ビリーアイリッシュが、2020年1月23日に放送された米CBSの【グラミー賞】直前スペシャルで、デビュー・アルバム『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』の世界的大ヒットにより生活が一変した昨年1年間の苦悩について率直に語った。

 今年の【グラミー賞】で6部門にノミネートされ、5部門を制覇した彼女だが、「昨年はとにかく楽しくなかった。とにかく楽しくなくて、とにかく喜びがなかった」と明かし、「もう二度と幸せになんてなれないんじゃないかって思っていた」と当時の心境を語っている。

 インタビュアーのゲイル・キングを黒いスポーツ・カーの助手席に乗せ、自ら運転しながら「bad guy」を楽しそうに口ずさんでいる映像が挟まれる場面もあるものの、インタビュー・パートでは急激に有名になってしまったことから旧友たちと疎遠になってしまい、一時期は自殺まで考えていたことを告白している。「あまり暗くしたくないけれど、自分は17歳になれないって本気で思っていた」と言う彼女は、ベルリンのホテルの一室で窓を眺めながら、自分はどうやって死ぬのだろう、おそらく自分の手でやるのだろうな、などと考えたことがあったと振り返っている。「bury a friend」の“I’m gonna end me”(自分を終わらせる)という歌詞は自分のことなのかと聞かれた彼女は、「そうだね」と答えつつも、「でもいいライムだったんだ」とすぐに補足している。

 また、体のラインが見えない、ぶかぶかで中性的なファッションについて聞かれた彼女は、わざと体を隠していることを認め、「自分と自分の体との関係は……想像できる限りの有害な関係だった」と、多くは語らなかったが深い悩みがあったことを示唆している。

 母親をはじめとする家族のサポートもあり、ツアーを減らし適切な治療を受けることで、現在は自殺願望はなく音楽を楽しむことができているそうだ。自分が苦しんでいたからこそ、自傷行為に及んでいるとみられるファンに対しては、取り返しのつかないことになる前にやめるよう直接声をかけることもあると話している。

ビリー・アイリッシュ、急な名声に苦しんだ1年を振り返る「とにかく楽しくなくて、とにかく喜びがなかった」