女優・佐津川愛美が、3月に幕を開ける舞台「この声をきみに~もう一つの物語~」に出演する。朗読教室のミステリアスな先生役で、生徒の一人に主役で歌舞伎役者の尾上右近がいる。

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佐津川といえば、2019年10月期で注目度が高かったドラマ「おっさんずラブ-in the sky-」(テレビ朝日系)に出演。主役の田中圭演じる春田創一と同じ高校でバスケ部の後輩、春田を「天空ピーチエアライン」に紹介した広報部員・橘緋夏を好演した。

話題のドラマから舞台へ。幅広く活躍する佐津川に、舞台への意気込み、さらに“おっさんの現場”についても語ってもらった。

■ 子供の頃から好き

――朗読に対して、どんな印象を抱いていますか?

朗読劇の経験はあるんですけど(「リーディングドラマ『もしもキミが。』」「私の頭の中の消しゴム」)、とても豊かな気持ちになったといいますか。読書と違う、歌とも違って。読書も歌も得意ではないんですけど、朗読となるとリズムをつけつつ、気持ちを入れつつ読めたという印象があったので好きです。今回も楽しみだなって思いました。

――演じたことがあるから、すでにイメージを描けていたんですね。

そうですね。あと、小学校の時に読み聞かせがあったので、遠くない存在だったんです。ちょっと違うけど、ラジオドラマもやったことがあって、これも声(ありき)じゃないですか。子どもの時から、国語の授業が好きだったんです。これは役者に通じているところがあるかもしれませんけど、「登場人物の気持ちを考えましょう」というのが好きで。現代文は好きでしたね。

■ 人に教えること

――小学生の頃から、将来は女優になりたいと思っていたんですか?

思ってなかったです。どういう職業かよく分かっていなかったです。女優さん、モデルさん、タレントさんの全部含めて“芸能人”だって。新体操をやっていたんです。発表会が年に一回あって、別に大きな大会もあって、そこで勝つために一生懸命練習をしているんですが、私の場合はどちらかというと、大会より発表会の方が好きでした。

幼い頃から人前で表現をするためにステージで立つというのが好きでした。大会だと、競わないといけないじゃないですか。そこが合ってなかったんだと思います。「勝ってやるぞ!」みたいなところがなくて。

――今回は先生役。しかも、ミステリアスな。

よく「何かを抱えてそうな役をやっている」と言われるので(笑)、自分としてはそこ(ミステリアス)の心配はないかもしれないです。ただ、朗読教室なので、年上も生徒さんとしていらっしゃるじゃないですか。そういう中でも先生に見えるようにしないとなって思っています。

――人に何かを教えるのは得意ですか?

教える…かぁ…。嫌いじゃないかもしれないです。このお仕事って一つの現場が終わっても、また他の現場で一緒になることがあって。メークさんで、悩んでいる時に私とお仕事でご一緒して、相談してくれて、アドバイスじゃないけどお話をしたんです。その時に「元気になりました! 未来が見えました!」と言ってくれて、それから何年かしてまた一緒の現場になった時、「佐津川さんにすごい助けられたんですよ」と言われて、「また悩んでいるんですよ」って(笑)。そういうタイミングの時に、いつも私に会えるみたいです。

田中圭に言われたこと

――その方にとって、佐津川さんは頼れるアドバイザーですね。ちょっと話がそれますが、2019年最後の連ドラは「おっさんずラブ―」でした。今振り返ると、いかがでしょう?

撮っている時はちょうど主演舞台(「掬う」)もやっていて、役柄的にも内容的にも激しい舞台で、精神的にズンとくるシーンにも向きあわないといけなかったんですけど、「おっさんずラブ―」の撮影に行くと、役柄が全然違うのでリフレッシュになっていました。「忙しくて大変だね」とすごく言われましたが、ドラマのおかげでいい切り替えができました。

――どんな現場でしたか?

その時に生まれたものを重要視する現場でした。台本通りにやることが正解ではないという現場で、台本からどう自分がキャラクターを演じて、本当にこの気持ちになってせりふを言えるのか、そういうのを大事にしてくださる現場だったので、とっても楽しかったです。

――田中圭さんとはどんなことを話していたんですか?

まだ1話目ぐらいの時に、「今はこういう流れになっていないけど、こんなせりふの言い方でいいのかなぁ」みたいな相談をしたら、「いいよ!」って。「そのキャラクターとして思ったままに演じた方がいいから」と言ってくれたんですけど、キャストさん皆さんもそういう面が多かったんじゃないかなと思います。

――貴重な裏話を聞くことができました。では最後に、幕開けは3月とやや先になりますが、舞台の意気込みなどを聞かせてください。

朗読教室のお話って、いろんなキャラクターの方がいらっしゃるんだろうなと思います。普通の学校だったら同世代しかいないけど、朗読教室だといろんな年齢のいろんな環境の方々が生徒として集まっていて。そういうのって意外と少ないかなぁと。会社、学校、家族の話は多いけど、そうじゃない人との心のふれあいがあると思うので、そこが楽しみですね。(ザテレビジョン・文=伊藤雅奈子)

3月6日(金)から上演の舞台「この声をきみに~もう一つの物語~」に出演する佐津川愛美