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 「だったら結婚しなくていい!」――。
 ご存知の方も多いだろう。衆院本会議で選択制夫婦別姓の導入が議論されるなか、議員席から飛んだ野次だ。

◆野次の議員は給料泥棒
 いったい、誰がこんな野次を飛ばしたのか、杉田水脈議員ではないか? 彼女は過去に同様の発言をブログでしていた(参照:”杉田水脈氏「だったら結婚しなくていい」は持論だった 過去にも「かたくなな親」批判”|J-castニュース)などと注目が集まっているが、国民を代表する議員たちが集まるなか、こういった発言が出てきたことについて外国人はどのように感じたのか?

 まず出てきたのは、「嫌なら●●するな」という論法そのものについての指摘だ。

「日本に限らず、何かの是非を問うときに『嫌なら出てけ』、『嫌ならするな』ということを言う人はどこの国にもいます。しかし、それはあくまでネットなどに溢れる一般人の意見がほとんど。だからと言って許されるわけではありませんが、議論すること、考えることが仕事の議員がそれを言うのは仕事を放棄しているのと同じです。こんなこと、それこそ誰でも言えます。話し合うためにいるのに、その前の段階で議論を終わらせるなら、給料泥棒と一緒ですよ」(アメリカ人・男性・36歳)

◆議論に生産性がない
 まさに「論外」ということか……。また、次のような意見も。

「少子化は今や日本ではなく、世界中の問題です。そこで夫婦の権利を拡大するどころか、狭める。さらに『結婚するな』なんて、普段何を考えて仕事しているんでしょうか……。何かを解決しよう、前に進めようという意志がまるで感じられません」(デンマーク人・36歳・女性)

 どうしたら、婚姻率や出生率が上がるかを考えるべき立場の人間が、「DON’T」を口にしているようでは、こういった意見が出るのも致し方がないだろう。
◆家族の持つ意味あいとは
 では、選択制夫婦別姓そのものについては、どのように思っているのだろうか?

「単純に当事者が好きにすればいいと思います。同姓であるべきだと思うなら、そうすればいいだけの話です。赤の他人が別姓を選ぶことで、どんな不都合があるのかと聞きたいですね。日本では特に親戚など“周りの目”があるのかもしれませんが、それは当事者もよくわかっているはずです。そのうえで別姓を選ぶのだったら、それ以上言えることはないのでは? 他人がより権利を得られるのをどうしても止めようとする神経がわかりません」(アメリカ人・38歳・男性)

 とかく「村社会」と言われがちな日本では、夫婦を取り巻く地域や環境によって姓をどれだけ重視するかにも差がありそうだが……。

「親戚づきあいに支障が出るのかもしれませんが、家族であればなおさらサポートするべきじゃないでしょうか? 苗字を変えることで家族から『出る』『入る』という考え方にも違和感を感じます。そんなところで家族かそうでないかをジャッジするような人は、それ以外にもいろいろ注文がありそう。別な形で難癖をつけてくるんじゃない?」(フランス人・35歳・男性)

◆精神論に転嫁するなの声も
 選択制夫婦別姓については、出生率などに関係してくるのではないかという議論もあるが、それに対しても懐疑的だ。

「苗字が同じかどうかで子どもを作りたくなるかどうかが変わるなんて馬鹿げてます。社会や政府のサポート、女性の就業率や夫婦の経済状況のほうがどう考えたって重要でしょう。より現実的な問題を放置したまま、精神論で姓に責任転嫁するなんて、『あんたたち議員はなんのためにいるの?』と聞きたくなりますよ」(ポーランド人・女性・29歳)

 ともあれ、冒頭でも紹介したように、「嫌なら結婚するな」では、議論にすらならない。選択制夫婦別姓を考える以前に野次を飛ばした当人には、議員の仕事がなんなのかというところから考え直してほしいものだ。

<取材・文/林 泰人>

【林泰人】
ライター編集者日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン

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