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はじめに

骨折り損といえるような目に遭ったことがあれば、ヴォグゾールとオペルが2017年11月にどんな苦汁を舐めたか理解できるはずだ。

それまで、コルサは3年毎に大幅改良を受けてきた。先代モデルでも、2017年には技術な開発が発売できる段階に達していたのである。販売台数の減少は予想されたが、デビューすれば十分な人気を得られたはずだ。

ところがこの年、PSAグループが、ヴォグゾールとオペルをGMから買収。プジョーシトロエン、DSを擁するフランスの巨大企業は、ほぼ承認段階にあったアストラ系モデルを廃止した。

そして、プジョー208やDS 3クロスバックと共通のCMPプラットフォームでコルサの開発を白紙からやり直すことを決定する。このプロジェクトのチーフエンジニアであるトーマス・ワンケに言わせれば、それを決断するのは簡単だった、とのことだ。

そうして、このフランスの血と肉を持つはじめてのコルサが生まれた。それも、開発の立ち上げから2年とかからずに完成したのである。

これほどタイトなスケジュールで発売に漕ぎつけたというのは、それだけでもなかなかの仕事だといえる。しかし、それだけの労力を費やした甲斐はあったはずだ。

なにしろ、プラットフォームはヴォグゾール/オペル自前のものより軽量かつ高剛性で、パワートレインも多彩に用意される。それらの、手強いライバルが割拠するこのセグメントを戦い抜くのに不可欠な要素を手に入れられたのだから。

敵は、完成度を高めたルノークリオや、シャープなハンドリングが売りのフォード・フィエスタにセアト・イビザをはじめ強豪ぞろい。それらと覇を競えるものになっているのか、見極めていくとしよう。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

PSA傘下に入り、全面的な計画見直しを敢行した新型コルサだが、開発はドイツ・リュッセルスハイムにあるオペルの拠点で進められた。生産はスペイン・サラゴサの、1982年オペルが創設した工場で行われる。

これまでと大きく変わったのは、PSAのモジュラープラットフォームに、キャビンの後退した2ボックスのボディを組み合わせたこと。そのシルエットは、ヴォグゾールのエンジニアの言葉を借りれば、以前よりバンっぽさがかなり薄まったものだということになる。

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先代コルサと比較すれば39mm長いが、いっぽうで48mm低く、1mm狭い。

それがプジョー208に似ていても、驚くには値しない。また、寸法も同等になっている。先代コルサと比較すれば39mm長いが、いっぽうで48mm低く、1mm狭い。

全体的に見ると、控えめながらエレガントで、目を引くプレスラインや、細長いヘッドライトとグリルを採用している。魅力的だが208を霞ませるほどでないのは、PSAの意向が反映されてのことかもしれない。

われわれがコルサに望み続けていたのは、より高効率なパワートレイン。それが、ついに実現した。

おそらく最量販機種となりそうなのは1.2L直3で、75psの自然吸気と、100psのターボが設定される。自然吸気は5速、ターボは6速となるMTを選べば、18km/Lを超える仕様も。ターボに設定されるアイシン製8速AT搭載車でも、それに近い燃費をマークする。

ディーゼルは1.5L直4のみで、24km/L前後の優れた経済性を誇る。このほか、EV仕様のコルサ-eをラインナップ。エンジン車はいずれも、CO2排出量が100g/kmを切り、コルサ-eの航続距離はWLTPモードで330kmを超えるという。

サスペンションは全車とも共通で、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。このクラスでは標準的なセットアップだ。

これまでのコルサは、オペル仕様とヴォグゾール仕様でステアリングのチューニングを変えていた。かたやアウトバーンも視野に入れたスタビリティを、かたやB級道路も想定した切りはじめのレスポンスを、それぞれ重視してのことだ。新型では、この設定が共通となった。

ダンパーは、これまでのコルサよりホイールコントロールを明らかに改善したとか。これは接地性の向上と、自然なドライビングのためにESPの介入を抑えるのが狙いだ。

先代比100kg以上の軽量化というのも、エンスージアストの評価を得られそうなポイントだ。主な重量削減ポイントは、15%の剛性アップも果たしたボディで40kg、エンジンで平均15kg。あとはアルミボンネットなど、さまざまな策を重ねたことによるものだ。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

