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5年連続インポーターの販売台数ナンバーワン

text:AUTOCAR JAPAN編集部

BMWは、ユニークな自動車メーカーだ。

世界の自動車メーカー販売台数ランキングでは、2018年は約250万台で13位。トップ3のフォルクスワーゲン・グループ、ルノー・日産・三菱連合、そしてトヨタグループは1000万台を超えている。

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2019年、インポートカー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞したBMW 3シリーズ。

トップ3の4分の1以下の販売台数ながら、プレミアムブランドとしての地位を確立。しかも、製造しているのは乗用車モーターサイクルだけで、バスやトラックなどの商用車は製造せずに、だ。

そんなBMWは日本でも好調だ。2019年の販売実績は、BMWが4万6814台、ミニが2万3813台、BMWグループとしては7万0627台で、5年連続インポーターの販売台数ナンバーワンを誇っている。

対前年比では91.8%だったが、多くのインポーターが前年割れしているから致し方ないだろう。とにかく、日本においても名実ともプレミアムブランドとしての地位を確立しているといえるだろう。

2019年はBMWで21車種、ミニで7車種のニューモデルを投入。中でも3シリーズはインポートカー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞するなど、専門家からも高い評価を受けた。

販売店数はBMWが172、ミニが119とネットワークは充実し、世界に10か所しかないリサーチ&デベロップメント拠点であるテクノロジーオフィスのひとつも東京にあり、最新技術や素材の開発などで多くのサプライヤーと協業している。

また、文化、工芸、スポーツなど、さまざまなメセナ活動も行ってきた。

プレミアムブランドとしての地位確立めざす

2019年は攻勢を続けたBMWジャパンだが、2020年の事業はどう取り組んでいくのだろうか。

まずは、プレミアムブランドとしての地位の確立。その第1弾が、今回の記者会見で日本初公開されたM8グランクーペをフラッグシップとする「M」ブランドの拡販だ。

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ミニのEV「ミニ・エレクトリック」

また、EVやPHEVといった電動車も、プレミアムブランドには重要なファクターだ。

そして、ディーラー販売網や中古車販売の充実。さらには、マーケティングやコミュニケーションなど、ローカルエディションで、つまり日本らしい手法で手がけていくという。

たとえば、BMW傘下となった新生ミニは2001年に誕生し、日本には2002年から導入された。当初の販売台数は1万台ほどだったが、2015年には2万台を突破。

以降、5年連続で2万台以上を販売している。

これも、ミニをただのコンパクトカーではないプレミアムブランドとして確立させ、老若男女にわたる広いバリエーションの顧客の心をとらえてきた結果だろう。

アフターセールスにも、いま以上に力を入れる。高額なモデルだけでなく、古いクルマに対してもプレミアムなブランド車のオーナーにふさわしい対応を心がけていく。

アプリによるアフターサービスも充実させ、クルマから直接ディーラーに入庫のリクエストもできるようになる。

ロジスティックも、2020年第4四半期にはRDC(リージョナル・ディストリビューション・センター)印西を完成させ、効率化を進めていく。

ユーザー変化 インポーターも変わらねば

2019年はニューモデル攻勢を展開したBMWジャパンだが、2020年はモデルイヤーの兼ね合いもあり、「本命」と呼べるようなニューモデルやフルモデルチェンジは予定されていない。

昨年秋に発表され、今回の記者会見でM8グランクーペとともにお披露目された2シリーズ・グランクーペは、やはり昨年発売された新型1シリーズとともに、2020年の中核モデルになりそうだ。どちらもプラットフォームは共通で、駆動方式はFF。

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2シリーズ・グランクーペのマーケティング・コミュニケーションには人気ビデオゲームパックマン」とのコラボレーションを計画している。

かつて21世紀の初めごろ「BMWは、これからもストレート6と後輪駆動にこだわり続ける」と本国BMWのマーケティング担当者が力強く語っていた。

もちろん、この言葉を信奉する古くからのBMWオーナーもいるだろうが、多くの新たなユーザーは「BMWだから、いいクルマだから」という理由で選んでも、FRや6気筒エンジンにはこだわっていないようだ。

そうした新しいユーザーに向けて、マーケティング戦略も変わってきた。

新型1シリーズでは、人気漫画「天才バカボン」のキャラクターをハリウッド映画風にアレンジしたCMを展開したり、2シリーズ・グランクーペのマーケティング・コミュニケーションには人気ビデオゲームパックマン」とのコラボレーションを計画している。

プレミアムブランドといえども、新たなユーザーを取り込んでいかなければ発展はない。

そのためには、いままでにはないマーケティングの手法も必要だ。

そう、この手法は既にライバルであるメルセデス・ベンツが確立している。

2019年は6万6523台を販売し、単一ブランドとしては純輸入車5年連続の販売台数ナンバーワンを誇っているメルセデス・ベンツ

両社の鎬の削り合いは、2020年以降も続いていくのは間違いない。


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