広々としたリビング、使い勝手の良いキッチン、清潔な水回り……。もっと良い家に住みたいと思っている人も多いでしょう。

今回は街の不動産業者が教えてくれない「良い賃貸住宅を選ぶための秘訣」を、メガバンクの行員として不動産業者を担当した筆者が、彼らから聞いた話をもとにお伝えします。

1. 大家さんと交渉をする

固定資産税などの経費を支払っている大家さんにとって、一番のリスクは空き部屋の状態が続くことです。大家さんはもちろんのこと、仲介をする不動産業者も物件を借りて欲しいと思っているわけですから、積極的に交渉していきましょう。

敷金礼金をゼロにしてもらう、家賃が発生しないフリーレントの期間を1、2カ月作る、家賃を毎月1万円引いてもらう、などが通りやすい条件です。

また、大家さんの中には縁起を気にして年を越す際に満室稼働を希望する人や、決算を控える四半期末に少しでも空き家を減らしたい人もいるので、たとえ一度交渉が叶わなくても、交渉時期によっては再トライしてみるとあっさり通ることもあります。

また、サイトに掲載されてから日が経っている物件や、退去後に空き家になっている物件は、大家さんも弱気になっていることが多く交渉しやすいので、掲載日や退去日も確認してみてくださいね。

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2. 時間をかけて探す

国土交通省のデータによると、住宅総数は増え続けている一方、持ち家比率はほとんど伸びていません(昭和43年平成25年)。価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)の資料を見ても、住宅市場は持ち家から賃貸住宅へ構造が変化していることがわかります。つまり、賃貸物件は数が多いのです。

持ち家と違う賃貸の一番の利点は、自分で選べる範囲が広いことと言えます。数の利益を得るために、とにかく時間をかけて探しましょう。

不動産情報サイトには、今住んでいる賃貸住宅の契約が切れる1年前から登録しておくのが良いですね。平米数と最寄り駅からの所要時間ごとの相場がいくらくらいなのか、最初はよく分からなくても、物件を見ていくうちに適正な価格というのが分かるようになります。

サイトから条件に合ったメールがきた際は積極的に内見に行き、最低でも半年、できれば1年はかけて、しっかり見極めましょう。そうすると、不動産業者でなくても、出物と呼ばれる良い物件を逃さずに捉えることができるようにもなります。

3. 築浅で駅チカの物件を選ばない

新築住宅や中古物件と比べた賃貸の大きな違いは、価格感受性が高いということです。

賃貸物件は築年数が20年を超えたり、駅からの距離が徒歩15分以上になったりなど条件が悪くなると、家賃が急に安くなります。同じ平米数や同じ家賃で住める物件が、全然違ってくるのですね。

家が古いとエアコンの効きが悪かったり水回りのトラブルが起きることなどを懸念する方が多いかもしれません。ただ、賃貸なら、状態によっては管理会社や大家さんの負担で交換することも可能です。

それよりも家賃が安くなったり、平米数が増えて広々と使える方が、日々の生活の質を上げてくれるという考え方もあります。駅から遠くて築年数が経っている物件も候補に入れていきましょう。

まとめにかえて

良い賃貸物件を見つけるためには、大家さんと積極的に交渉をすること、時間をかけて探すこと、築浅で駅チカの物件を選ばないことが秘訣でした。

日本では人口減少に伴い世帯数は少なくなっていくにも関わらず、しばらくは建設ラッシュが続くと言われています。そのラッシュが終わると物件がダブつき、住宅の値段は上がりにくくなりそうです。それを考えると持ち家というのはリスクが大きいかもしれません。

ライフスタイルに応じて柔軟に転居することのできるのが賃貸物件のメリット。賃貸物件に割安で住んで固定費を削減することで、自分への投資や旅行など、気持ちよく使えるお金を増やしてくださいね。

【参考資料】
平成30年度 住宅経済関連データ」(国土交通省
賃貸住宅市場の実態について」(株式会社価値総合研究所)