プロポーションの変化は、外観だけでなく、室内でも明らかに知ることができる。

以前のモデルは、少なくともここ数代を見る限り、機能優先のコンパクトカーだったといえる。やや高めのルーフとヒップポイントを備え、小さな面積の中でより便利に使えるキャビンスペースを稼ぎ出した。

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旧型のオーナーが慣れるまでに時間を要しそうなのは、低まったドライビングポジションと、やや狭まったドア開口部だ。

対して新型は、全高とドライビングポジションが低められ、スペース効率は先代より低下した。メーカーがどう説明しようと、室内が狭くなったことはマイナス材料だ。

旧型のオーナーが慣れるまでに時間を要しそうなのは、低まったドライビングポジションと、やや狭まったドア開口部だ。反対に、質感と車載テクノロジーは間違いなく向上している。

乗り込んでみると、足元スペースの浅さに気づく。また、メーターまでの距離は遠い。いずれも、PSA由来のプラットフォームがベースであることを示す要素だ。

しかし、キャビンで気づくことはそれだけではない。ハイグロスなブラックとクロームのトリムがふんだんに用いられ、ダッシュボードの中央には10.0インチのワイドディスプレイインストールされている。

どちらも、最近の量販ハッチバックによく見られる手法だ。各メーカーはそうすることにより、高価で高級な印象を高めようとしている。とくにツヤのあるトリムは、歴代どのコルサのインテリアよりも豪華で上質な見栄えを演出する。

ところが、手触りのほうはそれほどほめられたものではない。それは主に、ダッシュボードやドアパネルを形成する硬いプラスティックが理由だ。

それでも、十分に効果は出ている。表面上はたしかに、目新しい高級感と、テクノロジーの先進性を感じさせるインテリアに仕上がっている。

だが、後席空間に関しては、あまり出来がいいとは思えない。ルーフと着座位置が低くなったことの弊害で、リアシートのレッグルームが小さくなってしまっているのだ。

われわれの計測値では、ヘッドルーム890mmと極端に低いわけではないが、レッグルームは620mmとかなり狭い。ポロやイビザはこれより5cmほど、ほかのライバル車ならもっと大きな値を有している。

ラゲッジルームは、先代比で10%ほど拡大し、通常時で309L。最大時は1118Lまで拡大できる。同クラスのライバルには十分匹敵するが、それを大きく凌ぐものではない。

走り ★★★★★★★☆☆☆

絶え間ない雨の中、100psのテスト車はスタートでのトラクション不足に悩まされながら、0−97km/h加速で11.2秒をマークした。

しかし昨年、同じようにコンディション不良の中でテストした95psのポロは、コンマ5秒ほど早かった。今回のコルサより小さい、185幅の15インチタイヤを履いていたにも関わらずだ。悪くはないが圧倒的ではない水準、といったところだろうか。

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この8速ギアボックスは十分に有能だ。それでもテスター陣は、6速MTのほうが好ましいはずだという意見で一致した。

コルサの8速ATは、MTだったポロより発進がトリッキー。それが、タイムへ如実に反映されたかたちだ。

ところが、それだけでは、0-161km/hに至ると4.1秒にまで差が広がる理由を説明できない。ポロより車重は軽く、パワーもトルクも上で、中間ギアの数が多いのだから。

コルサトルクが太いので、公道上ではパンチに欠けることがない。最新のターボユニットを積むライバルの中には、これよりリニアな加速を見せるものもある。

低中速域でのパワーデリバリーは、ちょっとブーストが効いたところを見せるが、スピードの上がり方には好ましい元気さがあり、手ひどく裏切られたと思わされることはない。市街地での走りでも、高速道路の速度域でも、それは変わらない。

