不倫を清算できたと思っていたのは、男性だけだったようです。弁護士ドットコムに以前の不倫相手女性からいやがらせの電話や年賀状が届いて困っているという相談が寄せられました。

相談者の男性は不倫をしていた女性を妊娠させたといいます。結局は流産したそうですが、「酷い別れ方をしたため恨まれています」と告白しています。

男性によると、「年に何回か、妻宛に子供を産むという内容で匿名のいやがらせ電話がきた」「正月に赤ん坊イラストの入った年賀状が匿名で届いた」「子どもを出産したとの内容のハガキが匿名で届いた」といったことが続いているそうです。

男性の妻も困っているといい、元不倫相手を何らかの罪で告訴したいと思っているとのことでした。果たして、元不倫相手に対し、何らかの罪に問えるのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

ストーカー規制法に抵触する可能性は?

元不倫相手の行動は、何らかの犯罪になる可能性はありますか?

「元不倫相手ということですから、当該女性には、ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下『ストーカー規制法』といいます)第2条第1項柱書にいうところの『特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的』がありそうです。

また、ストーカー規制法の保護の対象者には、『当該特定の者』に限らず『その配偶者』も含まれます。そこで、当該女性の行為がストーカー規制法違反となるかどうかを検討してみましょう。

まず、『年に何回か、妻宛に子供を産むという内容で匿名のいやがらせ電話がきた』とのことですが、ストーカー規制法第2条第1条第5号違反となるには、『拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ』ることが構成要件となっています。相談者の奥様が電話を拒否したかは不明ですが、仮に拒否していたとしても、年に何回かでは『連続して』には該当しないでしょう」

つぎに、『正月に赤ん坊イラストの入った年賀状が匿名で届いた』とのことですが、このような年賀状を送ったにすぎないのであれば、ストーカー規制法第2条第1項6号にいう『著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付した』とはいえないでしょう。

そして、『子どもを出産したとの内容のハガキが匿名で届いた』とのことですが、『子どもを出産した』ことは、ストーカー規制法第2条第1項7号にいう『その名誉を害する事項』にも同条同項8号にいう『その性的羞恥心を害する事項』にも該当することはないでしょう。

結局、当該女性の行為は、ストーカー規制法違反とはならない可能性が高いです」

「脅迫罪も成立しない可能性」

「ただ、相談者の男性及びその奥様からすると、当該女性の行為は不気味であることに違いはありません。そこで、脅迫罪(刑法第222条)の成否を検討してみたいのですが、当該女性の行為のいずれも『生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知し』たわけではなく、人を畏怖させるに足りる害悪の告知とはいえないでしょう。

よって、脅迫罪も成立しません。

その他にも犯罪が成立し得る可能性はなく、結局、元不倫相手に対し罪を問うことはできません」

では、犯罪行為にならないとして、どのようにして元不倫相手を止めれば良いのでしょうか。

「元不倫相手の行為が何かしらの犯罪行為に該当するのであれば、刑事告訴や民事上の損害賠償請求(民法第709条、同法710条)等が考えられますが、上記のとおり、当該女性の行為は何ら犯罪行為に該当しません。

もちろん、犯罪行為に該当しないといって民事上の不法行為責任が認められないわけではありませんが、当該女性の行為だけみる限りでは、不法行為責任を追及することは困難だと思います。

結論としては、当該女性が諦めるのを待つほかないと思います。もちろん、相談者の男性及びその奥様の心中を察すると余りあるのですが、まともに相手をしないという方法(気にしないこと、無視すること)が、実は、最も効果があると思います。

ただ、それでも改善しないという場合は、警察や弁護士に相談してみることもおすすめします」

【取材協力弁護士
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URLhttp://www.hamakado-law.jp/

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