26日に日本で4人目の感染者が確認されるなど、中国国外でも急速に感染が拡大している新型コロナウイルス。中国国家衛生健康委員会(NHC)は、日本時間27日18時の時点で感染者数は2801人、死者数は80人と発表している。しかし『South China Morning Post』では「公式発表の数は氷山の一角。武漢市での感染が爆発的に増えている」と伝えた。

冷たい雨が降る深夜、武漢市の病院前には医師の診察を待つ人々が並んでいた。そのうちの1人、36歳の女性は先週から体調が優れない夫を連れて病院前で待つ生活を続けている。

女性は「感染を予防する服などなく、私が持っているのはレインコートだけ。夫が感染しているかどうか診察してもらいたいのに、病院にさえ入れてもらえない。もうこうして待って何日になるのか、時間の感覚もなくなってしまった」と語ると、こう続けた。

「夫が熱を出したのは10日ほど前だった。それから咳が酷くなって血を吐くようになって。これまでに4つの病院に行ったけど、受け入れる余裕がないと断られたの。それで救急車を呼んだけど、それさえも断られた。」

「最初の病院では『家に帰れ』と言われてインフルエンザの薬をもらったの。でも夫の熱は高くなる一方で、病院をはしごしたけれど、医師の診察を受けることはできなかった。ある病院では抗生剤だけ渡されたわ。夫はここ数日ほとんど何も食べていないし、体調は悪くなるばかりよ。」

「市内では多くの人が死んでいくわ。病院の廊下で亡くなっている人もいたほど。それでも誰も遺体を動かそうとはしない。みんな疲れ切っているのよ。」

「政府は感染者の医療費は全て負担すると言っているけど、医師の診察さえ受けることができないの。私は1日1000元(約15700円)までだったら払うことができるし、私と同じような立場の人はたくさんいるわ。でも診断がつかないのだからどうしようもない。」

「病院では医師や看護師と、感染者と思われる家族が『診察しろ、いやできない』と言って揉めているわ。このままではみんなが共倒れしてしまう。」

女性は現在、市内の病院近くのホステルに滞在しているというが、「ここ何日か体調が優れないけど、家で待っている6歳の娘を感染させるわけにはいかないから家には帰れない」と溜息をつく。

また29歳の武漢市民の男性はこう明かす。

「祖母はCATスキャンで肺炎の症状が確認できているのに、一般病棟に入院させられた。感染していると診断されたのは1週間以上経ってからで、病院が感染の温床になっている。」

そんな市民の言葉を裏付けるかのように、SNSでは病院内の様子を撮影した動画が出回っており、なかには廊下に置かれたベッドの上で激しい痙攣を起こす患者の姿を捉えたものまである。

一方で市内の病院の医師は「人から人への感染が明らかになるまでに、多数の患者を診察している。医療関係者の感染は明らかになっていないだけで、これからどんどん増えるだろう。今でさえ検査キットや防護服、マスクなどが不足しているのにどうしたらいいのか。感染者が病院をはしごして菌をまき散らしているんだ。病院は感染者を受け入れる準備もできていないのに、人で溢れている。もう限界を超えているんだ。感染者を隔離できずに、どうやって感染拡大を防ぐことができるんだ」と憤る。

武漢市政府は2月3日までの完成を目指し、肺炎患者用にベッド数1000床の病院建設を始めたというが、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群SARS)を経験した医師は「政府の対応はあの当時と全く変わっていない。もうコントロールは不可能なのでは」と指摘している。

画像は『自由亚洲电台 2020年1月23日付Twitter「【无助武汉市民通宵排队候诊】【逃离武汉是唯一希望?】深夜的武汉医院,求诊市民排到门诊大楼外,又冷又饿又累又辛苦 ,但除了这样,还有什么办法?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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