シリアに入り3年4カ月、武装集団に拘束されたジャーナリストの安田純平氏は昨年10月、無事に釈放され帰国した。帰国後は「自業自得」「自己責任論」などの批判が噴出し、批判の矢面に立たされてきた。昨年7月には外務省から新たなパスポートの交付を拒否され、現在は事実上の出国禁止状態に陥っている。これまで沈黙を貫いてきた安田氏が29日にAbemaTVで放送された『Abemaニュースショー』に出演。解放から1年が経過し、今だからこそ語れる様々な体験や思いを吐露した。

 帰国直後はヘルニアの影響があり、3カ月以上はほぼ運動なしで静養していた安田氏。最近になり腰の調子も良くなり、少しずつ運動を取り入れるなど、日常生活は落ち着きを取り戻しつつあるという。外務省がパスポートの交付を拒否したことについて問われると「トルコが入国拒否にしているから」と交付拒否の理由を述べ、「それが理由であれば、他の国ならいいのでは? トルコの例を挙げて全部ダメというのは、法律の判断としてはオカシイ」と語った。

 3年4カ月という長い拘束下における心境については「当初、相手は身代金が取れなければ殺すだろうと思っていたが、彼らと話をするうちに、彼らはイスラム国とは違う。イスラム国は彼らイスラム教徒から見ても酷い集団なんだ。イスラム国と同じことをすれば、イスラム国と同じ扱いになる。『イスラム国とは違う』という違いがわかった。実際に身代金が取れずに人質を殺害したのはイスラム国のみ。そのため「殺すことは無いだろう」と思うようになったが、彼らがいつまで人質交渉を粘るのかはわからない。死刑ではないけど、無期禁固。『永遠に終わらないのでは』という怖さがあった」と明かした。

 帰国後に受けたバッシングに話が及ぶと、「身代金を払ったという話から大きくなったが、(人質交渉の有無については)日記を見れば分かる。2016年1月には小さい頃かっていたペットの名前など、生存確認の証拠となるごくプライベートな質問項目を作成していたが、その質問項目を家族が見たのは2018年8月だった。私自身、解放されて初めて大使館で同様の質問を受けた。その確認を経て、日本側で『本人確認が取れた』と会見を行っている。一度証拠をとってしまえば、身代金交渉をしたことになる。証拠をとる方法がわかっていて、用意まではしたが、政府の判断としてやらなかったということ。一度も交渉を行っていないことの表れだ」とバッシングの発端となった身代金支払いの有無について反論した。

 「カタールを経由して身代金を払ったのでは」との情報を発信したNGO団体についても言及した安田氏は「私に関する色々なデマを言っているので、信憑性はまったくない。日本は『身代金を払わない』というのを国際公約としており、日本はそれを守ったということ。ただ担当者は一生懸命やってくれていた。大使館員が来たときは『ご迷惑をおかけした。ありがとうございました』と話した。彼らもやろうと思えばやれるが、そこは政府の判断として『やらない』となればできない。通常の外交ルートを通じて呼びかけを行っていたにすぎない」と話した。

 この安田氏の主張に対して、帰国後に安田氏のドキュメンタリーを製作し、NGO団体らに直接取材も行った元「ザ・ノンフィクション」CPの張江泰之氏は「取材に対して『答えられない』と完全にトーンダウンした。NGOが黙ったので『カタールが払った』というのはデマだと思った」と意見を述べると、安田氏も「カタールシリアの反政府側に資金提供をしている。カタールがお金なんか払わなくても、彼らは言うことは聞く。カタールが彼らからお金を取られることはまずない」と応じた。
安田純平氏、外務省のパスポート交付拒否に「法律の判断としてオカシイ」