2004年に発売され、15年経った今なお多くの人々を魅了し続け、さまざまなメディア展開をみせる「Fate」シリーズ。その原点であり、全ての根幹とも言える『Fate/stay night』とTYPE-MOONのこれまで歩んできた世界をこれでもかと体験できる展覧会「TYPE-MOON展 Fate/stay night-15周年の軌跡-」(以下、TYPE-MOON展)が2019年12月20日(金)~2020年4月5日(日)までソニーミュージック六本木ミュージアムにて開催中だ。

今回はその第2弾であり、『Fate/stay night』本編でも第2ルートとして描かれた“Unlimited Blade Works”(以下、UBW)をテーマに衣替えされた会場をレポート。UBWに変わり、会場にどのような変化があったのかをお届けする。

なお、第1弾“Fate”がテーマとなった展示内容については同じくレポートしているので是非とも目を通して欲しい。

取材・文 / ライオン松本

◆展示物はもちろん、館内もUBW仕様へと変化
前回の展示会場入り口では、巨大なセイバーのイラストと青を基調としたデザインが我々マスターを迎えてくれたが、今回より外観が凛のイラスト+イメージ色の赤を使ったものに変わっているのが入場前から目に入るだろう。

最初のエリアでは第1期の展示と変わらず、TYPE-MOONが同人時代から今に至るまでに手掛けた”お宝たち”を拝むことができる。また、続いてのエリア“ENTRANCE”も前回と同様、セイバーの巨大なスタチューと巨大奈須きのこが、これから体験することになるFateワールドへの見送りをしてくれる。

そして、最初に前回との明確な違いを感じさせてくれたのは、『Fate/stay night』の原作ゲームやアニメ映像の名シーンがピックアップされ放映されたエリア”OPENING THEATER”。約3分のアニメーションのうち、ラスト約30秒がFateルートの名シーンからUBWルートへと変更されており、セイバーと士郎メインの映像から士郎と凛、そしてこの章のもう1人の主人公と言えるアーチャーのベストカットが散りばめられていた。

◆新たに切り替わったアニメプロット武内崇氏のイラストを見逃すな!!
映像鑑賞を終え、次のエリアへ入ればそこはTYPE-MOONを代表するヒロインとFateシリーズのサーヴァントたちがお出迎え。この場所ではセイバー、凛、桜の3人の生原画が新たなイラストに変更されている。

奥に進むと奈須きのこ氏が当時『Fate/stay night』の作成を行った仕事場を再現したものを見ることができる。そして、左手前にあるアクリルケース内にて、前回は表紙展示になっていた同人版『空の境界』がひっくり返され、裏表紙がひょっこりと展示されていた。これは見逃してしまう人もいると思うので、ぜひ頭に入れてから展示会に向かって欲しい。

さらに、デスク反対側には前回までは『Fate/stay night』の企画書や、『DDD』の読み切りなどが展示されていたが、ここはまるきり新しくなり、TVアニメ『Fate/stay night〔Unlimited Blade Works〕』の最終話プロットや、あの肉塊の巨人の様に描かれた偽聖杯の設定案、そして葛木とキャスターの会話追加案が展示。UBWの最終話プロットには3プラン用意されていた模様で、実際にアニメ化はされていないが、「こんな終わりもあったかも……」とつい貴重な取材時間を使い妄想を含ませてしまった。

その向かい側に位置するTYPE-MOONオフィス、スタッフデスクを鑑賞できるエリアでは武内 崇の資料展示の内容が全変更、スタッフのコメントも一部変更されている。ちなみに第1弾では武内が手掛けたセイバーのイラスト色紙を見る事が出来たのだが、今回から第2弾のUBWメインヒロインである凛が新たに展示されていた。

続いて、奥のエリア“MATERIAL”に進めれば、そこには『Fate/hollow ataraxia』の設定資料が右手側に展示され、中央には『月姫』『歌月十夜』『カプセルさーばんと』といったものに加え、エイプリルフール企画についての資料や原画が展示されていた。懐かしき『路地裏さつき ヒロイン十二宮編』の資料には首切りバニーや、アイドル皇帝 赤セイバー魔法少女ジャンヌといったメンツを7年ぶり見ることができる。歳とったなぁと思いつつ、当時のびっくり嬉しいTYPE-MOONエイプリルフール企画をしみじみと思い出す事が出来た。

◆やはり目玉はここ! UBW仕様になった巨大ジオラマ冬木市
当時の余韻に浸りながらも、前に進めばそこには巨大サイズで展示された“TYPE-MOON ART GALLERY”。ここはセイバーイギリス旅行以外は全て新たなものに変わっており、ゆっくりと時間をかけて鑑賞することをオススメしたい。個人的には、セイバーオルタの着物イラストがビックサイズで展示されていた事が嬉しく、しばらく眺めてしまった。オルタならではの妖艶さと雰囲気をこの巨大イラストにて是非とも楽しんで貰いたい。

イラスト展示場から足を進めた先には、壁一面のシナリオチャート。ここは前回まではFateルートだったが、UBWに変更されている。反対側にはTVアニメ『Fate/stay night〔Unlimited Blade Works〕』の原画や台本、さらに絵コンテが新たに展示されていた。

そして、いよいよ作者が一番楽しみだった巨大ジオラマへ。この場所は全長13メートル、高さ4.5メートルという大規模なスケールで、『Fate/stay night』の舞台である”冬木市”が細かく再現されている。前回はFateルートが主体となったが、今回はUBWの名シーンがピックアップ。中でもド派手かつ印象に残るシーン……タイトルでもあり宝具でもある”無限の剣製”の名場面が再現されていた。アーチャーの詠唱とともにジオラマ全体に炎のエフェクトが広がり、固有結界へと映像が切り替わった時は、鳥肌が立ってしまうほどに興奮させられた。

最後のエリアである“PHANTAS”には様々な関係者や、TYPE-MOON作品に縁がある方々の色紙が展示されているのだが、なんと第2期でその全てが新たなものに変わっている。声優からは遠坂 凛役の植田佳奈や、ライダー役の浅川 悠、ランサー役の神奈延年といったメインキャストが。そして『Fate/EXTRA』シリーズでお馴染みのワダアルコが描いた凛や、ネコタワワのキャスター&葛木コンビなど多くの色紙が展示されている。

第1期Fateの展示を終え、ついに始まった第2期UBW。新たな展示物や、映像、音声といったもので心の底からFate漬けになることが出来るこの空間に是非とも足を運んでほしい。

第1期“Fate”との違いは? 「TYPE-MOON展」第2期“UBW”の見どころをまるっとレポートは、【es】エンタメステーションへ。
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掲載:M-ON! Press