それは、テストデータにも存分に表れている。変速ありでの48-113km/h加速は11.5秒で、ポロとの差はほんの0.3秒。1.2Lエンジンのパワーデリバリーは、回転が高まるにつれこわばった印象を覚えはじめるが、ライバルに劣らぬフレキシビリティを発揮する。

われわれは4速固定での加速性能を柔軟さの指標としているが、これで計測した48-113km/hタイムは12.7秒。2017年にテストした125psのフィエスタは、14.8秒かかった。

もちろん、この差はコルサが8速ATを積んでいることが一因だ。そうはいっても、上々の結果であることは否定できない。

この8速ギアボックスは十分に有能だ。それでもテスター陣は、6速MTのほうが好ましいはずだという意見で一致した。めんどくさがりや、運転に興味がないユーザーなら、ATのほうがうれしいだろうが。

シフトの作動ぶりはなめらかだが、ときどき変速がもたつく。また、ブレーキペダルはアシストが効き過ぎた、柔らかいフィールなところがある。

とはいえ、減速はおおむねスムース。ステアリングコラムから生えたシフトパドルでは、申し分ないほど積極的にマニュアル変速できる。必ずしも、期待したほど素早くはないのだが。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

最廉価グレードでも、新型コルサはタッチ式7.0インチディスプレイのインフォテインメントシステムを標準装備。スマートフォンのミラーリング機能も備えるので、ナビやオーディオ、コネクティビティはそれでまかなえる。

ナビゲーションシステムの後付けは有償オプションだが、エリートアルティメットの各グレードにはナビと10.0インチディスプレイが付いてくる。

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最廉価グレードでも、新型コルサはタッチ式7.0インチディスプレイのインフォテインメントシステムを標準装備。エリートアルティメットの各グレードにはナビと10.0インチディスプレイが付いてくる。

上位機種となるマルチメディアナビ・プロは表示が見やすく、レスポンスがよく、直感的に操作できる。メニューのショートカットボタンやヒーターの操作パネル、音量ダイヤルは実体スイッチなので、走行中でも扱いやすく、操作ミスをしにくい。

純正ナビのマップは、ディテールと読みやすさのうまい妥協点を見出している。入力操作は、音声でもタッチでもイージーだ。

燈火類

上級グレードに装備されるアダプティブLEDマトリックスヘッドライトは、良好な機能ぶりを見せる。ハイビームでは広い範囲を明るく照らすが、自動減光にしておけば眩惑を防げそうだ。

ステアリングとペダル

センターに配置されたブレーキペダルは、踏面が広く操作に窮屈さを強いられることはない。ただし、フットウェルの奥行きが浅いので、ペダルまでの距離が近い。

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

ほかの古豪欧州メーカーが用意するライバル車とは異なり、コルサは決してファントウドライブを追求しようとはしてこなかった。スポーツグレードのVXRでさえ、ドライビング面の魅力は評判の一部に過ぎなかった。

その要因は、ヴォグゾール/オペルの考え方にある。ベーシックカーの走りのキャラクターは、アジリティやレスポンスより、使いやすさや便利さを重視してきたのだ。それで長年にわたり売り上げ好調だったのだから、メーカーの判断はおそらく間違っていなかったのだろう。

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歴代モデルに比べ、ハンドリングの正確さや全体的な運動性のバランスが、根本的に優れているのは確かだ。しかし、求められる課題をクリアできているとは言いがたい部分も目につく。

それを踏まえれば予測できるだろうが、このクルマには葛藤が見て取れる。

歴代モデルに比べ、ハンドリングの正確さや全体的な運動性のバランスが、根本的に優れているのは確かだ。これは、低くなった車高や軽くなったウェイトがもたらすものだといえる。

しかしながら、かけた開発コストに対し、求められる課題をクリアできているとは言いがたい部分も目につくのだ。

キレがなくオーバーサーボ気味なブレーキペダルと同じく、ステアリングも軽くてフィールがあまりハッキリしない。

単調な手応えは、舵角が増しても変化せず、スペンションやタイヤのサイドウォールへの負荷が増加していくのを伝えてはくれない。まるで、GM時代のヴォグゾールが、英国向けに仕立てた過去のモデルを見ているようだ。

