どこの学校にも問題のある教員はいる。公立の学校であれば、教育委員などに相談することもできるが、私立の学校だとそうはいかない。その学校が独自に教員を採用し、その教師をどのように処罰するかは学校に一任されている。

 そのためだろうか、首都圏にある私立の小学校では、生徒に暴言を吐いたり、体罰だと思われる行為をしたりしている教師が処分されずに野放しになっている現状があるという。

◆教員が生徒に「何も努力をしていないのに良い時計をつけるなよ」
 子どもが暴言の被害にあった保護者Aは話す。

「4年前かな。1年半くらい悩まされましたよ。担任が、子どもに暴言を吐くんです。『何も努力をしていないのに、そんな良い時計つけるなよ』と。

 生徒同士のいじめに荷担することも。授業中、他の生徒が集中していない生徒を先生に大声でチクると、『よくやった!』と言い、チクられた生徒は廊下へ引きずり出されます。拒否した場合は力ずくで引っ張ります。うちの子も、強く握られたような痣を作って帰ってきました」

 保護者Aは何度か学校に苦情を言ったりもしたという。しかし保護者の主張を聞いた担任は、あろうことかキレ始めたという。「あんたの育て方が悪い!しょうもない弁当を作ったりして!」

 弁当の話をされた時、保護者は「意味がわからなかった」と話す。

 このチクリ制度の影響で、生徒が教師に特定の児童に関するウソの報告をするという。この時に根付いたいじめは、別の形として今も残っている。中には学校にあまり来なくなった子もいるという。

 担任が生徒に暴言を吐いたり、力づくで老化に引きずりだすのは明らかに問題だが、学校側はこの問題を隠蔽してしまった。保護者Aは録音やいじめの傷、教員が掴んだ痕の写真といった物的証拠を揃えていた。そこで取材班が「学校名を出して、報道しましょうよ」と提案。

 しかし返って来た返答は、「私がマスコミにチクったとバレるじゃん。保護者のグループで派閥ができているのよね」というものだった。

 取材班は同じ学校に子どもを通わせる別の保護者Bからも同様の話を聞くことができた。教員の体罰のせいである児童に痣が残ってしまったときの写真も見せてもらうことができた。しかし子どもがまだ学校に通学しているため、表沙汰にはできないという。

◆私立学校で生まれる保護者派閥
 保護者Aが言うには、私立小学校へ受験する際に、子どもが通う進学塾ごとに保護者グループが生まれるという。そのグループ同調圧力の世界であり、排他的だとのこと。総意に逸れた意見を言う人は排除されるそうだ。

 中には、生徒の成績を上げてもらうために、担任の教師と親交を築いたりする人もいるという。学校外で、家族ぐるみで食事や外出を行うことは頻繁にあるそうだ。

 保護者Aはこう続ける。「実はね、チクリ制度で被害に会った子は30人クラスの2割くらいかな。それで中にはかなり抗議をした親もいる。

 それからしばらくしてさ、その担任が学校からいなくなったの。急にね。担任と仲良くしている保護者グループとしては、とっても嫌な状況。抗議した保護者のデマを子どもに吹き込んでいるらしよ。それでいじめが深刻化しているらしいし」

 取材の帰り間際に保護者がこう言い残す。「この問題ウチだけだと思うでしょ?他の学校でもよく聞くよ」。

◆学校関係者が証言 「そのような話は、聞いたことがある」
 保護者の証言を元に取材を進め、学校関係者と電話でコンタクトをとることができた。だが、答えはノーコメント。誰がそう話しているか分からないのに、具体的にコメントすることはできないという。

 ただ、「そのような話は聞いたことがある」と最後に一言話し、当時の問題教員と問題を隠蔽した管理職の人間は既に退職したと話す。いまは、尻拭いで忙しいといい、電話は切れた。

<取材・文/HBO編集部>