あんまり勉強していなくて、大学のテストで解答欄に何も書けない。そんなときどうしますか? 何でもいいからとにかく書きますか? 「カレーのおいしい作り方」を書くと単位がもらえるという話を聞いたことはないですか?


都市伝説なのか? 単位をもらう方法!

例えば、
○答案にカレーのおいしい作り方を書く
○豆腐を四丁食べる
○歌を100曲歌う
といったことです。
これらは都市伝説なのでしょうか、それとも本当のことなのでしょうか。

■「カレーのおいしい作り方」を書く

解答が分からないときに「カレーのおいしい作り方を書く」という話はいつぐらいからあるのでしょうか。

あちこちにツテをたどって調べてみると、「カレーのおいしい作り方を書いて単位をもらった学生がいるらしい」「20年前に単位をもらった人がいたそうです」「先輩に聞いた話では……」といったものばかりで、実際に解答欄に書いた人を見つけることはできませんでした。

筆者の周りを調べた結果、一番古く、かつ信ぴょう性の高かったのは、今から38年前の1975年、当時10歳だったYさんの報告です。大学の先生だった父親が哲学の試験を家で採点していたそうです。

その際に突然父親が笑い出したそうで、聞いてみると、記述問題の解答欄に「この問題はさておき、美味しいカレーの作り方を書きます」という書き出しで、おいしいカレーレシピが書かれていたそうです。

Yさんは父親から「こんな大学生になってはいかん」と諭されたそうです。Yさんの記憶では、父親はその解答者に「可」を付けたそうで、ぎりぎりですが単位はあげたんですね。ちなみに父上に伺ってみたところ、採点については記憶されていませんでした。ひょっとしたら「不可」だったかもしれません(笑)

この「カレーのおいしい作り方」を書くという「切り抜け方」はさらに年代がさかのぼる可能性が高いです。例えば、学生たちに愛唱された遠藤賢司の『カレーライス』というフォークソング1970年(昭和45年)にレコードが出ています。

このときには、カレーを各家庭で工夫して作ることが定着していました。また当時の学生たちも簡単に作れる料理としてカレーを作っていたでしょう。というのは、1960年(昭和35年)にはハウス食品工業が画期的な固形ルー『ハウス印度カレー』を発売しているのです。

これ以降、カレールーは固形タイプが主流となり、カレーライスはさらに普及、国民食になっていくからです。自分なりのおいしいカレーの作り方を持っている大学生が全国にいたとするなら、それはこの時期以降のはずなのです。

今となっては、初めてテストに「おいしいカレーの作り方」を書いたのは誰だったかを明らかにするのは不可能でしょう。しかし、実際に書いた人がいたことは確かですし、またその伝説は学生から学生へと語り継がれていくでしょう。

■「豆腐を4丁食べる」などは本当か!?

カレーのおいしい作り方を書く」はまだしも証言者があるのですが、「豆腐を4丁食べる」「100曲歌を歌う」などは、それで単位をもらったという信ぴょう性の高い話を収集することはできませんでした。

一方で、若い世代にこれらの「伝説」が伝わっているのは、『動物のお医者さん』という漫画が影響を与えていることが分かりました。この漫画は北海道大学モデルにした「H大学」の獣医学部を舞台にしています。

そのエピソード中に、「単位のもらい方」「試験の切り抜け方」として、上記のような例が出てくるのです。

■往復はがきで単位を確認!

前述のYさんの父上に聞いた話です。Yさんの父上は今は定年で退官されていますが、30年以上も某私立大学で哲学の教官をされていました。その経験の中で、単位を巡ってさまざまな「学生との攻防」があったそうです。

一番ビックリしたのは学生から「往復はがき」が来たことだそうです。

手紙に、

先生、私は哲学の単位をいただけるのでしょうか。お答えください。

とあり、返信用のはがきには、

単位が取れる。
単位が取れない。

と、同窓会出席の確認のように、どちらかに○をして出すようになっていたそうです(笑)。Yさんの父上は「このようなはがきを出すひまがあったらもっと勉強しましょう」と書いてはがきを戻したそうです。

いつの世も「単位」を巡って、教官と学生の攻防はあるようです。皆さんは、大学のテストで面白い解答、面白い切り抜け方をしたことはありますか?


(高橋モータース@dcp)

大学のテストで「カレーのおいしい作り方」を書くと単位がもらえる話はいつからあるのか?