驚くほど速く中立へ戻ろうとするセッティングも、直観性が予想をやや下回る一因だ。それは、進路決めにも取り回しにおいてもいえることである。

タイトなスペースへの駐車では、せわしない操作が必要になりそうだ。とは言うものの、それにいちいち不満を持つドライバーというのもそうそういないだろう。

ハンドリングのレスポンスは穏やかで慎ましやか。そのため、速度を上げてしまえば、手応えやフィードバックの薄さが、低速で動いているときほどには気にならなくなる。

ステアリングのギア比はほどほどで、四輪とも十分にグリップがあり、シャシーバランスはスタビリティを優先したものだ。ドライビングの楽しさはやはり物足りないが、ボディコントロールや速度を上げた際の安心感には優れる。また、ハンドリングの精確さはかなりのものだ。

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

フランス車とプラットフォームを共用したことで、新型コルサにはその走りのキャラクターがどことなく感じられるのでは、と思うかもしれない。そうであれば、ここまでの走りの話を呼んでガッカリしているかもしれないが、この先さらに失望させることになる。

乗り心地はやや反抗的で、ときとしてゴツゴツしたぎこちない感じ。それこそ、このクルマに大きなフラストレーションを感じるポイントのひとつに挙げられる。

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乗り味はフランス籍の兄弟分よりも厳格で硬く、ドイツ車的な重々しいものだ。

ムースで平坦な路面であれば、このコルサの乗り心地は文句なし。また、市街地の速度域であれば苛立つことも少ない。

ところがサスペンションは、尖ったエッジや大きな突き上げには挙動を乱され、高速道路アンジュレーションやボディを揺するような路面には過敏に反応し、ロードノイズも大きい。

このクラスでもっとも走りの洗練されたライバルに太刀打ちするには、もっと洗練された快適な室内環境が必要だ。

このクルマのシャシー開発ティームは、フランス籍の兄弟分よりも厳格で硬い、ドイツ車的な重々しい乗り味に仕立てることを、自分たちのミッションだと判断したようだ。

そこで、英国の悪路に対応できるようなサスペンションの機敏さやホイールのトラベル量を、はじめから考えの外に置かれたのである。

そう言ってはみたものの、このクルマの乗り心地が厳しいとするのはおおげさかもしれない。

少なくとも一般的な乗り方をしている限り、ほとんどの場合には十分に静かで快適。欠点が気になるのは、ライバル車たちがこの5年くらいでいかに進歩してきたのかをみているからだ。

しかし、いずれにしても、最終的には新型コルサが、ダイナミクス面でこのクラスの上位に入ることはない。そして、これまでより高くなった価格を肯定できるものでもない。

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

すべてとはいわないが、新型コルサは円熟味を感じさせる部分があれこれ見受けられる。先代モデルがあまりにもボーイズレーサーっぽすぎだと思っていたユーザーには、これまで以上に訴求できるはずだ。

フィエスタやポロ、イビザもうかうかしていられないだろう。なにしろコルサの価格は1万5550ポンド(約218万円)からと低く、エルゴノミクスや装備の面でもライバルに引けを取らないものがある。

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コルサのトップグレードとはいえ、フィエスタやポロに比べると、残価率の予想値では後れを取っている。

それでも、先代モデルと比較すれば、上級移行したといえる。

ベーシックなSEグレードでも7.0インチのタッチ式ディスプレイクルーズコントロール、車線逸脱警報が標準装備。SRiでは駐車センサーが加わり、エリート・ナビではオートライトやオートワイパー、シートヒーターも追加される。

アルティメットになると、ディスプレイは10.0インチに拡大。マトリックスヘッドライトやアダプティクルーズコントロールも備わる。

さらに、各グレードにパッケージオプションとしてナビ/プレミアム/ナビ・プレミアムが設定される。使うことのないアイテムに出費をしたくないのなら、各グレードを素の状態で選ぶことになる。

