昨今、「イクメン」という言葉が定着してきたが、実際はママ(妻)不在時の育児に手を焼いているパパは少なくないだろう。「教えて!goo」にも「父親のあやしに子が泣く」と、生後4カ月の子を持つパパが「子どもがママの入浴中、泣き叫ぶが、どうしたらよいか」と質問していた。そこで、パーソナリティーコンサルタントの横山人美さんに話を聞いてみた。世のパパはもちろん、ママにも参考にしていただきたい。

■「ママがいい!」と泣かれた場合の対処法

この質問に対し、子育て経験のあるユーザーからは、「慣れるしかない」といった投稿が多く寄せられていたが……。

「お子さんの発達段階において、自分の意図や欲求を通そうとする時期(2歳前後まで)があり、『ママがいい!』を連発して譲らない我が子に、頭を抱えるパパはたくさんいることでしょう。一般的な反抗期(第一次反抗期)といわれる時期同様、健全な発達の証拠ですので、大人が振り回されず、落ち着いて『ママは、今いないよ』などと事実を説明することからはじめましょう」(横山さん)

そして、ネガティブな感情を持つのではなく、我が子にとって「周囲や他者との関係を学ぶチャンス」と捉えるとよいそうだ。

「自分の意図や欲求が通らないときもあること、主張を調整し我慢すること(自己抑制)などを覚えるチャンス到来と考え対処しましょう。『ママにゆっくりお風呂に入ってもらおうね』など、お子さんが我慢することでママが喜ぶことを具体的に伝えるのもよいですね。そして、お子さんが我慢出来たら、ママからも『ありがとう』の一言を忘れないでください」(横山さん)

子どもが泣きやまないとき、パパが「やってはいけないこと」についても聞いてみた。

「言うことを聞かず泣きわめくからと叱ったり、お子さんの言いなりになってしまうと事態が悪化してしまう場合があります。お子さんがママに向かう気持ちが紛れるよう、大好きな遊びやお話を一緒に楽しめるとよいですね」(横山さん)

子どもが好きなことや喜ぶことを知っておくとよいだろう。

■ママの不在時に備え、日頃からパパがやっておくとよいこ

横山さんは、世のパパ達に知って欲しい実験について教えてくれた。

「子どもの愛着を研究した『ハーローの代理母の実験』です。アカゲザルの赤ちゃんに、本物の母乳が出る冷たい針金で作られた代理母と、母乳は出ないが体温と同じ温かさの布で作られた代理母を与え、どちらに愛着を示すかを観察する実験です。結果は後者でした。空腹時のみ針金の代理母からミルクを飲みますが、すぐに布の代理母の元へ戻り、大きな音や危険を感じたときも布の代理母にしがみついたという結果を得ました。この実験から愛着は母乳から生まれるのではなく、日常の継続的な温かいスキンシップから形成されることがわかりました」(横山さん)

パパからもスキンシップなどを通してお子さんへ愛情を伝えられたら、今以上に愛着を持ってもらえそうだ。

「ママがいないときだけ代わりをしようとすると大変になってしまうので、日頃から意図的に同じような場面をたくさん作ってみるのがよいと思います。お子さんとママがいつもどのように過ごしているのか観察しておくのもよいでしょう」(横山さん)

ママでも、子どもが泣きやまず困ることはあるはず。そんなときにどのように対処しているか観察しておくとよいだろう。

■パパが根負けせずに子育てに参加するには?

「パパはスキンシップで愛着と信頼関係を築いていくべき」という横山さんは、同時に、「ママにもお願いがあります」と続けてくれた。

「お子さんの愛着は性別の違いや時間の長さで決まるものではありません。共働きの今は、ご両親ともお子さんと触れ合う時間は限られているでしょう。その少ない時間の中で、ご夫婦が協力してお子さんとお互いの愛着を深めていっていただきたいです。そしてママは、『パパ独自の子育て』をいつもと違うと否定せず、信頼して任せ、温かく見守ってあげて欲しいです」(横山さん)

子どもの成長はあっという間。愛着や信頼関係を築きながら、自信を持って子どもと触れ合おう。

●専門家プロフィール:横山 人美
Keep Smiling代表。パーソナリティーコンサルタント、講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演など多数。前向きな発達障害とのかかわり方を始め、子育てや人間関係の悩みが楽になる心理学を伝えている。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

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