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Bruno /Germany from Pixabay

 甘い糖と脳の報酬系との関係を明らかにした研究なら腐るほどある。それなのに、この分野はまだまだ分かっていことがたくさんだ。

 今回、デンマークの研究者がブタを対象にした実験を通じて教えてくれるのは、甘いものが脳内に引き起こす化学的変化についてだ。

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人間の脳を理解するにはブタの脳が最適

 ブタは実験動物として特に標準的というわけではない。しかしオーフス大学の研究グループによれば、糖類と脳の関係をもっと理解するには、ブタを使うべきなのだという。

 ブタの脳はネズミよりも複雑で、人間のように変動する。また十分に大きいので、人間用の機器で構造を解析できる。

 さらにゲームや性行為、恋愛や食事といった脳の報酬系を活性化させ、データに狂いを生じさせてしまう様々な要因を回避することも容易だ。

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HG-Fotografie from Pixabay

ブタに12日間砂糖水を飲ませただけで報酬系が活性化


 ミカエルウィンテルダール氏らは、ブタ7頭に12日間毎日、砂糖水2リッターを飲ませるという実験を行った。このときの脳をスキャンし、実験前後で生じた変化を確認する。

わずか12日で、脳のドーパミン系とオピオイド系で大きな変化が観察されました。実際、幸福感や快感に関連する化学反応を担うオピオイド系は、初日から早くも活性化していました。(ウェンテルダール氏)

人間が誘惑に弱いのは、楽に報酬系を活性化させようとするから

 こうした結果は、糖の摂取と神経伝達物質に関する過去の研究とも一致する。

 糖類が脳に与える影響は、コカインをはじめとする依存性の高いドラッグのそれにも例えられてきたが、ブタの脳を対象とした実験であっても結果は同様のものだった。

ブタの実験で示されている通り、糖はたった12日で脳の報酬系を変えてしまうのだから、学習や人付き合いといった自然な刺激なんて、糖のような”人工的”な刺激にすぐに押しやられてしまうと想像できます。(ウィンテルダール氏)

 人はドーパミンがもたらす恍惚感を求める生き物だ。手軽で、より強烈な快感を味わえるものがあれば、それを手にしようとするのが人間なのである。 

 この研究は『Scientific Reports』に掲載された。

References:Pig study sheds new light on sugar's addictive impacts on the brain/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52287047.html
 

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