舞台『おとぎ裁判』第2審~戦慄の誘拐パレード ビッグマウスにご用心♪~が、1月10日(金)に東京・CBGKシブゲキ!!で開幕した。
2018年10月に上演された「第1審」では、誰もが知る童話「赤ずきん」を題材に美しくも残酷なジャッジメントを繰り広げた。シリーズ最新作となる今回、裁かれるのは「ハーメルンの笛吹き男」。
ゲネプロに先駆けて行われたフォトセッションには、古谷大和、芹沢尚哉、東 拓海、ロッキン=ヨーコ、廣野凌大、横井翔二郎、碕 理人が登壇し、開幕に向け意気込みを語った。

取材・文・撮影 / 近藤明子

◆現実世界のつらさを少しでも忘れられる時間になったら
ゲネプロの直前に行われたマスコミ向けのフォトセッションで、7人のキャストが初日に向けてコメントを寄せた。

アケチ 役:古谷大和 出演者が7人しかいませんが、初演からのキャスト4人と、「第2審」から入ってくれる心強い3人のおかげで、とても素敵なキャラクターたちが生まれました。支えてくれるスタッフのもと、共演者のみんなが“ステキなカンパニー”と思える稽古を積めたことを幸せに思っています。“おとぎ”の世界の事をずっと考えて“おとぎ”の世界に生きていると、現実の本当につらいことをひとときでも忘れることができるというか、観劇後に前向きになれるような作品にできたんじゃないかなと思います。お客様には全身で楽しんでいただいて、現実の世界が輝いて見えるようになれば……。それでは、“おとぎ”の世界でお待ちしています!

ロブ 役:芹沢尚哉 座長の大和くんをはじめ、“おとぎ裁判愛”に溢れる座組みで、とにかくすごく雰囲気が良いです。本作はトーチ(=お客様)の皆様と一緒につくり上げる作品をテーマにしています。一回一回、唯一無二の公演をお届けできたらと思います。会場全体で一緒につくり上げることができたらと思っております。

ジュード 役:東 拓海 お客様参加型の舞台ということで、今ちょっと緊張しています(苦笑)。稽古場ではスタッフさんの前でやっていたものを、ついにお客様に見せることになり、果たしてどういうリアクションが返ってくるのか、楽しみであり不安でもありますが、メロディが物理的にエスコートをして、アケチとジュードが皆様の気持ちを“おとぎ”の世界へエスコートできるように盛り上げていけたらなと思っています。

メロディ 役:ロッキン=ヨーコ 私が演じるメロディちゃんは“おとぎの国”と“現実の国”を行き来する案内役です。観客の皆様をスムーズに“おとぎの国”へお連れできるように、精一杯頑張りたいと思います。キャストの皆様は本当に個性豊かで、稽古場からアドリブとかをたくさん入れていたりしていたので、本番でも必死にしがみついて私自身も“おとぎの国”を楽しみたいと思います。

アベル 役:廣野凌大 先ほどから皆さんがおっしゃっているように、スタッフ&キャストが引くほど、全身全力で稽古をしてきました(笑)。演劇の全部が詰まっている作品だと思うので、手の毛細血管が爆発するぐらい拍手をしていただいて、涙腺がなくなるぐらい泣いていただいて、そして最後は歩けなくなるぐらい地団駄を踏んでいただいて、五体がすごいことになるまで楽しんいただきたいなと思っています(笑)。

ルータス 役:横井翔二郎 この日のために、本当に引くほど稽古をしてきました(笑)。我々が自信を持って“これは面白い”と思えるものをお客様に披露できるということで、とても楽しみにしています。この場にいる全員まとめて巻き込んでいきたいと思っていますので、どうかよろしくお願いします。

ピート 役:碕 理人 初日がとうとう開きます! 7人の個性的なキャスト、そしてスタッフ全員でこの舞台をつくり上げました。あとはお客様に参加していただいて、やっとひとつの舞台が完成します。今回の題材は「ハーメルンの笛吹き男」ということで、笛吹き男 役のピートは果たしてどんな人物なのか……。悪い奴なのか、良い奴なのか、それともハタハタハタ……(共演者から「なんだよ、ハタハタって!」とツッコミが入る)。本当に楽しい舞台になっていますので、ぜひ皆さん劇場で一緒に楽しみましょう。お待ちしています!

