歌手の美空ひばりさんが亡くなってから、2019年で30年…NHKは『AI(人工知能)』を駆使し、現代に美空ひばりさんをよみがえらせました。

同年12月31日に放送された特別番組『第70回紅白歌合戦(以下、紅白)』では『AI美空ひばり』が登場し、新曲を披露。

映像を元に美空さんの表情を分析した3Dがステージに登場し、膨大な音源を使った音声合成秋元康さんが手がけた新曲『あれから』を歌い上げました。

[NHKスペシャル] AIでよみがえる美空ひばり | 新曲 あれから | NHK

曲の間奏では、音声合成による「お久しぶりです。あなたのことをずっと見ていましたよ。頑張りましたね。さあ、私の歌でまだまだ頑張って」というセリフも。

『亡くなった人が最新技術によって再びステージに舞い戻る』という斬新なパフォーマンスは、ネットで話題になりました。

山下達郎、紅白の『AI美空ひばり』に「冒涜です」

歌手の山下達郎さんがパーソナリティを務める、ラジオ山下達郎サンデーソングブック』(TOKYO FM)。

2020年1月19日の放送で、『AI美空ひばり』にまつわるこのようなメールが読まれました。

単刀直入にお聞きします。昨年の紅白『AI美空ひばり』をどう思われますか。

私としては技術としてはありかもしれませんが、歌番組の出演、CDの発売は絶対に否と考えます。

『AI大瀧詠一』『AI山下達郎』なんて聴きたくありません。

山下達郎のサンデー・ソングブック ーより引用

紅白放送時、『AI美空ひばり』に対する称賛の声だけでなく「死者の姿や声を使って、他者が本人の意思とは異なる言葉をいわせてはいけない」といった批判の声もネットで多数上がり、議論になっていました。

メールの投稿者は、紅白を見て批判的な意見を持ったのでしょう。AIの技術としては素晴らしいものの、こういったパフォーマンスは快く思っていないようです。

メールを読み上げた後、山下さんはキッパリとこういいました。

ごもっともでございます。

ひと言で申し上げると、冒涜です。

山下達郎のサンデー・ソングブック ーより引用

深くは語りませんでしたが、山下さんも『AI美空ひばり』をバッサリと否定。

「死者への冒涜である」という強い言葉を使ったのを見るに、怒りを感じているのかもしれません。

山下さんの発言はネットで拡散され、いろいろな意見が上がっています。

・この放送を聞きました。バッサリといい切っていて気持ちがよかったです。

・達郎さんも反対派だと思ってました。いつかAI山下達郎なんて見たらショックで泣きます。

リアルタイムラジオを聴いていて、達郎さんの短い言葉の中に強烈な批判精神を感じた。

人の考えは異なります。亡くなった人がAIでよみがえった姿を見て嬉しいと思ったり、救われたりする人もいます。

とはいえ、亡くなった人の意思が分からない以上、こういったパフォーマンスは賛否が分かれるのは仕方がないのでしょう。

今後さらに技術が発達し、表現上の倫理の問題は増える可能性があるかもしれませんね。


[文・構成/grape編集部]

出典
山下達郎のサンデー・ソングブック[NHKスペシャル] AIでよみがえる美空ひばり | 新曲 あれから | NHK