ランニングコストの低さも魅力だ。CO2排出量は少なく、それはすなわち燃費の良好さを示唆するものでもあり、税制面での優遇も見込める。18.3km/Lというツーリング燃費は、20.1km/Lをマークした同等装備のクリオには及ばないが、悪い数字ではない。

スペック

レイアウト

第6世代のコルサは、PSAグループのCMPアーキテクチャーがベース。これはプジョーの新型208や、DSの3クロスバックと共有するプラットフォームだ。

電動パワートレインにも対応しているが、テスト車は3気筒ユニットのみをフロントに横置き。8速ATを介して前輪を駆動する。

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ベースはPSAグループのCMPアーキテクチャー。これはプジョーの新型208や、DSの3クロスバックと共有するプラットフォームだ。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。車両重量の実測値は1171kgで、前後重量配分は64:36だった。

エンジン

駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列3気筒1199cc、ターボ、ガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ75.0×90.5mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:100ps/5500rpm
最大トルク:20.9kg-m/1750rpm
許容回転数:6000rpm
馬力荷重比:92ps/t
トルク荷重比:19.2kg-m/t
エンジン比出力:84ps/L

ボディ/シャシー

全長:4060mm
ホイールベース:2538mm
オーバーハング(前):831mm
オーバーハング(後):691mm

全幅(ミラー含む):1950mm
全幅(両ドア開き):3560mm

全高:1433mm
全高:(テールゲート開き):1990mm

足元長さ(前):最大1050mm
足元長さ(後):最大620mm
座面~天井(前):最大990mm
座面~天井(後):最大890mm

積載容量:309~1118L

構造:スティール、モノコック
車両重量:1090kg(公称値)/1171kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前・後:7.0Jx17
タイヤ前・後:205/45R17
ミシュラン・プライマシー4 S1
スペアタイヤ:パンク修理キット

変速機

形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.07/7.4 
2速:2.97/12.6 
3速:1.95/19.2 
4速:1.47/25.4 
5速:1.23/30.4 
6速:1.00/37.5 
7速:0.81/46.3 
8速:0.67/55.7 
最終減速比:3.1:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:14.7km/L
ツーリング:18.3km/L
動力性能計測時:8.8km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):13.1~14.2km/L
中速(郊外):16.3~17.3km/L
高速(高速道路):18.4~19.8km/L
超高速:15.6~17.0km/L
混合:16.1~17.2km/L

燃料タンク容量:44L
現実的な航続距離:649km
CO2排出量:99g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング
後:トーションビーム/コイルスプリング

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.8回転
最小回転直径:10.4m

ブレーキ

前:283mm通気冷却式ディスク
後:249mmディスク

静粛性

アイドリング:40dB
全開時:76dB(4速)
48km/h走行時:61dB
80km/h走行時:65dB
113km/h走行時:68dB

安全装備

ABS/ESC/ESP/LKAS/FCA/AEB/死角アラート
Euro N CAP:4つ星
乗員保護性能:成人84%/子供86%
交通弱者保護性能:66%
安全補助装置性能:69%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温7℃
0-30マイル/時(48km/h):3.7秒
0-40(64):5.6秒
0-50(80):8.1秒
0-60(97):11.2秒
0-70(113):15.2秒
0-80(129):20.2秒
0-90(145):27.5秒
0-100(161):38.5秒
0-402m発進加速:18.5秒(到達速度:123.4km/h)
0-1000m発進加速:33.7秒(到達速度:153.9km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・ポロ 1.0 TSI 95 SE(2018年)
テスト条件:湿潤路面/気温4℃
0-30マイル/時(48km/h):3.5秒
0-40(64):5.5秒
0-50(80):7.8秒
0-60(97):10.7秒
0-70(113):14.6秒
0-80(129):19.4秒
0-90(145):25.7秒
0-100(161):34.4秒
0-402m発進加速:18.0秒(到達速度:124.7km/h)
0-1000m発進加速:32.9秒(到達速度:159.6km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):3.5秒(2速)/4.2秒(3速)/5.8秒(4速)

30-50(48-80):4.6秒(3速)/5.6秒(4速)/6.6秒(5速)/9.1秒(6速)

