0_e5

Wardill Lab

 生まれて初めて、赤と緑のセロファンが張られたメガネをかけて3D映像を見た時、どんな反応をしたか覚えているだろうか?

 飛び出して見える物体に、おもわずビクついてしまったという人もいるだろう。ではイカはどうだろう?コウイカに3Dメガネをかけさせ3D映像を見せるという興味深い実験が行われたようだ。

 あくまでも真面目な研究である。優れた目を持つコウイカが、狩りをするときに立体視を行っているのかどうか探るためのものだ。 

―あわせて読みたい―

コウイカの驚くべき求愛テクニック!体半分をメス化させライバルを欺く「半身術」(オーストラリア研究)
ムチャしやがって・・・擬態の達人「コウイカ」が必死にチェック柄を装っているところ
コウイカ先輩ぱねぇっす!自らのオーラ(生体波)をコントロールし捕食者の目を欺くことが判明(米研究)
犬ビジョン、猫ビジョン、鳥ビジョン。動物たちはどんなふうに世界を見ているのだろう?
右利きは戦闘も交尾も有利。コウイカの利き手の世界(フランス)

3Dメガネをかけたコウイカは3D映像の獲物に飛びついた

 アメリカ・ミネソタ大学のトレバー・ワーディル氏らが行ったのはこんな実験だ。ヨーロッパコウイカに青と赤のフィルムを貼った3Dメガネをかけて、水槽の前に設置した画面で大好物のエビの3D映像を見てもらうのだ。

 これを目にしたコウイカは、触手を伸ばして画面のエビ目掛けて攻撃を仕掛けたのだそうだ。それはまさに自然の中で捕食をするときの姿と同じだった。


How cuttlefish with 3D glasses respond to control and disparate stimuli from aay6036 Movie S2 WM

コウイカは立体視ができ、遠近感の認識に優れている

 角膜、レンズ、虹彩、網膜で構成されているコウイカの目はカメラに似ており、立体視ができる。その脳は両目から届く信号の違いを解釈することができ、距離を認識できるのだ。

 3Dメガネの実験では、画面に対する自分の位置を調整するコウイカの姿が観察された。「コウイカは私たち以上に深さの認識に優れています」とワーディル氏は話す。

 またワーディル氏らは、コウイカの脳が両目からの情報を用いて距離を算出できることも実証している。しかし、その立体視は「人間とは違うアルゴリズムによる可能性が高い」のだそうだ。


How cuttlefish respond to correlated, anticorrelated, uncorrelated dot stimuli - aay6036 Movie S4 WM

3Dメガネは生物の視覚を知るのに最適

 しかし、なんでまた頭足動物に3Dメガネをかけるなんて奇抜な実験を思いついてしまったのだろうか?

 じつはワーディル氏は15年近くも昆虫の視覚を研究してきた人物だ。そして2012年からは頭足動物の研究にも乗り出し、感覚認識に使われる皮膚の乳頭状突起(papillae)など、脳と体の機能の神経学的なつながりを解明してきた。

 そんなある日、イギリスの研究者がカマキリに小さな3Dメガネをかけて実験を行ったことを知る。この研究は、無脊椎動物の立体視つかさどる神経細胞を初めて特定したほか、ロボット工学の分野からもその応用可能性が注目された。

 これをきっかけにワーディル氏はコウイカで同じ実験を行ってみようと思い立ったのだとか。

2_e5

Wardill Lab

立体視はいくつかの経緯で進化した


 ワーディル氏によると、立体視は脳のさまざまな部分がかかわり、さまざまな方法で計算されているのだという。そのために、カマキリには何か特別なところがあるのではと考えられた。

 しかし、今回コウイカにも同じことができるのだと証明された。このことは、立体視という能力が進化する経緯は、時期や種に応じて、いくつか存在する可能性が高いということらしい。

 この研究は『Science Advances』(1月8日付)に掲載された。

References:laughingsquid / theguardianなど/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52286664.html
 

こちらもオススメ!

―動画の紹介記事―

これは怖い!消防士も恐れる火災の現場で起きる爆発現象「バックドラフト」を再現する科学実験
良き世界。猫が大好きなカンガルー。一緒に横たわりながら猫をグルーミング
サルが葬儀に参列した?泣いている女性を慰めるかのように抱きしめるハヌマンラングール
ブルドッグがブルドーザーに!?雪をかき分けながら進む犬
福島の避難区域は今、野生動物の楽園となっていた(米調査)

―水中生物についての記事―

Shall we ダンスに応じたのがサメだった件。ダイバーとサメが水中で熱烈ダンス(ロシア)
中世のイギリスでは“うなぎ”が通貨代わりだった!?
深海にはどんな生物がいるの?海の深さ順に見ることができる面白サイト『The Deep Sea』
トイレと大きさを比較してください。海中で巨大魚が便器の横をちょっと通ります
アシカのシージャック!?2頭のトドがボートを乗っ取り海をさすらう(アメリカ)
イカに3Dメガネをかけ3D映像を見せるとどうなる?興味深い実験が行われる(米研究)