日本ではユーモラスな取り組みがあちこちに見られる。昨年は、「引退」した地下鉄車両が東京の駅に「再就職」し、中国でも話題を呼んだ。中国メディアの今日頭条はこのほど、「日本では役目を終えて退役した地下鉄車両が再就職し、自販機になった」と紹介する記事を掲載した。

 「再就職」したのは、2017年3月に営業運転を終了した「銀座線01系」の車両の一部だ。昨年2月22日に、東京メトロの溜池山王駅に新たな取り組みとして自動販売機に生まれ変わり注目を集めた。

 「溜池山王」と表示された方向幕は、01系の先頭部に実際に使われていたものだ。商品取り出し口の上に設置された車両銘板も、東京メトロのロゴ「Mマーク」のプレートも「再就職」した。そのうえ、「お金のかけこみ投入は、おやめください」、「足元にご注意ください。出口は下側です」、「おつりの取り忘れに、ご注意ください」などの音声が流れるが、いずれも現役の車掌4人による案内音声だという。

 この地下鉄車両を再利用した自販機は、飲料会社とのコラボ企画で、広告もまた面白い。「車両(オレ)をホームで待っていたお前を、今は車両(オレ)が地下で、待っている」、「敷かれた道(レール)を走るのは、もうやめ」などクスリとさせるフレーズが並んでいる。

 記事の中国人筆者は、この企画を「日本らしい」と感じているそうだ。日本では退職した高齢者が再就職口を探すのは普通のことである。中国人には理解できないことだが、日本の高齢者は電車でも立っているほど気持ちが若く、いくつになっても進んで働き、人とのつながりを持ち続けようとすると紹介している。

 「再就職」した地下鉄車両について、ユーザーからは「映画に使えるのではないか」、十分に活用するというのが「日本人らしい考え方」、さらには「尊敬しないわけにはいかない」など、称賛の声が続々と寄せられていた。変化の速い中国では、古いものがどんどん淘汰されているが、むしろ古いものを大切にして再利用しようとするのは日本の良さなのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

退役した地下鉄車両ですら「再就職」する日本、なんて「日本人らしい考え方」=中国