愛息子の誕生から3カ月間以内に2週間「育児休業」する小泉進次郎環境大臣の表明をきっかけに、男性の育休取得率の高まりが期待されている。しかし、肝心の妻からは必ずしも夫の育休は歓迎されていない可能性もある。民間のアンケート結果から、そんな女性たちの本音が浮き彫りになった。どんな声が集まったのだろうか。

●妻たちは「父親の自覚を持って」「自分を優先する姿勢を見直して」

アンケートは、日本財団と子育て情報サイト「ママリ」運営のコネヒト株式会社が共同で、2019年10月にインターネットで実施した。調査人数は3992名(有効回答3899名)。その内、508名は夫が育休を取得した。 

「今後、夫(パートナー)に育休を取得してほしいと思います」という質問に対し、「とてもそう思う」(21.8%)、「ややそう思う」(30.7%)という声がある一方で、「まったくそう思わない」(16.7%)「あまりそう思わない」(30.8%)として、消極的な妻は約半数にのぼった。

妻が消極的な理由として「夫婦2人でキャリアを喪失する必要はないと思う」「自分のペースで子育てしたいのとお給料面で不安」という声が上がった。

●「父親の自覚を持って」「自分を優先する姿勢を見直して」

では実際に、夫が育休を取得した家庭では、妻はどう感じたのか。

夫が育休を取得した508名に尋ねると、育休を取得したといっても、期間は短いこともわかった。「1カ月未満」が291人、「2カ月未満」が97人、「3カ月未満」が35人と、大半は3カ月未満にすぎない。

「育休中の1日あたり家事・育児時間が2時間以下」の夫が約3人に1人だった。自由回答には手厳しい指摘が並んだ。

「指示待ちではなく主体的に動いてくれれば満足度が上がったと思う。新生児の時だったので協力、ではなく父親の自覚を持って自分事と捉えて動いて欲しかった」

「育休を取っても家でだらだら。結局家のことは私がやっていた」

「4日しかない育休を自分の都合で日にちを勝手に決めて、その内何日かは自分が遊びに行くことに使った」

「自分のことばかりを優先する姿勢を見直してほしかった」

●「お手伝い」ではなく「主体的な姿勢で取り組む必要がある」

ママリ編集長の湯浅大資氏は1月22日厚生労働省で開かれた記者会見で、「調査対象の半数がとって欲しくないという結果は衝撃的だった。育休取得者の3人に1人の家事育児時間が2時間以下という事実を考えると、質の話をしないまま増加率だけにこだわっても、良い結果が得られないのではないか」と指摘した。

「半数はそもそも否定的な現状がある。男性が、妻の心身の状況や、自分が育休を取得するメリットを理解するとともに、家事や育児に必要なスキルを習得したり、主体的な姿勢で取り組んだりする必要がある」(湯浅氏)

育休をめぐっては、休業中の補償など経済面やキャリア形成上の不安を取り除くためにどんんな制度を構築するかなど課題は山積みだ。

このアンケート結果からは、男性が育休を取得できたとしても、それが夫婦で育児をしたことにはつながらないケースもあることがわかる。制度整備だけでなく、夫婦がともに育児をしていく強い意思と意識のすり合わせもあわせて行わなければ意味がないのだろう。

妻の半数が「男性の育休」を望まないワケ…取得しても「1日あたりの家事育児は2時間以下」「家でダラダラ」