今年で第7回目となる「高校生ビジネスプラン・グランプリ」の最終審査会が開催されました。最終審査に残った10チームの中から見事グランプリに輝いたのは、“スティックのり”の問題点を解決し、新型スティックのり「PeriPeri」を開発するプランを生み出した、大阪府立三国丘高等学校の皆さん。グランプリ獲得の要因や大会に向けて努力したこと、今後の目標などについて、チームを代表して濱中さん・木實くん・深江くんの3名に教えてもらいました。

“スティックのり”の「もったいない」を解決! ビジネスプラン「PeriPeri」

応募総数3,808件(409校)から選ばれたファイナリスト10組が臨んだ「高校生ビジネスプラン・グランプリ」の最終審査会。グランプリを目指し、制限時間6分の中で、熱い思いを込めたプレゼンテーションが披露されました。

優勝した大阪府立三国丘高等学校のメンバーは、スティックのりの底の受け皿の部分に、全体の13%もの“のり”が埋まっていることがもったいないという考えから今回のプランを発案しました。のりを最後まで使い切るためには、容器をめくれるものにすればいい。イメージとしては、(江崎グリコのアイス)ジャイアントコーンのようなもの。包装をペリペリとめくることができたら、のりを残すことなく最後まで使い切ることができるというアイデアです。
容器をめくるという発想は、のりだけでなく、リップクリームなどのスティック型用品に対応していて汎用性が高いそう。しかものりの表面に広告を貼り付けられるという展開の広がりについても考えられていました。

広告展開されたイメージの「PeriPeri」
広告展開されたイメージの「PeriPeri」

商品の制作には、学校にあった3万円の3Dプリンターを使用したとのこと。「性能的にも決していいとはいえないプリンターなので、苦労することもありました」と制作の裏話も披露しました。

身近な問題を解決し、付加価値をつけて勝利!

―― グランプリを受賞された感想をお聞かせください。

濱中:今まで頑張ってきたことに結果がついてきて本当にうれしかったです。受賞スピーチでも言ったのですが、皆さんが真剣に聞いてくださり、笑ってくれたこと。その反応に安心して、楽しみながらプレゼンすることができました。プレゼンは聞く人が主役と先生に教えてもらったのですが、本当にそうだなと実感しました。

木實:正直、まだ信じられないという気持ちです。うれしいという言葉しか出てこないです。

深江:グランプリを獲ったという状況がまだ飲み込めていません(笑)。やっぱり、うれしいという気持ちでいっぱいです。

―― グランプリ受賞の一番の要因は何だと思いますか?

濱中:身近なものの問題点を自分たちが解決することを目指して、実際に自分たちで作品を作って方法を示したことだと思います。

木實:面白いプレゼンができたからだと思います。会場が一体になって盛り上がれた感じがしました。そういった雰囲気を作るのは、練習のときから意識していたことです。

深江:審査員の皆さんに商品を手渡し、直接「めくる」という体験をしてもらったのが良かったと思います。


―― アイデアのきっかけを教えてください。

濱中:身近なものの問題点についてみんなで話しているときに、「スティックのりの余っているところをほじくり出して使う」という話題になりました。

木實:普段、スティックのりを使っていて悩んでいたことでした。もったいないと思いながらも、ほじくり出して最後まで使うのは面倒だと感じていました。

深江:僕自身も、もったいないと思いながらも諦めて捨てていました。今まで「どれだけ無駄にしていたんだ!」と思いました。

―― プランの一番のこだわりは?

濱中:最後までめくって使うという問題点の解決をすること。でも、それだけでは物足りないのでデザイン性や持続性などの付加価値をしっかりつけたことです。

木實:気づいたらみんなで使っていた「PeriPeri(ペリペリ)」という言葉もポイントだと思います。

深江:「ぺりぺりしたらいいじゃない?」という話が出てから、当たり前のようにそう呼んでいました(笑)。

メンバー8人の考えをまとめ、できるだけ自分たちだけで決めようと進めた

―― 大会に向けた準備の中で一番努力されたことは何ですか?

濱中:プレゼンの見せ方についてはたくさん話し合って、練習しました。制限時間6分の中で伝えたいことをどれだけ伝えられるのかを考えるのが大変でした。8人いると伝えたいことがそれぞれにあります。大きくは一緒でも細かい部分でさまざまな意見が出てきたので。

木實:意見がまとまらないときは、基本的には多数決です。ただ、8人なので4対4になることもあり、まとめるのに苦労することもありました(笑)。

深江:本当に決まらないときには、先生にアドバイスをもらうこともありました。でも、基本的にできる限りは自分たちだけで決めようという姿勢でした。

―― 今後の進路について、現在考えられていることはありますか?

濱中:高校に入った頃から、大学在学中に起業できたらいいなとずっと思っていました。「スティックのり」のプランでグランプリになるとは思っていなかったので、これからやりたいことを探したいと思っています。

木實:バーチャルリアリティに興味があります。アニメに出てくるある機械を実際に作りたいと思っていて、その研究者になると決めています。なので、まずは大学に進むために今はひたすら勉強をしています。

深江:経営や経済に興味があるので、大学でもそういう勉強がしたいと思っています。グランプリを獲ったばかりで頭の中が混乱しているのですが、大会に参加したことが刺激になり、将来を考えるきっかけになるかもしれないとも思っています。



優勝賞金の使い道は「実用新案への登録」と教えてくれた大阪府立三国丘高等学校の3人。文系・理系、いろいろな人がいるという8人のチームで勝ち取ったグランプリ。それぞれの夢もしっかり抱えながら、「PeriPeri」のプランもさらにブラッシュアップして形にしていきたいと、目を輝かせていました。
プレゼンは聞く人が主役という先生の言葉通り、素敵なプレゼンで観客を魅了した皆さん。楽しみながらもったいないも解決できる新型スティックのり、早く使ってみたいですよね。


profile大阪府立三国丘高等学校 濱中祐菜、木實大晶、深江拓登