近年話題のeスポーツ
その世界で活躍を続ける、東大卒のプロ格闘ゲーマーがいる。

・2017年 EVO(最大の世界大会)優勝
・2018年 カプコンプロツアー年間ポイント1位
・2019年 NCR(アメリカ)、Game Over(ドミニカ)、カナダカップ優勝
と、毎年輝かしい成績をあげている、ときどさんだ。

そんなときどさんが執筆した『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』ダイヤモンド社刊)は、変化が激しいeスポーツの世界で、いかにして勝つか、その努力のやり方をまとめた一冊だ。

■新しい努力の方法「努力2.0」とは

本書はeスポーツについて書かれたものではあるが、ときどさんがスランプの中で見つけた「勝つための努力」は、どんな人であっても、仕事や人生に役立つものである。

ただ努力と言っても、歯を食いしばってがむしゃらに頑張るというものではない。これをときどさんは「努力1.0」と呼ぶ。
「勝利」や「正解」、「合理性」にとらわれず、無理をしない。「負け」の中から答えをさがしていく。一度壁にぶつかったときどさんだからこそ見つけた、新しい努力の方法が「努力2.0」なのだ。

変化が激しい世界では、コツコツ頑張るだけでは、逆に結果が出ないというときどさん。
eスポーツ業界で戦うことは、変化と戦うことに等しいのだという。とくに対処が難しいのは「メーカー側によるルールの変更」だ。

将棋であれば、ルールがころころと変わる事はまずあり得ない。しかし企業にとってゲームはひとつの商品であり、変化をつけることで消費者を飽きさせないようにしなくてはならない。ゲームを面白くするためならばルール変更は当たりまえだ。
業界で「調整」と呼ばれるこのアップデートは、オンライン上でゲーム内容を変更できるようになったため昔より頻度が高くなっているそうだ。

eスポーツならではの事情だが、戦い方に直接影響するキャラクターの性能が突然変わってしまえば、プレイヤーにとっては大問題。アップデートの具体的な内容が事前に告知されることはないという。
いつどうなるのかはメーカー次第。それに備えて、対策を考えておくことが重要だ。

■ラクできる環境は、いつか調整される。

本書によれば、ときどさんは常に「ラクできる環境は、いつか調整される」ことを意識しているそうだ。

ラクができない環境における戦い方をあらかじめシミュレーションしておいたり、ときにはバックアップとして別のキャラクターに目をつけておく。想像力を持つことがゲームへの理解を深めるので、今すぐに勝率に結びつかなくても役に立つという。
強力で簡単なキャラクターや技に依存しているプレイヤーはいざ調整が入ると途端に勝てなくなってしまう。

「毎朝、『自分の通信簿』をつける」や、「家に置くのは『ベッドだけ』」など、ときどさんのゲームに対するストイックさと情熱を知る事ができる本書。勝つことが仕事であるトッププロゲーマーの努力の手法は、ゲームはもちろん他の分野であっても成長できるヒントをくれるだろう。

(ハチマル/新刊JP編集部)

『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』(ダイヤモンド社刊)