路上のパーキングメーターが数を減らしています。もともと路上駐車を抑制するために整備されたものの、いまではコインパーキングも普及し、利用率が低いケースも。撤去後のスペースは別の用途に活用されています。

利用率低下 全廃した地域も

おもに市街地で見られる路上のパーキングメーターが数を減らしています。2008(平成20)年度に全国で2万882基あったのが、2018(平成30)年度には1万5056基と、10年で4分の1が撤去されました。

たとえば山形県では、利用の減少にともない、2017年に県内からパーキングメーターが姿を消しました。また名古屋随一の繁華街 錦三地区では、昼間の利用率は低いものの、パーキングメーターが稼働しない夜間、不正に駐車するクルマが目立ち、ほかの交通の妨げになっていることから、廃止が検討されていると報じられています(「中日新聞」2020年1月21日付)。

パーキングメーターは、いわば合法的な路上駐車のための装置です。各都道府県の公安委員会が定めた「時間制限駐車区間」において、道路の一部を白線で囲ったスペースにクルマを停め、パーキングメーターに所定の「手数料」を払うことで、一定時間内の駐車が許容されます。一般的に300円、60分以内と設定されており、市中のコインパーキングに比べると割安な場合もあります。なお、時間制限駐車区間の手数料収受機には、チケットを発券して車外に貼り出す「パーキングチケット」方式もあります。

一方、手数料を支払わなかったり、駐車可能時間を超えたり、機械が稼働していない夜間に利用したりすると駐車違反になります。またお金を追加投入し、もう1時間停めるといった連続利用もできません。

というのも、そもそもパーキングメーターは、駐車場の整備が不十分な場所において、やむを得ない短時間の駐車需要に応じることが、違法な路上駐車の抑制に資するという考えに基づき設置されているからです。昭和の高度経済成長期に登場し、1980年代には運用の拡大が図られました。しかし、いまやコインパーキングも増えており、警察庁は利用の少ないパーキングメーターの撤去を検討することとしています。

パーキングメーターの撤去後はどうなっている?

パーキングメーターが数を減らしているのは、単に駐車場が増えているからだけではありません。

2011(平成23)年には警察庁の方針により、自転車における車道走行ルールの厳格化が図られましたが、その一環として警察庁は、利用の少ないパーキングメーターを撤去し、自転車レーンの整備を推進することとしています。また、不足する物流ドライバーの負担を軽減すべく、パーキングメーターを貨物専用としたり、そのスペースを短時間の荷さばき場にしたりするケースもあります。全国の自治体において、パーキングメーターのあり方を見直し、こうした新たな需要に対応する動きが進んでいるのです。

ただ、この動きは特にバイクにとっては影響が大きいかもしれません。バイクは自動車用のコインパーキングを利用できないことが多く、特に都市部では駐車場が足りないといわれています。バイク駐車環境の整備に取り組んでいる業界団体の日本二輪車普及安全協会はウェブサイトで、パーキングメーターはバイクも利用できることを案内していますが、これが減っているわけです。

日本二輪車普及安全協会によると、諸外国では車道の一画に設けられたバイクの駐車スペースが多く見られるものの、日本でパーキングメーターのスペースをバイク駐車場に転換したような事例は少ないそうです。

パーキングメーターの例(画像:PAKUTASO)。