1月17日より全米公開がスタートした新海誠監督の『天気の子』、英題『Weathering with You』がアメリカ国内で大絶賛されています。



◆「天国まで吹っ飛んだ」「美を体現」公開前から熱すぎるツイート
 一般公開に先駆け行われた15日からの特別上映の直後には、参加したファンたちが次々に感想をつぶやいたことで、アメリカ国内のツイッターでトレンド入りし、今も数分ごとに英語での熱いツイートが投稿されています。


「『君の名は。』の続編を観る気分で来たけど、大げさではなく天国まで吹き飛ばされてしまった。今週末は『君の名は。』をもう一度観る。みんなお願いだから『Weathering with You』を観に行って 」


素晴らしい作品。一分一秒が愛おしく、とても心を動かされた。キャストスタッフの皆さんに感謝!」


「観終わったばかりだけど、予想をはるかに上回る出来でした。マコト・シンカイはまたしても見たこともない場所に僕を連れて行ってくれた。この映画が美を定義していると言ってもいい」




 また、作品とともにRADWIMPSの楽曲を絶賛する人も目立ちました。


「唯一無二の才能、マコト・シンカイがまたしてもやってくれた。ため息の出るようなプロットと、実写にしか思えない神がかったアニメーション。衝撃的でエモーショナル。『君の名は。』のさらに上を行っていた。
 RADWIMPSも最高。心からオススメ。10点満点中100万点」


「ハイクオリティアニメーションストーリーもよし。RADWINPSの音楽は素晴らしい


◆現実社会の複雑な問題をエンタメ化し、批評家からも大絶賛



天気の子』はロッテン・トマト批評家から高評価



 評論家からのレビューも上々で、アメリカ最大の映画批評サイトロッテン・トマト Rotten Tomato」によると93%が高評価。


 特に、本作の裏テーマである地球温暖化問題や希望を失った日本の若者たちの現状を、エンターテインメントに昇華させて魅せる手法を評価する評論家は多く、『ザ・ロサンゼルスタイムズ The Los Angels Times 』のチャールズソロモンハリウッド大作と比較してこう評価。


マコト・シンカイは現実世界の複雑な問題を『Weathering with You』というファンタジーに織り込み、我々に考えさえる機会を与えてくれた。莫大なお金をかけて製作される米国のアニメーション作品には欠けている部分だ」




ワシントンポスト Washington Post』のマークリーバーマンは、『Weathering with You』は『君の名は。』のレベルには及ばないとしながらも、「我々の目の前に横たわる環境問題をオブラートに包むことなく、それでも希望に満ちたエンディングを迎えることで、ある種のメッセージを与えることに成功している」と新海監督に敬意を表しています。


『AVクラブ AV Club』のノエル・マーリーは本作のメッセージを、「人生をこれから始めようという二人が、私たちが当然と思って過ごしてきた物事に感謝して生きていける未来、例えば晴れた日を単純に喜べる世界へと導いていく物語だ」と要約しました。


 さらに、大多数のメディアヴィジュアル面でも絶賛しており、「驚くほど美しく、しかし、感情の希薄な都会を舞台にした叙事詩が始まった瞬間から、雲は単なる自然現象以上の力を放っていた」(インディワイヤー Indie Wire)、「マコト・シンカイのアニメーションは見事だ。とりわけ、ジャングルのような東京と、点在する積乱雲のこの世のものとは思えない内部の描写は圧巻」(ニューヨークポスト New York Post)と書いています。



◆特別公開時点で全米2位、6日間で興収5億円超え!




 現在、アメリカでは英語字幕版と吹き替え版の2バージョンで公開されている『Weathering with You』。


 特別上映が始まった1月15日と16日には、なんとあの『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』を抜いてボックスオフィス2位を記録する快挙を2日連続で達成し、2日間の興行収入は約300億(約3億3520万円)になりました。限られた都市・時間帯での上映でここまでの成績を収めるなんて、まったく凄すぎる!としか言いようがありません。


 また、20日の月曜がアメリカの祝日のため、3連休となった週末を含む6日間の興行成績も、500万ドル超え(約5億5630万円)の13位と大健闘しました。




 残念ながら、アカデミー賞にはノミネートされなかった本作。興行的にここまで好調だと、同じ理由でアカデミー賞外国語映画賞だけでなく作品賞にもノミネートと言われている『パラサイト 半地下の家族』(全米公開2019年11月8日)のように、「あと少しだけ全米公開が早ければ、もしかしたら?」と妄想せずにはいられません。


 とはいえ、“アニメ界のアカデミー賞”と呼ばれる、国際アニメーション映画協会が主催するアニー賞では、インディペンデント部門の脚本賞と監督賞にノミネートされている『Weathering with You』。授賞式は現地アメリカ時間の1月25日(土)。この勢いに乗ってぜひとも受賞していただきたいものです。


Sources:「Los Angeles Times」 「Washington Post」「AV Club」「Indie Wire」「New York Post


<文/橘エコ>


【橘エコ】アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。