日本国内のプロボクシング競技を統括する、一般財団法人日本ボクシングコミッション(以下 JBC)が財政破綻の危機に瀕している、という内容の記事が1月14日付けの朝日新聞デジタル に掲載され、YAHOO ニュースにも転載されたことで大きな反響を呼んでいます。

参考サイト:
ボクシング亀田兄弟訴訟、和解決裂 JBC、破綻の恐れ」

https://digital.asahi.com/articles/ASN1B558MN1BUTQP017.html?pn=5(朝日新聞デジタル)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200114-00000025-asahi-spo(YAHOO ニュース)

この危機の直接原因は、亀田三兄弟との損害賠償請求訴訟です。JBC はこの裁判の判決におい て、数千万円規模の高額賠償を命じられる可能性が極めて高くなっているのです。

 

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嫌がらせを受けていた亀田三兄弟

訴訟の原点となったのは2013年12月に行われた、亀田大毅 VS リボリオ・ソリスのIBF・WBA統一戦でした。

この試合の計量でソリス選手が規定体重を超過したことから、ソリスは勝っても負けてもチャンピオンにはなれないことが決まりました。問題は、亀田選手が勝った場合・負けた場合にそれぞれどうなるのか? がはっきりせず、関係者の「嘘」もあったことから試合後に大混乱となってしまいました。

本来JBCは試合の統括者なのですが、この問題が紛糾すると亀田サイドになぜか責任をすべて押し付けて亀田ジムのライセンスを停止し、実質的に亀田三兄弟が日本国内で選手活動を出来なくなるという処分を下しました。

いわば責任転嫁した上に、嫌がらせとも言うべき罰を与えたわけです。

その結果、オープンしたばかりだった亀田兄弟のジムはやむなく閉鎖。国内での活動が出来な くなったため、海外で試合をしようとすると、今度は海外の統括団体にJBCから書面で横やりが入るといった妨害もありました。亀田三兄弟は、そうしたJBCによる不当な処分や妨害行為によ って被った損害を請求する訴訟を2016年に起こして、3年にわたって戦ってきたのです。

亀田側がJBCに対して請求した金額は6億6千万円。それまで数年間に三兄弟がボクシング興行から得られた収入を根拠にしており、会計士が作成した過去の納税書類などが証拠として提出されており、裏付けがある数字です。

朝日新聞の記事によるとJBC側の資産総額は2018年度時点で620万円。裁判所が提案した和解勧告の金額が4000万円なので、判決ではさらに高額の賠償が予想されます。このままいけば財政破綻は必至の状況です。

 

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目を疑うような総括団体の内紛

そもそもJBCはなぜこんなに金がないのでしょうか?

実はJBCはここ数年来、不当解雇した職員相手の裁判で負け続けて莫大な資産を失っているのです。

事の発端は2011年。当時事務局長だった安河内剛氏の女性スキャンダルが週刊誌に報じられたことから、組織を二分する人事抗争が勃発。混乱に乗じて多くの職員が懲戒解雇され、彼らに代わってレフェリーやリングアナウンサーが組織の実権を握るという異常事態に発展したのです。

安河内氏も組織を追われますが、その後の裁判では、解雇された全ての職員が勝訴または勝訴的な和解となり、JBCは未払い賃金や訴訟費用で数千万円の損失を出したのです。この時点ですでにJBCの財務状態は火の車となっていました。

完全勝訴した安河内氏はJBCに復職し、現在も事務局長として辣腕を振るっています。一旦内部抗争で敗れて野に下った人が、裁判で勝って元の地位に戻るということは日本の組織では相当に異例だということは、読者の皆様にも分かっていただけると思います。

安河内氏排除に協力したドサクサJBC潜り込み、今は職員になっているリングアナウンサー(テレビでもおなじみの方です)は、世界戦に使用するグローブを巡って亀田興毅氏と議論が紛糾した際に詰問されたことで逆上し、「亀田兄弟に監禁・ 恫喝・暴行された!」と言いがかりをつけ、亀田兄弟を民事裁判で訴えて記者会見まで開いて大騒ぎしましたが、一部始終がビデオで撮影されていたことでウソがばれて逆に敗訴し、約300万円の賠償が命じられました。

あなたの会社に「取引先で監禁されて恫喝されて暴行されました!」と大騒ぎしていたけけれど、良く調べてみたら狂言だった、という同僚がいたらどう思いますか? JBCは現在も、そういう人たちに組織を乗っ取られた状態が継続している…と言えるのです。

判決が出るのは1月31日。同じ日に沢尻エリカの初公判もあるそうです。(文◎ボクシングブログ HARD BLOW!管理人 旧徳山と長谷川が好きです)

 

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