iStock-136297196_e

eugenesergeev/iStock

 最新の撮像技術と3Dプリント技術の力で、3000年前の古代エジプトミイラの声が現代に蘇った。

 古代エジプト人の声の再現に挑戦したのは、英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイのデビッド・ハワード氏らの研究グループ。再現されたのは合成などではない、声道の形状が変化することで発せられるリアルな肉声だ。

―あわせて読みたい―

「ツタンカーメンの呪い」その犠牲者になったとされる9人にまつわる都市伝説
苦痛にあえぐ姿のままミイラに。古代エジプトの「叫ぶミイラ」の謎を解明か?(※ミイラ出演中)
古代エジプトの秘密のミイラ工房が発見される。貴金属で飾られた仮面をつけたミイラも見つかる。
あの巨大な黒い石棺の蓋がついに開けられる。中に眠っていたものとは?(※開放注意)
古代エジプトの猫のミイラの中身をCTスキャン、3匹の猫の体の部位が入っていたことが判明(フランス研究)


What sound does an ancient Egyptian mummy make? Scientist recreate voice of 3000 year old mummy

3000年前の古代エジプトの僧侶の声道を再現

人間の声道は喉頭腔、咽頭、口腔、鼻腔で構成されている。そこで同グループは、「ネシャムン」という名の古代エジプトの僧侶の声道再現を試みた。

 英リーズ私立博物館が所蔵するネムシャンは、古代エジプト第20代王朝の第10代ファラオ、ラムセス11世(紀元前1098~1070年頃)の御代に生きた人物で、イギリスでももっとも保存状態に優れたミイラだと言われている。

 そのネシャムンの声道をCTで計測し、3Dプリンターで唇から咽頭までのモデルを印刷。これをコンピューターとスピーカーにつないで人工声道を作り、「え~」っという呻き声を発声させることに成功した。

Mummy voice reconstruction
1

会話をするときの喉の形とは必ずしも一致しない

 ハワード氏によると、その声はミイラが棺の中に入っていたときの声道の位置で発せられたものだとのこと。そのため、会話をするときの個々の音をはっきり発音できるような形だとは限らないという。

 また長い時間の間に舌の筋肉の一部が失われているほか、どういうわけだか軟口蓋も欠損しており、そのために声道が正確に再現されていない可能性もある。

 なお、軟口蓋がない理由は不明だが、埋葬の過程で切除されたとも考えられるそうだ。


「声の真実」と名された歌う僧侶


 ネシャムンはカルナック神殿で書記官や僧侶として働いており、紀元前1100年頃に死んだとされている。また儀式では歌を歌っていたようで、その棺には「声の真実」を意味する諡(し)が刻まれていた。


 生前はさぞ美声の持ち主だったのだろうが、蘇った声は、長い眠りを邪魔されてどこか困惑しているかのようだ。

 この研究は『Scientific Reports』(1月23日付)に掲載された。

References:yorkshirepost / natureなど/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52287080.html
 

こちらもオススメ!

―動画の紹介記事―

カンガルーの足の火傷に水をかけてやる女性。オーストラリアの森はまだ燃え続けている
世界珍物件。部屋の真ん中にプールがある謎の家(アメリカ)
猫が背中にアヒルを乗せてみんなの幸せを!?お風呂ねこダック
Hope For Paws~さあこれでサッパリしたよ!放浪中の2年間毛が伸び放題だった犬のビフォア・アフター
体半分が泡で埋まる。スペインの港町を襲った冬の嵐による「波の花」現象

―歴史・文化についての記事―

中に釘の入った「魔女の瓶」が発見される。悪霊を追い払うために北軍の兵士が使用していた可能性(アメリカ)
ネアンデルタール人は海に素潜りし、道具になる完璧な貝を探していた(米研究)
新たな発見によりイースター島のモアイ像についての理解が大きく変わる
実践投入寸前までいったけど実際には使用されなかった10の兵器とその理由
イラン軍にイルカ部隊が存在する可能性が浮上(イラン)
これが3000年前のミイラの声だ!(エジプト)※要音声