40-60(64-97):5.5秒(3速)/6.1秒(4速)/6.9秒(5速)/8.8秒(6速)/11.9秒(7速)/18.3秒(8速)

50-70(80-113):7.0秒(3速)/7.1秒(4速)/7.7秒(5速)/9.2秒(6速)/12.2秒(7速)/16.9秒(8速)

60-80(97-129):8.8秒(4速)/9.3秒(5速)/10.5秒(6速)/14.0秒(7速)/19.2秒(8速)

70-90(113-145):12.2秒(4速)/12.2秒(5速)/13.3秒(6速)/17.6秒(7速)

80-100(129-161):18.4秒(5速)

各ギアの最高速

1速:45.1km/h(6000rpm)
2速:75.6km/h(6000rpm)
3速:115.9km/h(6000rpm)
4速:152.9km/h(6000rpm)
5速:181.9km/h(6000rpm)
6速:191.5km/h(5112rpm)
7速:191.5km/h(4131rpm)
8速(公称値):191.5km/h(3435rpm)

8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2021rpm/2309rpm

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温7℃
30-0マイル/時(48km/h):11.2m
50-0マイル/時(64km/h):31.6m
70-0マイル/時(80km/h):60.7m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.47秒

ライバルの制動距離

フォルクスワーゲン・ポロ 1.0 TSI 95 SE(2018年)
テスト条件:湿潤路面/気温4℃
30-0マイル/時(48km/h):8.2m
50-0マイル/時(64km/h):23.8m
70-0マイル/時(80km/h):47.8m

結論 ★★★★★★★☆☆☆

新型コルサはたしかに、先代モデルよりスマートで洗練され、見た目の高級感が増し、購買意欲を刺激するクルマとなった。

新規プラットフォームは、より魅力的なスタイリングと幅広いパワートレインの展開、充実したアクティブセーフティシステムの採用を可能にした。

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さまざまな点が改善されてはいるものの、価格に見合う魅力があるとはいい難い。

しかしながら、間違いなく改善をみたとはいっても、それがすべてに及んでいるわけではない。

ハンドリングは安心感があるものの、ややインフォメーション不足。乗り心地は落ち着かないことがあり、4座としての実用性には疑問が残る。価格設定が高いことも含め、成功への障壁は少なくない。

有能で、安心感があり、おおむね当たり障りのない走りをみせるが、そこに個性はなかった。最高レベルの競合車ならば、大型車のような走りの資質を備えているが、コルサはそうした埋め合わせとなる要素も持ち合わせていない。

もちろん、ヴォグゾールの忠実な固定客であれば、何を失ったかより、何を得たのかに目を向けることだろう。よりモダンなフィーリングの、高級感もあるコンパクトカーとして高く評価するはずだ。

しかし、ほかのブランドのクルマに触れる機会のほうが多いユーザーを落胆させるのには、多くの理由を挙げるまでもないだろう。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

新型コルサに乗ってみて、これは本当にこれまでのコルサオーナーや、ヴォグゾールが想定する新規顧客に訴求できるクルマなのかという疑問を覚えた。成功の鍵を握るのは、電動バージョンの出来栄えではないだろうか。

サイモン・デイヴィス

ライバルのトップグレードで、今回のコルサアルティメット・ナビほどの価格となるものはない。その金額差を受け入れられるかどうかは甚だ疑問だ。装備は充実しているが、これより安くてもキャビンが魅力的なライバルは存在する。

オプション追加のアドバイス

100psエンジンは上々だが、6速MTとの組み合わせを選びたい。あまり上位のグレードはおすすめできない。SRiナビ・プレミアムなら、たいがいのユーザーが満足できるはずの装備が揃う。多少の値引き交渉をすれば、2万ポンド(約280万円)以下で購入できるだろう。

改善してほしいポイント

・足の突っ張った乗り心地は、もっと磨きをかけてほしい。
・パワーステアリングの手応えやフィールを、もっと心強いものになるようチューニングを。
・なんとかしてキャビンのスペース拡大を。これは絶対に必要だ。


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