2019年12月17日から「週刊文春デジタル」が報じている、医師でタレントの木下博勝氏(51)の問題。当時働いていた「社団医療法人 颯心会」の従業員の告発に加えて暴言音声などから、木下氏のパワーハラスメントや、プロレスラーで妻のジャガー横田(58)とともに同会に対して過剰に金銭を要求していたことが明らかになっている。

 木下氏は数々の疑惑に対しての見解を記した文書を、メディア各社に送付。「私の発言で間違いありません」と認め、告発者の1人で准看護師である束原康寛氏に対して「かけた言葉の中には、行き過ぎた表現もありました。一人の人間として反省しております」と謝罪した。しかし一方で、「事実と異なる点が多数あることについては申し添えておきます」ともしている。

 そのひとつが颯心会からの電話呼び出しである“オンコール”を、木下氏が複数回、断ったという病院側の主張だろう。木下氏は「週刊文春デジタル」の取材に対し、文書で否定している。オンコールとは病院から電話連絡があればすぐに対応し、場合によっては病院に駆けつけなければならない医師の勤務形態のことだ。

【困ったらすぐ電話 24時間緊急コール

 颯心会のクリアファイルには【困ったらすぐ電話 24時間緊急コール】と謳われている。中央には、満面の笑みの木下氏の全身写真が印刷されている。

 告発者の1人で、颯心会の管理職に就くBさんはこう主張していた。

「オンコールではその日に患者さんを診た医師が駆けつけるルールなのですが、木下先生は緊急の場合でも『看護師に行かせろよ、わざわざおれが行く必要あるか』などと言って行こうとしてくれないんです。僕らがなんとか頼み込んで行ってもらうのですが、患者さんの前でも不機嫌さを隠すことはなくずっと無愛想なまま。患者さんに聴診器すら当てずに帰ることもありました」

 対して木下氏はこのように回答している。

《オンコールの依頼は一度だけありました。何故僕に電話が来るのか不思議でした。その時は19時ごろだったように記憶しておりますが、事務長のB君(回答では実名)から依頼の電話がありましたが、確か、何かの会の幹事をしていたので、悪いけれどもすぐには行けない。遅くであれば対応できるかもしれない旨を伝えた事はありました》

 Bさんは「依頼は複数回」、木下氏は「依頼は1回」と異なる主張をしている。

「今は赤坂で飲んでいるから行けない」

 ただ、記者が気になったのは、Bさんが繰り返し口にしていた次の証言だ。

「特に夜間のオンコールには頑として対応しない。木下先生が担当している患者さんの容体が急変して電話をしても、『今は赤坂で飲んでいるから行けない』と1度も対応したことはありませんでした」

「木下先生からは『赤坂で飲んでいる』ことを理由に(オンコールを)複数回断られています。赤坂には木下先生が頻繁に通っている店があり、かなり入れ込んでいるようでした」

 さっそく取材班は木下氏が足繁く通っていたという、東京・赤坂の外国人クラブ「Z」を取材した。すると、木下氏はつい最近までその店の常連であったことは、すぐに確認できた。そして、そこでも木下氏は”別の問題”を起こしていた。

 Zの薄暗い店内にはカウンター数席と個室。チャージは1人2万円、平均単価は10万円をくだらない。木下氏はこの高級外国人クラブの常連で、多い時には週1回のペースで通っていたという。木下氏は決まって個室を利用していた。

 クラブの関係者が語る。

木下さんは毎週水曜日に来店されることが多かった。よく覚えています。水曜日は憂鬱でした。木下先生は毎回、体格が良く強面の方々といらっしゃるので……」

 まるで木下氏を上客とも思っていないような口ぶりだ。聞けば、木下氏はこの店でトラブルを起こし、事実上“出禁”処分になっているという。その理由は女性たちへの度を超したボディタッチやキスの強要だ。

木下さんは必ず個室で飲まれるのですが、ボーイが接客に行くと、『早く出てけよ』『早く閉めろよ、芸能人なんだから見られたら困るだろ!』と強めの口調で言われたこともありました。そのため個室内の様子を確認することができず、女の子たちの様子もなかなか知ることができませんでした」(同前)

木下氏は太ももが密着するほど近くに座り……

 実は、この隠れ個室で木下氏を接客した女性従業員が“被害”に遭い、次々に店を辞めていったのだという。その1人が元従業員のA子さんだ。

「今年6月にクラブで働き始めたのですが、約3カ月で辞めました。その1番の原因が木下先生です。入店して初めて接客したのが木下先生だったのです」(A子さん)

 木下氏はその日から立て続けに5、6回、来店するたびにA子さんを指名。太ももが密着するほどA子さんの近くに座り、ためらいなくA子さんの体に触れてきたという。

「断ったり嫌がったりしても、無理やり肩を抱いて強引にキスをしてくるんです。顔を背けてもダメで、止めてくれませんでした。さらにはスカートの中に手を入れて、太ももや下着まで触られることも頻繁にありました。個室なのでボーイさんの助けも呼べず、されるがままでいるしかないことが辛くて、お店を辞めることを決めました」(同前)

木下氏のセクハラ行為が下原因で帰国してしまった留学生も

 木下氏のセクハラ行為が原因でクラブを辞めた女性従業員はA子さんの他にもいるという。

「約半年で3人の女の子が、木下先生が原因だと言って辞めてしまいました。このクラブで働いている女の子はほとんどが外国人です。日本語がまだ堪能ではない子も多く、木下先生のセクハラを強く断れない。木下先生は、それも狙っていたのかもしれません。中には日本語学校に通っていた留学生もいたのですが、その子は日本語学校も辞めて母国に帰ってしまい、連絡が取れなくなってしまいました」(前出・クラブ関係者)

 

 結局、目に余る行為が続いたため、2019年10月、店側が木下氏に通告をした。

「『これ以上女の子からクレームなどが来ると困ります』と伝えると、『ああ、わかったよ』と言ったきり、それ以降は1度も来店されていません」(同前)

「オンコールをこれほど軽く考えていたことに驚きました」

 オンコール拒否の真偽は釈然としないが、木下氏が赤坂のクラブでかなり頻繁に豪遊していた事実は把握できた。こうした取材結果について、告発者のBさんは記者に対し、ポツリとこう言った。

「木下先生がオンコールをこれほど軽く考えていたことに驚きました」 

 これらの事実に対して、木下氏に事実確認を求めたが、代理人弁護士を通して、文書でこう回答した。

「記憶にある限り、そのような事実はありません。同席者にも確認しました」

 人の命を預かる尊い仕事だからこそ、医師は人々から尊敬を集め、収入も高い。しかし、その責任は重大だ。病院から緊急対応を求める電話がかかってきた際に、ナイトクラブで遊興していることを理由に、その助けを複数回にわたり断っていたとしたら、それは医師としての資質を問われる事由に他ならないだろう。

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル

木下氏 ©AFLO