紀尾井ホールの開館25周年と紀尾井ホール室内管弦楽団の創立25周年を祝うアニバーサリー公演は、モーツァルト最晩年の傑作尽くしだ。なにしろ公演タイトルにもなっている生涯最後の傑作「レクイエム」を筆頭に、モーツァルトにとって“宿命のト短調”の響きが切ない「交響曲40番」に、短くもはかなく美しい「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の3本立てとなれば、これは贅沢の極み。料理に例えてみれば“ステーキにハンバーグ&フォアグラ添え”といった豪華さだ(*音楽はこんなに油っこくはない)。

しかも演奏は、チェンバロ奏者・指揮者として名高い古楽の権威トレヴァー・ピノック率いる紀尾井室内管弦楽団であり、会場は響の良さで定評のある800席の紀尾井ホールとなれば、これは文句のつけようがない。モーツァルトの魅力がたっぷり詰まった時間がここにある。

映画アマデウス」にも描かれていたように、自らの死を覚悟しながらなお、これらの傑作を書き続けたモーツァルトの思いや如何に。

紀尾井ホール室内管弦楽団
ソプラノ:望月万里亜
テノール:中嶋克彦
バス:山本悠尋

●公演概要
2月8日(土)、9日(日) 紀尾井ホール
紀尾井ホール室内管弦楽団 トレヴァー・ピノックのモーツァルトレクイエム

トレヴァー・ピノック