昨年11月22日に公開され、公開時には興行通信社「ミニシアターランキング」(11/23〜24)第1位、Yahoo!映画「先週公開作品の評価ランキング」第1位、そして1/27時点でのYahoo!映画評価は4.45点と、各所で高い評価を得た劇場OVAフラグタイム」。好評につき今年2月からの追加劇場上映が決定したということで、もう一度ぜひ見に行きたいという人も、気になるから行ってみようかな……?という人も、これを読めば「フラグタイム」の隅から隅まで楽しめる!? 原作者のさと先生とプロデューサーの寺田悠輔さんによる、公開後の今だから話せる内容満載のスペシャル対談インタビューをお届けします!

劇場OVA「フラグタイム」より

※このインタビュー2019年11月26日に行われたものです。

※このインタビューは本編の内容に言及しています。

【原作・さとさん×プロデューサー・寺田悠輔さん対談・前編】

――まず、さと先生は、完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

さと 原作はわりと前半と後半でテイストが違うかなというところがあるのですが、それをきれいにまとめてくれたというか、全体のコンセプトが一貫しているなと。映像が美しく、音楽も素晴らしいので、いい作品に仕上がっているなと思いました。

――アニメは原作の後半部分に近いテイストになっているかと思います。

さと 元々私はギャグテイストの漫画を描いていたので、話を読み返すと結構ギャグっぽい感じなんですよね。その辺も映像では丁寧に表現してくださっているので、安心して見ていられます(笑)

寺田 短い話の積み重ねである原作を、60分というまとまった形で映像化するために、最初に佐藤卓哉監督の中にある解釈を元に再構成していただきました。この作品の柱になる部分は何なのか? と考えたときに、第2巻の後半で描かれているコミュニケーション的なテーマが先に立つんじゃないかなという話になりまして。そのテーマと、佐藤監督のつくる映像のセンスが組み合わさって、こういう作品になったと思っています。

――コミュニケーションの話でいえば、ラストのほうで主人公の2人、森谷美鈴と村上遥が激しくぶつかり合うシーンがありますね。

寺田 佐藤監督は「最後のチャプターはバトルです」みたいなことを話していて、劇伴音楽も「バトルシーン」という言い方で発注していました(笑)

さと あれ、バトルシーンの曲だったんですね(笑)。でも、たしかにかっこいい曲でした。「ドゥーン」って、身体に響くような低い音とかも使っていますよね。

寺田 ハンス・ジマーという、海外の有名な劇伴作家の名前が参考例として出ていました。映画の「ダークナイト」等を手掛けた方ですね。

さと そう言われると、当時「フラグタイム」を連載していたときも、ラストシーンは森谷と村上の殴り合いだと思って描いていたような気がします。一見、村上が優勢に見えるんだけど、森谷が倒して終わるような(笑)。なので、バトルのっぽい雰囲気も多少あるような気がするんですよね。

――実際、終盤では森谷がかっこよく見えましたよね。

寺田 森谷役の伊藤美来さんも、森谷の「困っている人がいたら救ってあげなきゃ」と思って人にちゃんと手を差し伸べられるところは、ヒーローっぽいという話をしていました。

さと さすが、よくわかっていらっしゃる!

――メインビジュアルでは森谷と村上の2人が砂浜を歩いていますが、なぜこの絵なのか気になっている人も多いのではないかと思います。

寺田 最初のティザービジュアル砂時計に入っている2人で、これはコミックス第1巻の裏表紙からアイデアをお借りしたものです。反対に、メインビジュアルは開放されている2人を描いてあげたかったんです。そこでいろいろアイデアを出した中にあったのが、海辺で歩いている2人というシチュエーションでした。海辺にも砂がありますが、砂時計の中にある閉じ込められた砂じゃない。どこまでも2人の関係が続いていく感じを表現できるんじゃないかなと。また、このメインビジュアルは「時間を止める能力がなくなった後も、2人きりの時間をつくっていっしょにいる」という、2人の未来の姿をイメージして発注させていただきました。それに加えて、「村上を笑わせてあげたい」ということも大きなコンセプトでしたね。「村上さんをつくり笑いじゃなくて、自然にこぼれたような笑顔にさせてあげたいです」というようなことを、キャラクターデザインの須藤(智子)さんにお伝えしました。

さと いや、村上が幸せでよかった……(笑)

寺田 あとはメインビジュアルだと森谷がしゃべっているのを村上が笑いながら聞いているという、2人の性格のイメージから考えると、ちょっと逆っぽい感じもありますね。そのあたりでも、少し未来の雰囲気があるんじゃないかなと思っています。

――2人の未来の姿がどんな感じなのか、さと先生の頭の中にはありますか?

さと 特に考えたことはなかったんですけど、2人の未来を私じゃなくて他の方が描いてくれていると思うと、どこかこみ上げてくるものがありますね。私以外にも、2人の幸せを願ってくれる人がいるんだなと。

寺田 パンフレットの表紙も描き下ろしのイラストを使っていて、本編には出ていない夏服なんですよ。こういうところからも、あの2人は時間を止められる間だけつながっていたのではなくて、その能力がなくなってもいっしょにいるんだ、ということが伝わってくるようで、個人的にもすごく好きなイラストです。

――先ほどの寺田さんの「村上を笑わせてあげたい」ということばにも愛を感じます。

寺田 村上のように、必死に人付き合いの努力をしながら学校や職場の時間を過ごしている方も多いと思うので、そういった方たちが報われてほしいなと。最後、森谷からその努力について口に出しても評価してもらえたというのは、すごく幸せなことなんじゃないかと思っています。

――さと先生にとっては、どのキャラクターが自分の分身ですか?

さと 今まで描いたキャラクターの中で森谷がいちばん自分に似ているなとは思っていますが、村上もまあ自分かなと。実際自分は、村上の単語帳じゃないですけど、いろんな人のことを把握して自分がそれに応えることができる、誰にでも好かれることができると勘違いしていた頃があったなあって。その頃の自分にひと言申したいという気持ちで描いていたのも、ちょっとありましたね。もちろん、相手に応えようと努力するのは素敵なことだなと思うんですけど、あまりにも人をモノ化しているというか、自分の中で他人を決めつけているのは、どうなんだろうと思ったりして。後半の「村上さんの単語帳に書かれてたことだけが私じゃないから!」というセリフも原作にはなかったのですが、素敵だなと思いました。

【後編に続く】

【商品情報】

■商品名

Vol.1:「フラグタイム」設定資料集Vol.1~原画集~

Vol.2:「フラグタイム」設定資料集Vol.2~絵コンテ集~

Vol.3:「フラグタイム」設定資料集Vol.3~アフレコ台本~

※商品の収録内容は変更になる可能性もございます。予めご了承ください。

■仕様

B5サイズ/ページ数未定

ページ数は決まり次第発表いたします。

■販売価格

各税別3100円

■品番

Vol.1:BRZP.07205

Vol.2:BRZP.07206

Vol.3:BRZP.07207

■発売日

2020年3月31日(火) 予定

※全巻同時発売

※本日12月27日(金)よりポニーキャニオン通販サイト「きゃにめ」にて受注開始

※なお本商品の利益の全額はスタジオ破産により制作費が正しく届かなかったスタッフに還元されます。(WebNewtype・【取材・文:仲上佳克】)

劇場OVA「フラグタイム」より