―[インテリジェンス人生相談]―


 “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

発達障害の私はどうしたら彼女ができるでしょうか?

★相談者★ヘンリーペンネーム) 販売員 男性 29歳

 私は、広汎性発達障害を抱えており(ASDとADHDの混合)、大学を卒業してからもなかなか仕事が安定せず、ようやく障害者雇用での再就職ができて、なんとか仕事を続けられています。佐藤氏は、岩波明氏の著書『発達障害』(文春新書)の推薦の帯を書かれていたので、発達障害についてはある程度ご存じと思いますが、私はコミュニケーション能力などに問題があります。

 でも、ずっと独りが好きなのではなく人並みに孤独感というか寂しさも感じています。街中でカップルが微笑ましそうに並んで歩いているのを見ると、羨ましくて辛いです。ただ、彼女をつくるきっかけがつかめず、そもそも同性・異性を問わず人見知りな気質もあるせいか、他者との関係がなかなか発展しづらいです。

 もちろん、主治医・カウンセラーに優先的に相談すべき事柄なのでしょうが、敬愛する佐藤さんの知見も一度伺ってみたいと思い、投稿した次第であります。私は、どうすれば彼女ができて結婚が出来るでしょうか?

佐藤優の回答

 人にはさまざまな個性があります。広汎性発達障害も、あなたの個性です。その現実を認め、障害者手帳を取得し、障害者雇用の枠で仕事を見つけました。この選択自体が立派なことです。発達障害を持っていて通常のペースで働くことができなくても、その現実を認められずに障害者手帳の請求を行わない人が私の周辺には何人もいます。発達障害から生じる問題は、自己流の努力で解決することは難しいです。専門家の助言を受けることが重要になります。

 パートナーを見つけたいということについても、主治医とカウンセラーに積極的に相談したほうがいいと思います。最も重要なのは、「私は発達障害なので、生涯、恋人や配偶者ができない」と決めつけてしまわないことです。私の周囲にも自閉症スペクトラムやADHDと診断されている人で恋人を持っている人、結婚して子供のいる人が少なからずいます。あなたの個性を受け止めてくれる人は必ずいます。

 職場やあなたが接している人の中で、個人的関係を拡大する努力をしてみましょう。留意すべき事項はカウンセラーからよく聞いておくことです。気になることがあれば、遠慮なく相談しましょう。カウンセラーも主治医もあなたのプライバシーは守るので、遠慮する必要はありません。

 出会いの場がないならば、市町村の行政機関に相談してみるといいと思います。行政機関は無料で結婚相談所のような活動をしています。ここであなたの個性と合致する人を見つけることができます。また、同じ障害を抱えた人のほうが相互理解が進むということならば、広汎性発達障害の人たちが支え合うグループがありますから、加わってパートナーを探していることを率直に伝えるといいでしょう。

 女性でもパートナーを求めているが、出会いの機会がないと悩んでいる人がいるはずなので、互いの関心が一致する可能性が高いと思います。いずれにせよ、重要なのは自分で自分にプレッシャーをかけないことです。発達心理学者の森口佑介氏はこんな指摘をしています。

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 ストレス時にはブレーキハンドルの機能が著しく低下してしまいます。仕事で疲れているとき、人間関係でトラブルになったとき、感情や思考をコントロールすることはできません。強いストレスを感じているときには、休息が必要です。

 関連して、睡眠不足のとき、不安なとき、抑うつ気味なときのように、精神的に健康ではないときにも実行機能はうまく働きません。このようなときに大事な決定をすることは避けたほうが無難だと思います。(森口佑介『自分をコントロールする力』202頁)
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 このアドバイスはとても重要です。人間関係を構築するには大きなエネルギーが必要とされます。疲れたと思ったら休息する必要があります。リラックスしながら頑張ってください。よい結果が出ることを祈っています。

★今週の教訓……広汎性発達障害もあなたの個性です

佐藤優
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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