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どんなクルマ?

textKazuhide Ueno(上野和秀)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスレンジを担当するAMG。今ではAクラスからSクラスSUVレンジ、Gクラスまでの各系列に設定されるが、どれも量産モデルベースにしている。

その中にあってAMG独自のモデルが「GT」である。2014年に2ドア・クーペがデビューし、その後ロードスターを追加され、2018年のジュネーブ・モーターショーで4ドア・クーペ版が加わる。

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メルセデスAMG GT 53 4マティック+

メルセデスAMGとしては、どちらもGTと呼んでいるのが実情。カタログには小さく「2ドア・クーペ」と「4ドア・クーペ」と記して区別しているが、個々のモデル名には付かないという少々ややこしいモデルなのである。

それはさておき、4ドア・クーペのスタイリングは2ドア・クーペのイメージを受け継いでデザインされたものだ。しかし、フル4シーターの居住空間を確保するため、ホイールベース320mm延長された2950mmに。

全長も506mm伸びた5050mmと、Sクラスのクーペと変わらぬ堂々としたサイズとなった。

価格帯 EとSの間

フロントとリアの基本的なデザインは2ドア・クーペから受け継がれるが、ヘッドランプや左右のインテーク形状は微妙に変えられている。

ルーフからリアへのラインはファストバックスタイルを継承するため、4ドア・クーペと謳うもののハッチゲートが備わるため実質「5ドア・クーペ」といえる。

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メルセデスAMG GT 53 4マティック+の前席

そんな4ドア・クーペのパワーユニットは、3L直6直噴ツインターボから367psを発揮する「GT 43」、チューニングを高めた435psの「GT 53」、639psをマークする4L V8直噴ツインターボ搭載の「GT 63」という3グレードを用意。

このうち「GT 43」「GT 53」には、メルセデス・ベンツで実積のあるハイブリッドシステムのISGと電動スーパーチャージャーを組み合わせた。低回転域からの力強い加速と経済性を両立させている。

価格からポジショニングを見ると、「GT 43」の1198万円、「GT 53」が1623万円、トップグレードの「GT 63」は2397万円。AMG 53と63が設定されているEクラス1252/1733万円、Sクラスでは63 4マティック+ロング2616万円となるので、EクラスとSクラスの間に位置するモデルであることが分かる。

ライバル車は?

AMG GTが属する4ドア・スポーツカーカテゴリーの先鞭となったのは、1963年に登場したマセラティクアトロポルテである。長らくライバル不在が続いていた。

しかし、2004年に登場した5代目クアトロポルテが商業的に成功。これを受けて、2009年ポルシェから同様な4ドアのスポーツカーとしてパナメーラが送り出される。

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メルセデスAMG GT 53 4マティック+

2010年になるとアストン マーティンから同じ考え方で製作されたラピードが加わり、一躍注目を集めるカテゴリーとなった。

いずれもスポーツカーメーカーが新たな可能性を求めて高性能な4ドア・セダンを作り出したもので、奇しくもマセラティ以外の各モデルはリア・ハッチゲートを備える5ドアだった。

こうした中でAMG GTだけは立ち位置が違っていた。

AMGはすでに、メルセデス・ベンツのC、E、Sクラスを高性能化した4ドアのスーパーサルーンを製作している。このため、GTクーペの派生形となるパーソナル・ユース/カジュアル志向の4ドア4座モデルとして作られたのである。

前・後席/荷室

今回試乗したのは3L直6ターボ(435ps)を搭載する中間グレードの「GT 53」。ブリリアント・ブルー・マグノと呼ばれる艶消しのダークブルーが凄みをきかせる外装色で、内装はマキアート・ベージュという強烈な組み合わせ。

車内に乗り込むとSクラスから採用された2連の12.3インチディスプレイが備わる。2ドア・クーペとの大きな違いだ。

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メルセデスAMG GT 53 4マティック+の後席

インストゥルメントパネルから連なる大きなセンターコンソールには、今やSLとAMG GTだけになってしまったフロアセレクターが健在だ。日本人にはやや後方に位置するが、変速用のパドルを始めドライブモード・セレクターなどはすべてステアリング回りに配置されるので何ら気にならない。

4ドア・モデルだけに気になる後席だが、低めのルーフラインながらヘッドクリアランスは十分で、フットスペースロング・ホイールベースのおかげで広い。4人で長距離をこなせる快適性が確保されていた。

ラゲッジスペースは広大とは言い難いが、それなりのスペースが用意されているので、実用上は困らないと思われる。

どんな感じ?

テストドライブコースは丘陵の上にあるホテル周辺の一般道。

AMG GTが本領を発揮できる高速道路や緩やかなコーナーが続くオープンロードではなかったため、その領域は確認できなかった。とはいえ限られた条件下でもそのキャクターの一部が見えてきた。

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メルセデスAMG GT 53 4マティック+

走り出して気付くのは大きさを感じさせない身軽さだった。

これは高いシャシー剛性と、可変ギアレシオの「AMGパラメーターステアリング」に加え、「AMGライド・コントロール+エアサスペンション」が瞬時にスプリング・レートを切り替えることで生まれる正確なハンドリングの賜物だ。

GT 2ドア・クーペをデビュー直後に試乗した時は、ストップ・アンド・ゴーが続く状況でデュアルクラッチトランスミッションマナーが今ひとつだと感じた。

「GT 53」は、トルクコンバーター式の9Gトロニックを専用チューニングしたAMGスピードシフトTCTが搭載されているため、あらゆる場面でスムースな変速を見せてくれた。

4ドア・スポーツカーへの回答

AMGダイナミックセレクトを「スポーツ」にすると豪快なエグゾースト・サウンドに切り替わり、それとともによりリニアな反応を見せ、身軽な動きに変わる。さらに「スポーツ+」も選択できる。

サーキット専用モードの「レース」(GT 53ではオプション)を選べば、ステアリング、サスペンション、リミテッドスリップデフが総括的に制御され、後輪の二輪駆動になるドリフトモードも用意されている。

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定員乗車で456Lを確保したトランク。ゴルフバック2セットを積載可能。後席を倒せば1319Lに拡大する。

これだけの高性能モデルながらデイリーユースでも気構えずに扱え、必要とあらば卓越したパフォーマンスを引き出せる。スーパーファミリーカーとして活躍できよう。

4ドアというキャラクターを考えると程良い性能の「GT 53」は、すべての面で完成度が高い。パフォーマンスとプライスが釣り合った実質的にベストグレードといえる。

AMG GT 53 4マティック+ スペック

※欧州仕様値を含みます

価格:1623万円
全長:5050mm
全幅:1955mm
全高:1440mm
最高速度:285km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:10.3km/L(WLTCモード混合)
CO2排出量:-
車両重量:2100kg
ドライブトレイン2996cc直6ツインターボ+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):435ps/6100rpm
最大トルクエンジン):53.0kg-m/1800-5800rpm
最高出力(モーター):21.8ps
最大トルクモーター):25.5kg-m
ギアボックス:9速オートマティック

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メルセデスAMG GT 53 4マティック+

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