独特な世界観を持つイラストを描き、SNSで注目を集めているアカウントがある。よく知っている動物や架空の世界の生き物を、シュールな視点で切りとったイラストは、国内外のフォロワーによって拡散され、グッズや書籍などの展開から、情報番組でピックアップされたりする人も。TwitterInstagramで話題の3名のイラストレーターにスポットをあてる。

【画像】脱力系のキリンにワニも超じわる、クセになるKeigoのシュールイラスト集

シュールな1コマ漫画が世界中で人気 イラストフィギュア化も実現 

 Keigoさん(@k5fuwa)はシュールでゆるいタッチが人気のイラストレーターで、Instagramのフォロワー数は104万を超えている。独創的でじわじわと笑えるような作品がたくさん並んでいるが、制作する上でのこだわりもきちんと持っている。

「自分の作品に関しては、迷ったり考えながら描いたものは上手くいかないことが多いので、作業後半でボツにすることが多々あります。瞬時に閃いたことを描き写すだけの作業が理想ですが、それを毎日継続することは難しいです。ただ出来る限り、頭の中で意図と構図が見えていない状態で描くことはしないようにしています」

 イラストの中でも、特に大きな話題を集めたワニイラストは、リアルフィギュアになり商品化もされた。海外でも「Life of Crocodile」(クロコダイルの日常)と題され、国内外からも支持を得ている。

「以前は主にキリンを描いていましたが、だんだんネタもなくなり、長さの向きを縦から横に変えようと思い、ワニをひたすら描くようになりました。何もアイデアが浮かばないときでも、キリンとワニだけはスラスラと描けたので、とても助かりました。学生の頃は立体作品が中心だったので、ワニのイラストフィギュアになって起き上がることは本当に嬉しかったです」

 作品のアイデアは、「生活の中で突然何かが浮かぶのを待っている」というKeigoさん。頭の中に残っているさまざまなアイデアを掛け合わせてイラストを描いたりもしているとのこと。

「『美術』と『描くこと』が好きなだけでここまで続けてきましたが、僕自身には特にメッセージなどはないので、気楽に見て頂いて自由に何かを感じたり、想像を膨らませてもらえたら嬉しいです。あと、娘が大きくなったときに、僕の絵を理解してもらえたら1番幸せだと思います」

■台風対策にも役立つ 生活していく上で参考になる“見習うべきツイート

 最後に紹介するのは「丁寧な暮らしをする餓鬼」(@gaki_teinei)。平安時代末期~鎌倉時代初期に「餓鬼道」を描いた絵巻物のようなタッチイラストを投稿しているTwitterアカウントだ。「テイネイナクラシヲ……ミテモライタクテ……」という理由で投稿をし始めて、1ヵ月ほどで4万フォロワーを集めたアカウントも現在は9万まで増えた。先日発売されたLINEスタンプ12月MVPになる人気ぶりを見せている。

 そもそも「餓鬼」とは、人間が生まれ変わり死に変わりを果てしなく繰り返す世界である“六道(ろくどう)”の中にある「餓鬼道」に生まれた者のことを指す。餓鬼は飢えと渇きに苦しみ、食べ物は食べられず骨と皮ばかり。ギョロっとした目とぽっこり出たお腹で不気味な見た目である。

 そんな餓鬼が、Twitter上で総菜の仕込みをしたり、ビニール袋を三角に折って収納したり、自身の“丁寧な暮らし”を披露。その様子に「見習わなきゃ」「こういうアカウントを見つける度ツイッターを辞めるのは無理だと思わされる」と大きな反響を呼んでいる。

 また、丁寧な暮らしぶりだけではなく、昨年全国で猛威を振るった台風の前後には、側溝の掃除、非常用品の確認、飛びそうなものは家の中へしまうなど、台風前にやるべきことも投稿。「参考になります!」「素晴らしいね」といったコメントが集まり、学ぶところも非常に多いアカウントになっている。

 昨年、そんな餓鬼に夢を聞いてみたところ、「トモダチガ……ホシイ……リアトモガ……イナイ……」との答えが返ってきた。だが、今では猫のマコちゃんと牛鬼と楽しそうに生活をする姿が。1人で始めた丁寧な生活も、にぎやかな日々に代わり、ますます目が離せない存在となりそうだ。

■残り60日を切ったワニ…「終わり」を意識すると生き方が良い方向にいくかも

 きくちゆうきさんは、昨年12月りスタートした4コマ漫画100日後に死ぬワニ」をSNSで毎日更新している。自分の未来を知らずに、普段と変わらない毎日を過ごしている主人公のワニの姿が話題を集め、更新されるたびにフォロワー数は増えていき、漫画のスタート時から倍、60万人を超えている。

 ワニがテレビを見て笑っている1日目から始まった同漫画。2日目以降は、大人気の布団を1年待ちで予約注文したり、漫画ワンピースラストを楽しみにしたりなど、100日後より先の未来を楽しみにするワニの姿も描かれ、「やだ、死なないでほしい」「100日間ずっと笑っていてほしい」とたくさんのコメントが寄せられた。Xデーまで残り40日ほどまできているが、最終的にワニは一体どうなってしまうのか。毎日19時に更新される新作が配信されると、秒速でいいねやRTが増えていく。

 この漫画を描こうと思った理由について、きくちさんは「『いつか死ぬ』生きているということは、いつか死ぬということ。自分の「終わり」や周りの人の「終わり」それを意識すると、行動や生き方がより良い方向にいくのではないか。ワニを通してそれらを考えるきっかけにでもなればいいなと思っています」と語る。

 気になるラストシーンは、きくちさんの中ではもう決まっているとのこと。「自分も100日後にどうなっているかわからない」「毎日を大切に生きなくては」と、自分に重ね合わせながら読んでいるフォロワーも多いようだが、きくちさんも日々メッセージを込めて描いている。

「うまく出来ているかわかりませんが、伝えたいことは作品を通じて伝えられたらと思っています。作品を「きっかけ」に、生き方に影響を与えることが出来たら嬉しいです」

キリンの悲哀をシュールに描いた1コマ漫画が人気のKeigoさん(画像提供:Keigo/@k5fuwa)