生きたコンクリート/Credit: CU Boulder College of Engineering & Applied Science
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  • セメントの代わりに、バクテリアとゼラチンを用いた新たなコンクリートが開発される
  • ゼラチンを使うことで従来より製造時間を短縮することができ、さらにバクテリアが生きている限り、再生・複製もできる

アメリカ・コラロダ大学により、画期的なコンクリートが開発されました。

一般的なコンクリートは、砂や水、セメントを混ぜて作ります。しかし新たなコンクリートは、セメントの代わりにシアノバクテリアとゼラチンを使用するというのです。

バクテリアが生きているうちは、コンクリートを再生・修復できるため、まさに「生きたコンクリート」と呼べるでしょう。

研究の詳細は、1月15日付けで「Journal Matter」に掲載されています。

再生可能な「生きたコンクリート」が実現!

作り方はシンプルで、バクテリアや砂、栄養素の入った溶液の中にゼラチンを混ぜて、型に流し込み、冷蔵庫で冷やすことで固まります。固化のプロセスにはバクテリアが持つ光合成能力も関与しており、栄養素を用いて砂を固めています。

また、コンクリートが緑色になるのも特徴の一つです。これについて、研究主任のウィル・スクルーバー氏は「フランケンシュタイン物質」と評しますが、色はコンクリートが乾燥するにつれて、消えていくそう。

Credit: cell.com

さらに、従来のコンクリートは製造過程で温室効果ガスを排出しますが、バイオコンクリートはその心配がありません。また、ゼラチンを使うことで、従来よりも最大強度まで固まるスピードが速くなっています。

強度の点では従来のコンクリートに見劣りするものの、平均的な成人の体重を支えるには5センチ四方の立方体型で十分だそうです。

スクルーバー氏(左)/Credit: CU Boulder College of Engineering & Applied Science

最大の利点は、再生・修復の能力でしょう。

バイオコンクリートは乾燥した場所で保存すると、数日で最大強度に達し、バクテリアが死滅し始めます。しかし、数週間の間はバクテリアも生きているため、再び同じ材料を加えると再生や複製が可能です。

例えば、コンクリートを2つに分割して、それぞれにバクテリア溶液を加えると、元の大きさのコンクリートが2つ出来上がります(下図の紫)。

Credit: cell.com

しかし、バクテリアが完全に死滅すると、再生や修復もできなくなるため、使用環境が制限されます。湿度が低い砂漠地帯などでは、あまり有益とはならないでしょう。

一方で、コンクリート内のバクテリアが生きてさえいれば、高温多湿な場所に晒すことで再び活発になります

研究チームは、今後、乾燥に強いバイオコンクリートの開発に取り組む予定です。

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reference: nytimes / written by くらのすけ
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