舞台「鬼滅の刃」の公開ゲネプロが、1月17日(金)、東京・天王洲 銀河劇場で行われた。原作はご存知、吾峠呼世晴(集英社週刊少年ジャンプ」連載)による大人気コミック。脚本・演出を担当する末満健一らスタッフ陣のプロフェッショナルな仕事ぶり、そして竈門炭治郎役・小林亮太をはじめとするキャストの熱演により、2.5次元の舞台に「鬼滅の刃」の世界が鮮やかに描き出された。

舞台「鬼滅の刃」公開ゲネプロより

舞台では、原作序盤のエピソードを2幕構成の約2時間40分(休憩15分含む)にて上演。炭治郎(演=小林亮太)が鬼殺隊に入隊するまでの道のり、鬼舞辻無惨佐々木喜英)との邂逅、我妻善逸(植田圭輔)・嘴平伊之助(佐藤祐吾)と再会しての“共闘”などが描かれる。

鬼滅の刃」といえば、人と鬼の迫力ある剣戟が魅力のひとつ。作中に登場する“呼吸法”や“血鬼術”による技を、舞台版ではプロジェクションマッピングや照明を駆使し、さらに黒子をまじえて躍動感たっぷりに表現している。全編に渡ってほぼ出ずっぱりの炭治郎役・小林を筆頭に、稽古期間、相当な鍛錬を積んだことがうかがえた。

ファンをつかんで離さない、心揺さぶるストーリーも、歌という要素が加わることでさらにドラマ性を増している。オリジナル楽曲を手がけるのは、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!シリーズなどで知られる和田俊輔。美しいメロディーに乗せ、ナレーションから登場人物の心情、そして原作読者にはおなじみの印象的なセリフが届けられる。なかでも、宝塚歌劇団出身の珠世役・舞羽美海の表情豊かな歌唱は必聴だ。鬼として永い月日を生きる珠世の心情が、静かな旋律を通じて切なく描かれている。

そしてなんといっても、キャスト陣の熱演ぶり! 若干17歳の高石あかりは、鬼となり飛躍的に身体能力の上がった禰豆子を、文字通り全身で表現してみせた。物語冒頭、本田礼生による冨岡義勇と高石演じる禰豆子が激突するが、まさに体当たりの演技で見る者を釘付けにする。殺陣以外のシーンでも、竹製の口枷をはめられて話すことはできないものの、自分の意志を行動で示す禰豆子を見事に演じ切っている。また小首を傾げる仕草や、ぴょこぴょこと音が聞こえそうな足取りなど、随所に禰豆子らしさを散りばめるのも忘れていない。

我妻善逸役の植田と嘴平伊之助役の佐藤は、突き抜けたキャラクターコミカルに演じると同時に、抜群の歌唱力と迫力満点の殺陣を披露。植田は「汚い高音」と称される善逸の絶叫をはじめ、完全に役を自分のものにしている。善逸が登場した途端、植田が生み出す絶妙な間合いに、記者席からも笑い声が聞かれたほどだ。一方の佐藤も、イノシシの頭をかぶり、上半身は裸という伊之助のいでたちを完全に再現。キービジュアル撮影時からさらに鍛え上げられた筋肉でもって、獣を彷彿とさせる野性味あふれた殺陣を披露し客席を沸かせた。炭治郎と善逸とのやりとりでは、猪突猛進ぶりだけにとどまらない伊之助の魅力も垣間見え、舞台上でも奥行きのあるキャラクターとして描き出されている。

炭治郎たちと対峙する鬼舞辻無惨役・佐々木喜英は、謎多き役どころを魅力たっぷりに演じている。その洗練された立ち振る舞いはもちろん、迫力のにじむ歌声も印象的。炭治郎ら鬼滅隊たちの歌声が響くなか、たったひとりで己の美学を貫くかのように歌う姿は圧巻だ。

主人公として座長として、皆を牽引する炭治郎役・小林の姿は、彼がいたからこそ舞台「鬼滅の刃」が成立したのだという説得力に満ちたものだった。炭治郎は鱗滝左近次(演:高木トモユキ)のもとで修行後、鬼滅隊に入り、鬼たちと戦うまでに成長する。鬼滅隊に入隊するまで2年もの月日が流れるが、小林はその道のりを全力で演じきり、観客も同じ時間を過ごすなかで自然と炭治郎を応援するようになっていく。終盤に登場する「ちょっと申し訳ないけど……」ではじまるあの台詞や、「俺は⻑男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」などが聞かれる頃には、誰もが小林と炭治郎を重ねているに違いない。

東京公演は天王洲 銀河劇場にて1月18日(土)~26日(日)、兵庫公演はAiiA 2.5 Theater Kobeにて1月31日(金)~2月2日(日)まで上演。千秋楽公演では、ライブビューイングが行われる。さらに、本公演の模様を収めたBlu-rayDVD7月22日(水)に発売されることも決定! 完全生産限定版には、メイキングバックステージ映像などを収めた特典ディスクブックレットが付属する。こちらもあわせてチェックしてほしい。(WebNewtype・取材・文=藤谷橙子)

舞台「鬼滅の刃」公開ゲネプロより