ボルグワーナーは、欧州の大手OEM乗用車向け高性能「eTurbo」を供給する契約を締結した。本契約は「eTurbo」の量産に関するものとしては同社初となる。 量産開始は2022年を予定している。

「eTurbo」は、エンジンの諸性能やエネルギー効率を高められるため、ボルグワーナーが同製品を提供することにより、自動車の性能向上と同時に、世界的に厳格化することが予想される将来の排ガス規制の達成や、燃費の改善に向けて開発を進める自動車各社を支援することができる。

「eTurbo」は機械式ターボチャージャー(過給機)のシャフトに、ジェネレーター(発電機)としても機能する電気モーターが直結されている。幾つかのソリューションを一体化したユニットで提供する「eTurbo」は、従来のターボチャージャーの利点に加え、電気モーターにより強化された過給効果が応答性を飛躍的に向上させる。その他の利点としては、タービンが高速回転することにより生じる余剰エネルギーを発電に再利用したり、排気の後処理制御及び、より精度の高い空燃比制御により排ガスを低減したりすることが挙げられる。

「eTurbo」は、エンジンの定速回転時におけるトルクの向上とともに、過渡領域のブースト(過給圧)上昇の応答性を200%以上も改善した。この結果、エンジンのさらなるダウンサイジング(小型化)が可能になり、動力性能を損なうことなく燃費、排ガス共に低減できる。これらの特性は、特にミラーサイクルエンジンに適している。

「eTurbo」は、こういった車両側のメリットに加え、余剰排気エネルギーを発電に再利用し、直接、電気エネルギーとして回収する機能を備えている。発生した電気は、車両に搭載した機器の電源用に、或いはバッテリーの充電用に使用できる。このため、バッテリーサイズを小さくすることも可能だ。また、「eTurbo」は、エンジンの背圧を高められるので、オンデマンドでEGR(排気再循環) 効果を高め、排ガスを低減することができる。発電機能を解除すれば、通常のターボチャージャーとして機能する。

 ボルグワーナーの「eTurbo」は乗用車への採用が初めてとなるが、将来的には商用車への搭載も見込んでいる。ボルグワーナー社は、48ボルトおよび高電圧対応の電気・電子アーキテクチャ(設計構想)に適したものを含め、各種「eTurbo」が提供可能だ。パワーエレクトロニクスに関しては一体型、または半一体型のものが選択できる。

 ボルグワーナー、エミッション/サーマル/ターボシステムズの社長兼事業本部長ジョー・ファドゥール氏(Joe Fadool)は、「ボルグワーナーの「eTurbo」はハイパワーかつ高効率なソリューションです。性能向上、燃費改善、排ガス低減やエネルギーの効率的利用など、お客様にとり重要なメリットを実現いたします」「今回の受注契約は、同種のテクノロジーとしては業界で最も規模が大きく、当社にとっても大きな節目となります」と述べている。