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皮膚がんリスクを高める、肌にシミができるなど、何かとネガティブなイメージがある紫外線。でもちょっと待って! そこにはさまざまな病気を遠ざけ、若さを保つうれしい効果が盛りだくさんなのです。

「太陽光に含まれる紫外線は、特に女性にとって大敵と思われがちですが、最近の研究では私たちの肌や体を健康にしてくれるありがたい存在であることがわかってきたのです」

乳腺専門医で、アンチエイジング医療に詳しい南雲吉則先生はそう話す。紫外線といえば、美容や健康によくないイメージがつきまとうものだけれど……。

「私たちの体が紫外線を浴びると、肌の表面でビタミンDがつくられます。骨を丈夫にするために日光浴が効果的なのは有名ですが、それ以外にも、ビタミンDの作用によって、多くのメリットを得ることができます。がん、うつ、認知症、ぜんそく・花粉症などのアレルギー症状、さらには心筋梗塞脳梗塞動脈硬化など、日本でも問題となっている疾患の多くを防ぐのに紫外線は有効なのです」(南雲先生・以下同)

とはいえ、やはり紫外線といえば念入りにカットするもの、というのが多くの人が認識しているところだ。南雲先生が次のように解説する。

「シミやシワの原因になると考えられている紫外線には、UV-A(A波)とUV-B(B波)があります。A波は肌に当たることで、消毒作用が働いたり、ハリも与えてくれます。一方、B波は浴びすぎると皮膚表面にやけどのような状態を起こします。ところが、B波はほとんど地上に届くことはないのです。暑い季節の一定の時間帯を除けば、私たちが浴びるのは紫外線のうち体によいA波なのです」

南雲先生がクリニックの乳がん患者の血中ビタミンD量を計測したところ、紫外線のメリットをいっそう実感したという。

「98%の人が、血中のビタミンD量が20(単位はng/ml)以下の『欠乏状態』でした。それ以降、私は患者さんに日光浴を推奨し、冬の間はタンニングマシンに入ってもらうようにしました。すると、術後の回復が明らかによくなっていったのです。ビタミンDは免疫力を高めることで、がんをはじめ、さまざまな病気を予防してくれます。健康体でいるためには、紫外線は積極的に浴びたほうがいいのです」

免疫力のほかにも、脳神経の活性化、血管の修復、糖代謝を活発にする作用などによって、うつや認知症動脈硬化、糖尿病などの予防効果が得られるという。紫外線が、単にがんを招く元凶という考えは、大きな誤解なのだ。

注意したいのは、紫外線は窓越しでは十分に私たちの体に届かない。直射日光を浴びることが大切だという。冬の間は日差しが弱く、衣類も着こんでいるため、皮膚に届く紫外線が圧倒的に不足する。そこは、日光を吸収した乾燥きのこ類(きくらげなど)やレバーなど、ビタミンDを多く含む食品で補うことを南雲先生はすすめているそうだ。

「今は乳がんの発生率は30代から増加傾向にあります。30代以上の女性にはぜひ、夏の10〜14時を除いた時間帯にできるだけ肌を日光にあてることをおすすめします。目安として1日30分程度が望ましいでしょう」

シミ、シワを過度に気にせず、紫外線を味方につけて健康な体を維持していこう!

「女性自身」2020年2月11日号 掲載