◆真実が明らかになることがすべて正しいとは限らない
おとぎの国”の奥深くにある「幻火(まほろび)の館(通称Castle Torch)」を舞台に、毎夜繰り広げられるおとぎの国の住人たちの裁判。その行方を見守る無数の灯火(トーチ)に照らし出されるのは、残酷で美しいたったひとつの真実──。

屋敷の主でやる気のない裁判官のアケチ(古谷大和)、執事のジュード(東 拓海)、メイドのメロディ(ロッキン=ヨーコ)の前に今宵現れたのは、派手好きでナルシストの検察官ロブ(芹沢尚哉)に連れられてやってきた被告人のピート(碕 理人)、そして自信家の検察官ルータス(横井翔二郎)と原告のアベル(廣野凌大)だった。

“裁判”と聞くと、難しい専門用語が飛び交い緊迫する空気が支配するような場面をイメージするが、おとぎの国の裁判は、歌あり、ダンスあり、組体操あり(!?)と、何でもありの自由な雰囲気。しかもステージを降りて“観客いじり”や、有罪or無罪を決めるジャッジメントへの参加を促すなど、まさに会場が一体になってこの物語の世界感をつくり上げていくのだ。

連日行われる裁判で寝不足のため機嫌の悪いアケチは、なんとか今宵の裁判を回避しようとするが、ジュードに詰め寄られて渋々開廷する……。このときのふたりのやりとりはアドリブ満載で、ギリギリを攻めるうちに訳がわからないことを口走ってテンパる東を、思わず古谷がたしなめるという一幕も。これには普段静かに見守る関係者たちからも思わず笑いが起こっていた。

さらにライバル意識丸出しで互いに譲らないロブとルータスの子供の喧嘩のような見栄の張り合いや、ピートとメロディの恋の行方など、随所に笑えるポイントが満載!

そんな騒々しい面々の中で、ひとりだけ異質な空気をまとっていたのが、アベル 役の廣野。稽古場で各自が演じる濃すぎるキャラクターを見て自分も混ざりたいと葛藤したそうだが、「一番まともじゃないといけないのがアベル。だからそこはグッとこらえました」と、唯一冷静に裁判の行方を怒りの表情で見つめている姿が印象的だった。

“笛吹き男”は、なぜ子供たちを連れ去ったのか、なぜアベルひとりだけが残されることになったのか、そしてアベルがピートを訴えた本当の理由とは──。

おとぎ(御伽)話”は、道徳的な意味を内包した子供に語って聞かせる昔話・夢物語という解釈が現在の主流だが、もともとは退屈を紛らわし、慰めるための話、寝床を共にする相手と語り合う話というのが語源となっているという。

物語の中に出てくる「伽相手」と「主君」との関係や、「Killer」から解放されるための“鍵”など、「第1審」では明らかにされなかった登場人物たちの背景に迫る謎も少しづつ解明されていくのだが、今後の展開が楽しみになる要素が随所に散りばめられていて、観終わる頃には複雑な伏線が張り巡らされたダークな世界観にからめとられてしまうことは間違いない。

最後に明智が灯す「禁断のマッチ」によって明らかになる美しくも残酷な真実とは……秘められたものを白日の下にさらすことは、必ずしも良い結果を生むとはいえないのは世の常。
そのことを、この物語は教えてくれる。哀しくも残酷なショーの行方を、ぜひとも劇場で見届けて欲しい。

おとぎ裁判』第2審~戦慄の誘拐パレード ビッグマウスにご用心♪~は、1月19日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演中。
公演中には、CLIE作品にゆかりのキャストが登場するアフタートークを開催。また、本公演の模様を収録したDVDと、『おとぎ裁判』が出来上がるまでのすべてを網羅したメイキングDVDの発売も決定した。それぞれ詳細はオフィシャルサイトを要チェック!

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掲載:M-ON! Press