トイレ

そう、30年前、トイレTOTOコピーにこんなものがありました。

「『人間は、全員疲れているのだ』」と仮定する」

だからこそ全員に優しい便器をつくろうというわけです。とはいえ、これは便器以外にもいえるはずです。

たとえば言葉とか。

現代人は、みんな疲れている。

だからこそ、まわりの疲れている人や、頑張っている人に、ちょっとした「ねぎらいの言葉」をかけてあげられると貴女の価値はグンとあがります。

今回のテーマは「ねぎらいの言葉」です。

貴女も、私も、毎日、頑張って生きています。今日もおつかれさまです。そんなふうに、まわりに癒しを提供できる人間になってやりましょう。

■ねぎらいの言葉の基本は「感謝すること」

シンプルにいえば「相手の努力や労力に対して感謝すること」です。なにか嬉しいことをしてくれたときに言葉にするものですね。

さらに細かなニュアンスを語るなら、

・そこそこ大きな労働のときに使う
・目上の人には失礼なニュアンスもある

この二点に気をつけるといいかもしれません。

つまりテーブルの醤油をとってくれただとかの小さな行為や、会社の上司にむかって「ねぎらいの言葉」をかけるのは、ちょっとだけマナー違反になるわけです。

ただ言葉はアメーバのような生き物です。日々、使われ方を変えます。貴女が心から感謝を伝えたいなら──ねぎらいだろうがなんだろうが──それは言葉にすべきです。

それが「ねぎらいだからマナー違反」なのか「ねぎらいとして成立」だとかいった議論はYahoo!知恵袋広辞苑にまかせましょう。大事なのは、相手がどう思うかだけです。

感謝を伝えられて嫌な人はいません。相手が嬉しくなる言葉を探しましょう。相手の顔もほころぶはずですよ。

■相手を救う「ねぎらいの言葉」7選

◇(1)「つらかったよね」

相手の心に刺さるフレーズです。

というのも、誰だって、何かを成しとげるときはつらい思いをしているから。誰だって、どこにも言えない感情を秘めているものです。

だからこそ「それが何かはわからないけど、あなたのつらさを感じましたよ」という意味になるわけですね。すごく優しい言葉だと思います。

◇(2)「『疲れた』って言ってくれていいからね?」

これもストロングなセリフです。

なぜか現代社会において、作業をした人間は「あまり疲れた感をださないこと」という謎の風潮があります。おそらく相手に迷惑をかけるからでしょう。ふわっとしたマナーみたいなものです。

