巨人が山口俊投手(32)のポスティングシステムによるメジャーリーグ挑戦を認めた。これで、同制度を適用していない球団は、福岡ソフトバンクだけとなった。この巨人の決断が両球団の亀裂のきっかけとなるかもしれない。

 「ソフトバンクの千賀(滉大=26)はメジャーリーグ挑戦を球団に訴えていました。ソフトバンクは、フリーエージェント(以下=FA)による米球界挑戦は容認していますが、ポスティングシステムについては、制度そのものに否定的な見解を持っています」(ベテラン記者)

 エース・千賀の喪失は痛い。選手層の厚いチームでもある。球団外部からは「たしかに戦力ダウンだが、千賀がいなくなっても、彼の稼いだ勝ち星分を補う新しいピッチャーが出てくるだろう」なんて声も聞かれるが、それでも認めようとしないのは、勝利に対する執着心の強さとしか言いようがない。

 去る12月7日のことだった。巨人OB会が開かれた。出席した王貞治氏はソフトバンク球団の取締役会長として、こんなコメントを各メディアに出している。

 「もう一回、ジャイアンツリーグ優勝した形でちゃんと戦いたい」

 出席者が次々とマイクを渡され、原辰徳監督(61)を労い、新OB会長に選出された中畑清氏(65)へのエール、そして、原巨人を4連勝で打ちのめしたソフトバンクのことが語られた。それに対し、王会長は古巣へのエールも送っていた。それでも、「リーグ優勝していないから」という理由で、2019年シーズンを“敗北”と捉えていたのだ。

 こうした勝利への強い執着心が王会長から語られたところからも、エース・千賀が海外FA権を取得する前に手放すようなことはないだろう。そのことが改めて感じられた。

 「千賀以外にもポスティングシステムによる米球界挑戦を訴えたソフトバンク選手がいました。過去、選手と球団とのやり取りの中で、『巨人も認めていない』という話も出たと聞いています」(球界関係者)

 「認めてくれ」「ダメ」のやり取りのなかで、感情的になった部分もあるだろう。従って、巨人の名前が出たところに大した意味はない。しかし、両球団はかなり深い関係で結ばれていた。

 「両球団でコーチの移籍が、何度かされています。コーチ本人に移る気持ちがあるのかどうかを確かめる前に、球団が先に了承していたなんてこともありました」(前出・同)

 育成選手枠の球団経営は、両球団が牽引したと言っていい。三軍制は巨人がソフトバンクに倣ったもの。ソフトバンクの球団オーナー孫正義氏は「V9を超えたチームを…」と言って球界に参入した。

 「ソフトバンクパ・リーグ5球団と共同で、台湾などアジアで日本のプロ野球中継を広めています。巨人も追随しましたが、この事業におけるソフトバンクパートナーは巨人ではなく、パ5球団です」(ベテラン記者)

 山口のポスティグシステムを容認したことで、両球団は初めて意見を違えたわけだ。王会長が巨人OB会でリーグ優勝を果たしてからの再戦を表明したのは、「共闘」ではなく、「令和の新盟主」を目指すという“宣戦布告”でもあったのでは? (スポーツライター・飯山満)

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