしかしたら一生を背負うケガをしてしまうかもしれない。自分の人生に試合をかけている責任感、自分に対しての責任感があるんだろうなと。
―――選手以外はどうでしたか? スタジアムの雰囲気から感じたこともあると思います。
森 応援する人の力ってすごいんだって思いました。心なしか勝った学校の応援が大きかったようにも感じたんです。応援が力になっているんだなって。試合中も得点が決まると選手が応援席に駆け寄っていったり、コミュニケーションがお互いの心を震わせていると感じました。別の試合では大差をつけた学校の応援席の方たちが、緊張感を緩めるとまずいと感じていたのか、相手に負けない応援をしていたことが、すごく感動しました。応援の持つ意味の大きさを感じながら、皆さん応援しているんだと改めてわかって、私も応援マネージャーとしても心が強く持てましたし、先頭で引っ張る立場になれたことを誇りに思いました。
◆■マネージャーさんのイメージはテキパキ動いてスタイリッシュ―――運動部のマネージャーのイメージはいかがでしょう。
森 髪が長くてポニーテールで、首まで詰まったジャージを着て、スラリとしたスタイルで駆け抜ける美少女みたいなイメージがあります(笑)。私の友達がサッカー部のマネージャーをしているんですが、まさしくそんな感じの子で。いつもテキパキ動いているし、すごくスタイリッシュで細くて可愛い子なんです。
―――試合を見るなどして、イメージは変わりましたか?
森 ドラマや映画で見るマネージャーさんはじっと待っているイメージが強かったんですけど、実際は試合中も裏でたくさん働いていらっしゃいました。ドリンクを用意したり、ケガをしてしまった選手の面倒をみたりして休む時間がない中、試合の結果も気になるから、応援も全力でしていて。重大な仕事なんだと改めて感じました。
―――森さんは現役の高校3年生ですが、高校生活では先輩・後輩の関係も大切です。
森 私は弟がいるので、年下の子が頑張っている姿を見ると、すぐ感動しちゃうんです。年下の子もこんなに頑張っているから私も頑張ろうって。出場校の取材中では、ストレッチや会話をしているときは先輩と後輩関係なく、皆さん笑顔が多かったです。年齢に関わらず、いい意味で先輩・後輩の関係がないところがいいんだなって思いました。
―――ちなみに、ご自身はどんな高校生ですか?
森 中学では後輩とよく話していました。喋りかけに行ったり、ドッキリをかけて驚かせたり。そういうのが好きなんです(笑)。高校生としてはどういう子なんだろう?体育祭とか文化祭は頑張りますね。文化祭で劇をしたときは総監督をしたんです。そのときは私ともう一人、監督がいたんですけど、その子はどちらかというと怒るタイプで、私は怒られた子の心の傷に絆創膏を貼りに行く役(笑)。チームワークもよくて、すごく楽しかったです。
―――得する役回りでしたね(笑)。
森 そうですね(笑)。
―――部活動は何を?
森 中学生の時は美術部に入っていました。部員同士も仲がよくて、よく一緒にご飯を食べたりしていましたね。
―――運動部に入ろうと思ったことは?
森 一度もないんです。でも、運動は好きなんです。私、気まぐれなので何かを「やりたい」と思ったときにやりたい派で。切り替えが苦手というお話をしましたけど、「今日はやるぞ!」がなかなかできなくて。そういう人こそ、運動部に入って学ばなければいけないとも思うんですけど…。だから、今回サッカー部の皆さんを見ていて、よりすごいなって思いました。運動部をやっていない人から見てのリスペクトの気持ちが強いです。
◆■一番大切にしたいことは“心”―――チームのマネージャーではなく、大会全体の応援マネージャーということは難しさもあります。大会中、マネージャーとしてどういった振る舞いをしていきたいですか?
森 応援マネージャーと言いつつ、私は応援団長のような役目があるのかなと思っています。いざ応援するときは大きな声で思いをまっすぐ選手の皆さんに伝えて、頑張ってもらえるような応援を一番先頭に立って、最初にできる人になりたいです。
―――選手を応援して引っ張りたい気持ちがある一方で、マネージャーとしての経験を今後にどう生かしていきたいですか?
森 選手たちの表情、気持ちをしっかりと受け止めたいです。選手権はドラマや映画では作れない、リアルな物語なので、間近で貴重な経験をさせていただきます。“心”は私が一番大切にしたいと思っていることなので、いろいろと学び、吸収していきたいです。まだ大会前ですが、サッカーは楽しいものとすごく感じています。これを機にサッカーをもっと好きになれたらいいなと思います。そして、私もいろいろな人に発信をして、懸け橋になりたいです。
―――森さんご自身は2019年、女優としてはもちろん、『天気の子』では声優に挑戦し、さらにはアーティスト活動も始めました。どんな1年でしたか?
森 すごく楽しかったです。毎日楽しくて、毎日会う人も違って、やることも新しいことばかりで。応援マネージャーもそうですし、やりたいことがたくさんできて、毎日がすごく充実していました。だからこそ、時が経つのは早かったですけど、思い返してみるとすごく濃いし、思い出すことがたくさんありすぎて。2020年へのハードルがすごく高まっていると思っています。
いろいろなことをやるにつれて、喜んでいただける方も増えて。「これが見てみたい」とか「見てみたかったからよかった」と言っていただけて、私が誰かの願望になっていることが、すごくありがたいことだなと思いました。私が夢を叶えることによって、誰かが喜んでいただけることがすごく嬉しくて。2020年にそれが一つでも増えたらいいなと思います。
―――その2020年はどういう年にしたいですか?
森 2019年はたくさん見ていただける年になったので、2020年は見ていただけることに少しは慣れて、見ていただける方たちに恩返しができる年になるといいなと思ってます。あと、来年の大会の応援歌もやりたいなって思っているので、よろしくお願いします(笑)。
―――最後に大会への意気込みと選手や関わる人たちへの応援マネージャーとしてのメッセージをお願いします。
森 私は大会に携わる皆さんの応援マネージャーなので、直接お水を渡したりすることはできませんけど、そのくらい力を持てるような応援を頑張っていきます。そして、年末年始にたくさんの方の楽しみとなれるように、その懸け橋として頑張っていくことが私の一番の使命なので、この冬は熱く頑張っていきたいです。選手の皆さんは、年末年始からすごく熱い戦いが始まりますが、無理はしてしまうと思いますが、お体にだけは気をつけて、応援していますので、一緒に頑張りましょう。そして応援する皆さんは、声を枯らすくらい私と一緒に応援を頑張りましょう!
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