弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに答えるこの連載。今回の相談者は山田美帆さん(仮名・38歳・公務員)です。

「結婚を前提に5年間同棲している彼(36歳・非正規教員)が、ほとんど生活費を入れません。私は公立小学校で学校事務をしているのですが、彼の手取りの月給が11万円程度しかないことはわかっていました。5年前に同棲を始めた当初は、月給が10万円を切っており、『払える時でいいよ』と言っていました。

彼はそれから正規採用試験にも落ち続け、今は非正規雇用の講師の座に安住しています。実際に正規採用されると、仕事が超ブラックになることもわかってきたみたいです。それよりも、子供の教育に時間も能力も使えるのがいいみたいです。でもそれも、私が生活費を出している安定感があるからですよね。

せめて結婚してくれればいいのですが、彼のお姉さんが結婚していないから結婚できないんです。お姉さんは私が彼の家にあいさつに行った時に、『私より先に弟が結婚するなんて許せない』と激怒。結婚も立ち消えになりました。

そんな最近、彼に浮気の疑いがあったり、私の給料が減らされたりして、関係を見直したくなってきました。今までの生活費(家賃・光熱費・食費・通信費)の半額を払わせたいのですが、それはできるのでしょうか?」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

同棲でもめるケースは多々あります。それはお互いにラブラブな時期に、“相手の人間的な本質”を見ないまま見切り発車的に開始してしまうことも、ひとつの大きな原因です。

また、相談者さんのケースだけでなく、今友人同士で一緒に住むシェアハウスを選ぶ人も増えています。お互いに収入が少ないという場合など、ふたりで住めば家賃や光熱費の負担が半減できるメリットもありますが、お金や家事の負担などでもめるケースもあるようです。

いずれにせよ健康で働ける心身の場合、お互いに尊重しつつ同棲生活を継続させたいなら、最低限のルールは守るべきです。どちらかが不当にガマンしているなど“ひずみ”があるなら、話し合いなどで修正を重ねて行き、場合によっては同居を解消することなどが必要です。

さて、あなたの場合、まず考えなくてはならないのは、“彼との生活と将来”はどういうものなのか、ですね。すでに夫婦同然に協力して生きているのか、結婚したいと考えているのか、そこまでではない場合にこのまま関係を継続するのか、解消するのか……。

ちなみに婚姻届が出されていなくても、“男女の双方に”婚姻の意思があり、共同生活をしていて、社会的にも夫婦と認められるほど夫婦的な実体があることを、法律的に“内縁関係”“事実婚”などと言います。これに当てはまりますでしょうか? 

これを踏まえた上で、考えていきます。

5年間同棲していたということは、かなりの長期間同棲生活を送っているわけですが、彼は未だ非正規職で収入が安定しておらず、ほとんど生活費を入れないということから、自ら責任を持って共同生活を維持する意思や覚悟が弱いようです。しっかりしたあなたに、単に甘えて生活しているだけという印象です。

内縁とまでは言えないとすると、ふたりの生活を開始するときに、生活のルールを約束事として決めたかどうか。決めていたとしても、言った言わないになっているようならば、決めた内容を書面などで残していたかどうか。

また、彼が過去に生活費を支払ったことがあったとすれば、その証拠(振込明細等)は残っていますか?過去に彼が生活費を支払ったことがあって、継続性があれば、生活費分担の約束があったことを示す事情のひとつになりえます。

内縁とは言えず、生活費分担の約束もしていないかあいまいだとなりますと、法的に回収したいと訴えを起こしたとしても、きっちり認められるのは難しいでしょう。

彼は生活費は出さないものの、料理や洗濯、掃除はマメにしていたという。

賢人のまとめ

生活費をまとめて支払わせるのは、困難な可能性が高い。自分の今後を優先して考えて、将来の選択を。

プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/

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