だからこそ逆張りするのです。

ここでは「疲れた!」と本音でいてくれていいんだよ、と。その包みこむ姿勢が相手の心にぐっとくることでしょう。

◇(3)「よかった」

たった4文字。

言葉にするとこれだけ。しかし、これが海のように奥深いのですよ。

よかった、というのは「それまで心配や応援をしていたけれど、邪魔にならないように声をかけなかった。心から嬉しい」というニュアンスを示すことになるからです。

これは相手にどう思ってもらおう──といったフレーズではありません。むしろ真逆です。貴女自身の心からポロッと漏れたピュアな声ですよね。

だからこそ胸を打つわけです。

◇(4)「自分にはわからないですが、想像できないくらい大変だったんだろうと思います」

この言い回しもおすすめできます。

特に「自分にはわからないですけれど……」という言いはじめの部分です。

結局のところ、相手が、どれほど苦労したかを本当に知ることはできません。だからこそ安易に「大変でしたね」と言葉にしない、という優しさもあるはずです。

むしろ「自分にはわからない」と認めてしまいましょう。逆説的ですが、だからこそ心に響くこともあるのではないでしょうか。

◇(5)「お疲れさまでした」

定番中の定番です。

この言葉のいいところは「目上の人に使ってもOK」なところです。上記のように、もし細かなマナーを気にするのであればおすすめします。

学校や、職場や、何気ない集まりで使われる言葉です。とはいえ相手の疲れをねぎらうという意味では美しい言葉だと思いませんか。

◇(6)「…………」

時に沈黙も有効です。そう、黙って傍にいてあげること。

友達や恋人には特に効果的かもしれません。

本質的に大事なのは「言葉」でありません。貴女が相手のことを想っている、それを相手にしかと伝えることなのです。言葉はその手段でしかないのです。

喋りたいわけじゃないけれど誰かにいてほしい──そんなときってありますよね。そんな優しさを発揮できる人間になるのはどうでしょう。

◇(7)「私はよくやってる」

やや変化球ですが、最後にこれも紹介させてください。

というのも「ねぎらいの言葉」は貴女自身にかけることもできるからです。忘れがちなことですが、すごく大事です。

どうか貴女自身にも優しい言葉をかけてあげてください。

■思いが伝わらない態度とは? ねぎらいの注意点

プレッシャーと戦い、大きな何かを成し遂げた人の心はセンシティブです。安易な言葉や態度で接すれば、逆に傷つけてしまうことだってあるのです。

相手をねぎらうときに忘れていけない注意点をいくつかお伝えしておきます。

◇(1)自分のテンションだけ上がっている

思いを伝えるとき、全般にいえることかもしれません。

いわば空気感のミスマッチ。伝えようとテンションが上がるあまり、相手と温度差が生まれているパターンです。ドン引きされたり、妙に冷静になられたりしても困りますよね。

とにかく、いきなり全力投球しないこと。

何かを語るときには相手のペースを感じてください。そのペースのなかで伝えようとしてみてください。すると相手にとって伝わりやすいトーンになるはずです。

◇(2)全部伝えようとしてしまう

これも失敗あるあるです。

こちらの思いが強すぎるあまり「言いたいことを全部言葉にしてしまう」わけです。

相手からするとなかなかのプレッシャーになります。言葉は悪いですが、ちょっとだけ重いというわけですね。

言葉は、相手がどう受けとるかです。こちらがスッキリできるかではありません。

仕事を手伝ったからといって、いきなりエルメスフェラーリ軽井沢の別荘をプレゼントされてもビックリしますよね。

ある程度のシンプルさを心がけるのも嗜みであります

◇(3)何を伝えたいかを思い浮かべておく

上のようなミスマッチを避ける方法をお伝えします。

それは「あらかじめ伝えたいことを考えておく」というものです。

当たり前に感じるかもしれません。しかし、案外できている人は少ないのですね。めんどくさいし、喋りたいときに、心のままに喋るほうが気持ちいいから。

とはいえ言葉は相手に伝えるためのものです。そのために心を尽くすのは悪いことではありません。本当に伝えたいことほど、ちょっと時間をかけてみてはどうでしょう。

もっといい言葉が浮かぶかもしれませんよ。

大事なのは何を伝えようとしたかだよ

ねぎらいの言葉?

どんな言葉が相手に響くんだろう?

考えれば考えるほどわからなくなりますよね。かくいう文筆業の私にとっても、いまだに永遠のテーマです。

しかし、ひとつだけ忘れてはならないことがあるはずです。

それは「何を言葉にしたか」ではなく「何を言葉にしようとしたか」が大事だというもの。

誰かの結婚式イメージしてください。喋りの上手な司会者のスピーチよりも、たどたどしい(ときにセリフすら忘れてしまうくらいの)新婦のお父さんのスピーチもらい泣きしそうになりませんか?

本当に伝えようとした言葉は、上手くなくても、相手の心に響くはず。結局のところ、これが、たったひとつの真実なのかもしれません。そして、そんなふうに、私の言葉も、貴女の心に響けばいいなと思ったりなんかして。

貴女のもとに幸せが舞いおりることを祈っております。

(浅田悠介)

※画像はイメージです

本当に響く「ねぎらいの言葉」の選び方