モンテレイを率いるアントニオ・モハメド監督が2006年自動車事故で亡くした当時9歳の愛息ファリド君との約束を遂に果たした。メキシコ版『GOAL』が伝えている。

モンテレイは29日、リーガMXのリギージャ決勝、クラブ・アメリカとの2ndレグを2戦合計3-3で終え、その後行われたPK戦を4-2で制して悲願の優勝を果たした。

同試合後、クラブ内の誰よりも感情を露わにしたのが、今シーズンからチームを率いるモハメド監督だった。優勝決定を受けて、ピッチ上で選手やスタッフが喜びを露わにしていた中、同監督は沈黙を貫くと共に、ベンチに座って肌身離さず身に着けていたロザリオを強く握りしめ涙を浮かべながら祈りを捧げた。

モハメド監督はこれまでの指導者キャリアにおいてテイフアナ、クラブ・アメリカ、モンテレイでアペルトゥーラ(前期リーグ)制覇の経験を持ち、先日にはモンテレイでCONCACAFチャンピオンズリーグ制覇も成し遂げていた。

しかし、今回のリーグ制覇は、個人的にどうしても獲得しなければならない重要なタイトルだった。

“エル・トゥルコ(トルコ人)”の愛称で知られるモハメド監督は現役時代の1997年に奥さんとの間に愛息ファリド君を授かった。そして、当時同監督がモンテレイでプレーしていたこともあり、ファリド君は幼い頃からモンテレイのファンだった。

そして、サッカー好きのファリド君は愛する父親に対して、いつかモンテレイに監督として戻った際、クラブリーグタイトルをもたらすこと。同じく父親の選手、監督キャリアの出発点となったアルゼンチンのウラカンを1部復帰に導くことをお願いしていた。

しかし、ファリド君は2006年ドイツワールドカップの際にモハメド監督自身も重傷を負った自動車事故によって9歳という若さでこの世を去る悲劇に見舞われた。

その後、モハメド監督は自身の指導者キャリアにおいて息子との2つの約束を叶えることを大きな目標として研鑽を積み、ウラカンの1部復帰に貢献するという最初の約束を果たした。そして、今回の優勝によって愛息との2つ目の約束を無事果たすことになった。

優勝決定後のモハメド監督の様子を見ると、ファリド君喪失のショックから完全に立ち直っているようには見受けられなかったが、天国で見守るファリド君はこの日スタンドで歓喜を味わったモンテレイファンの誰よりも、父親の偉業を誇りに思っているはずだ。

なお、モハメド監督はメキシコFox Sports』のインタビューで、「大きな祝宴が開かれているはずさ」と、愛息と同じくすでに天国に旅立った自身の両親が今回の優勝を盛大に祝ってくれているはずだと穏やかに語っていた。

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