南アフリカの玄関口であるO・R・タンボ国際空港は常に多くの人が行き交っているが、その一角でひっそりと佇んでいるものがある。大型ピックアップトラックが駐車場に15年も放置されているのだ。この国際空港の駐車場には、所有者が現れることなく放置されている車が実に70台あると『TimesLIVE』など複数のメディアが取り上げている。

南アフリカ空港会社(Airports Company South Africa)」では、車の所有者を探し出して長年空港に停めていた分の駐車料金を請求するという。空港の駐車料金は一日45ランド(約340円)で、停めていた期間の駐車場代はきっちり清算するとのこと。放置されている70台分の駐車料金だけで総額100万ランド(約760万円)に上り、そのうち15年駐車しているピックアップトラックの駐車料金は8万5千ランド(約65万円)になる。所有者はかつて取った駐車券と膨れ上がった駐車料金を支払わないと車を返してもらえない。

しかしO・R・タンボ国際空港の担当者であるサムケロ・カンブレさん(Samukelo Khambule)によると、車の所有者に連絡を試みるも誰とも連絡がつかないそうだ。とはいえ、空港側がこの放置されている車を勝手に処分することはできない。カンブレさんは「車の所有権がなく、車両登録などの書類もないのに車を処分したり売却することはできないため、処置に困っている」と述べている。

空港では、長期放置した車を処分できる権限を持てるよう裁判所に問い合わせているとのことだ。一方で放置してある車を偽の所有者が勝手に持って行かないよう、所有者には車両登録証などの所有者である証拠を持ってくるよう呼びかけている。

なおこうした放置車は、実は空港だけではない。南アフリカ紙『サンデータイムズ』によると、2010年にサッカーワールドカップ南ア大会を記念して開通された電車「ハウトレイン」のサントン駅にある駐車場にも2年間放置されたままの車があるそうだ。サントン駅地下駐車場に停められているアウディは、その後の調べで芸術・文化省の局長であるチャールズ・マバソ氏の車であることが分かった。サントン駅地下駐車場の料金はハウトレイン利用者の場合で一日23ランド(約175円)、2年で1万7千ランド(約13万円)になるが、ハウトレイン利用者でない場合は一日の駐車料金は100ランド(約760円)に跳ね上がる。同紙はマバソ局長に連絡を試みているが、いまだ音沙汰がないという。

さらにダーバンにあるキング・シャカ国際空港では、2011年4月から駐車したままの白い乗用車がある。駐車場は屋外にあるため長年の風雨で汚れが目立ち、車のナンバーもついていない。この空港の長期駐車利用の場合、駐車料金は一日80ランド(約600円)となり、9年で総額23万5千ランド(約179万5千円)にも上るそうだ。

画像は『TimesLIVE 2020年1月16日付「Bakkie to the future: it’s been 15 years so please collect your car」(Image: Matthew Savides)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

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