JR西日本が、新たな長距離列車WEST EXPRESS 銀河ウエストエクスプレスぎんが)」の車両を報道陣に公開。117系電車6両を改造し、車両ごとに座席や簡易寝台、個室など多彩な設備を設定。フリースペースも3か所に設けました。

まず出雲市行き夜行特急として「銀河」5月デビュー

JR西日本の新たな長距離列車「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」が2020年5月8日(金)にデビューします。これに先駆け1月25日(土)、同社の吹田総合車両所大阪府吹田市)で、車両が報道機関に公開されました。

車両は、京阪神エリアで新快速などに使われてきた117系電車6両を改造。デザインは、えちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」や、肥薩おれんじ鉄道ロゴタイプなどを手掛けてきたイチバンセン代表取締役の川西康之さんが担当しました。

JR西日本によると、車両外観は西日本の美しい海や空を表現したという瑠璃紺(るりこん)色に。車体側面の長いラインは、長距離の旅をイメージさせるとともに、誰もが持つ「遠くへ行きたい」という憧れをかなえる列車であることを表現するといいます。

JR西日本 鉄道本部営業本部担当部長の財 剛啓さんは「長距離を移動していただくことで、さまざまな車内の工夫をしています。特に4号車は1両まるごとフリースペースにしていますので、席でくつろぐだけでなく、フリースペースに移動することによって、お客さま同士の語らいがこの列車で実現できれば」と話しました。

3種類のフリースペース「明星」「遊星」「彗星」を設置した「銀河」

車内は、フリーWi-Fiを導入。さらに電源コンセントや、グリーン車にはUSBポートも設置しています。1両ごとに異なる座席タイプを設定し、多様な旅のスタイルに対応します。

山陽・山陰側となる1号車(クロ116-7016)は、グリーン車指定席「ファーストシート」(定員:夜行8人、昼行16人)です。1+1列のシートは、向かい合う2席の背もたれを倒すと1人用のベッドに転換できます。車端部には、グリーン車利用者用ラウンジが設けられました。

2号車(モハ116-7036)は女性用車両です。リクライニングできる普通車指定席の座席(14人)と、普通車指定席料金で横になれる簡易寝台(ノビノビ座席)の「クシェット」(12人)を設定。更衣室2室も用意されています。

3号車(モハ117-7036)は、2号車と同じリクライニングできる普通車指定席の座席(20人)と、普通車指定席料金で利用できる個室「ファミリーキャビン」2室(昼行8人、夜行4人)を設定。さらに、読書や語らいなど静かにゆったりと過ごすためのフリースペース「明星」も設けられます。

4号車(モハ116-7032)は、1両がまるごとフリースペース「遊星(ゆうせい)」です。4人用のテーブル付きボックス席や、大型ベンチ、カウンターなどが備わっています。夜間も明るくにぎやかに過ごせる空間です。

5号車(モハ117-7032)は、普通車指定席料金で横になれる簡易寝台(ノビノビ座席)の「クシェット」(18人、うち車いす対応2席)が並びます。女性席の2号車と異なり、こちらは誰でも利用できます。多機能トイレ車いす対応の洗面台も設置されています。

京阪神側の6号車(クロ117-7016)は、グリーン個室「プレミアルーム」と、先頭の乗務員室横ならではの、流れる風景を眺められるフリースペース「彗星」です。「プレミアルーム」は2人(昼行運転時は2~3人)用4室と1人用1室が設定されました。

「銀河」の運行期間と区間 時刻 運賃 料金は

ウエストエクスプレス銀河」の運転区間は、期間ごとに異なります。デビューの5月8日(金)から9月までは、京都・大阪~出雲市間を伯備線経由で結ぶ夜行特急列車として、週末を中心に走る予定です。時刻は次のとおり。

・下り:京都21時15分発→大阪22時28分発→三ノ宮22時51分発→出雲市翌9時31分着
・上り:出雲市16時00分発→三ノ宮翌5時50着→大阪6時12分着

乗車には運賃に加え、特急料金やグリーン料金、グリーン個室料金が必要。大阪~出雲市間を片道利用する場合、大人1人の運賃・料金の合計は、普通車指定席(通常期)が9770円、グリーン車指定席が1万3430円、グリーン個室が1万6480円(届出予定額)です。きっぷは全国の「みどりの窓口」や旅行会社のほか、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」などでも購入できます。

10月から2021年3月までの半年間は、大阪~下関間を昼行特急列車として走ります。

列車の運転時は、沿線特産品の販売や伝統芸能の披露など、車内外でさまざまな「おもてなし」が行われる予定です。

2020年5月8日から営業運転を開始する「ウエストエクスプレス銀河」(2020年1月25日、伊藤真悟撮影)。