立憲民主党のYou Tubeチャンネルより

◆波紋を呼んだ「共産党の市長はNO」広告
 注目を集めた京都市長選挙2月2日に投開票を迎え、現職・門川大作氏の4期連続当選という結果で幕を閉じた。国政では打倒安倍政権を掲げる野党の立憲民主党国民民主党などの野党が、自民党公明党が推す門川候補を相乗りで推薦するという歪な構造となった上、投開票1週間前の1月26日には京都新聞に共産党の市長はNO」という「赤狩り」にも繋がるような表現の広告を門川陣営が出し、国政における野党共闘に悪影響をもたらすことが懸念されている。〈*この広告の問題点については、「現職・門川大作候補の支持団体が著名人写真無許可使用の反共拗らせを出した京都市長選。投票は2日」(HBOL)を参照〉

 この広告の掲載から2日後の1月28日立憲民主党福山哲郎幹事長は定例記者会見を実施。京都選挙区の選出であり、昨年末までは立憲民主党京都府連会長を務めていた福山幹事長には当然ながら京都市長選挙における門川陣営の差別的広告に関して多くの質問が飛んだ。だが、福山幹事長はまるで国会における与党の不誠実答弁のような回答に終始した。

 そこで本記事では、この定例記者会見における京都市長選挙の差別的広告に関する質疑を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。

※質問は要約、回答は発言のまま記載する。

 京都市長選挙の広告に関する質問をした毎日放送と京都新聞の記者に対する福山幹事長の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。

 

【色別集計・結果】
福山幹事長:赤信号64%、青信号26%、地の色10%

 赤信号が6割以上を占めている。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。

◆聞かれてもいないことをダラダラ回答する福山幹事長

毎日放送記者:「立憲民主党が推薦する門川陣営から出された「共産党の市長はNO」という意見広告を幹事長はどう受け止めた?」

 この質問に対する回答がこれだ。

福山幹事長:「まあ、私は、あのー、府連の市会議員さん、地域の声を聞きながらですね、結果として我々を支援して頂いているそれぞれの団体等の意見を聞きながらですね、えー、草の根からの民主主義を標榜する立憲民主党としては地域の我々の仲間の声というのは非常に大切だということが一点。(赤信号)

 ま、2点目は、門川、あー、市長候補、まあ、現市長ですか、3期12年、えー、市民と共にですね、まあ、汗をかき、えー、市政としての成果を、おー、いくつか出してきて頂いたと。具体的に申し上げれば、えー、地下鉄の黒字化とか、それから、あー、市立中高の、まあ、非常に評価の高い改革とか、それから、うーん、先々の話で言えば、えー、老朽化、耐震工事をしなければならない市場の、おー、再、えー、構築の問題。えー、京都駅前の、おー、市立芸大の移転等ですね、やらなければいけない、あー、それから、我々の政権の時に共にやって頂いた待機児童ゼロの実現等ですね。えー、非常に、まあ、市民と共に成果をあげてきて頂いたので、私どもは、あー、門川、あー、大作市長の、おー、市政に対して評価をして、府連としての推薦を決めさせて頂いています。(赤信号)

 一方で、まあ、選挙戦が過熱していることは理解をしますが、まあ、あのような、あー、広告が出されたことについては、うーん、まあ、違和感を、おー、覚えたというのが率直な感想です。(青信号) 」

いかがであろうか? 冒頭の2段落はともに論点のすり替えが行われており、赤信号と判定した。

◆1段落目
【質問】京都市長選挙の広告の受け止め
↓ 論点のすり替え
【回答】京都の声を自分がいかに聞いてきたか

◆2段落目
【質問】門川市長の広告の受け止め
↓ 論点のすり替え
【回答】門川市長の実績

 全く聞かれてもいないのに、京都の声を自分がいかに聞いてきたかというアピールをし始め、その後は門川市長の実績を長々と述べ、最後の3段落目でようやく広告に対する感想を答える。回答(青信号)と判断できたのは、この3段落目のみである。質問に正面から答えない姿勢はまるで国会での与党の答弁を見ているようだ。

 続いて、記者は広告について質問を重ねていく。

毎日放送記者:「事前に推薦されたのだから、門川陣営から事前に広告の相談はあった?また、野党共闘への影響もあるかと思うが? 」

 この質問に対する回答がこれだ。

福山幹事長:「えっと、事前の相談は、あ、少なくとも私ども国会議員の中にはありません、でした。党の市会議員にも、えー、他の党にあったかは分かりませんが、市会議員のレベルでも無かったという風に聞いております。えー、まあ、それ以上でもそれ以下でも無いので、まあ、私は非常に、あの広告については違和感を覚えたと言わざるを得ない、ということだと思います。(青信号)」

 広告について事前に相談があったのかという点は率直に回答を述べており、青信号と判定した。だが、野党共闘への影響についてははっきりとした回答は無かった。

◆回答は「それ以上でもそれ以下でもない

 続いて、問題の広告を掲載した京都新聞の記者が自らこの問題について質問する。

京都新聞記者:「京都市長選の門川陣営の広告について先ほど「違和感を覚えた」とおっしゃったが、具体的にどういうところに違和感を覚えたのか? 」

 この質問に対する回答がこれ。

福山幹事長:「それ以上でもそれ以下でもないです。(赤信号)

 逆に京都新聞さんがあれを審査で通したことも私は不思議に思っているので逆にそのことを教えて頂きたいぐらいです。(赤信号) 」

 1段落目、直前の回答で幹事長自身が「違和感を覚えた」と言うから、その詳細を尋ねたら、返ってきた答えは「それ以上でもそれ以下でもない」。これは事実上の回答拒否(=赤信号)であり、誠意のかけらも見えない。

さらに2段落目、以下のような論点のすり替え(=赤信号)を行い、京都新聞に責任転嫁を始める。

【質問】福山幹事長が広告に覚えた違和感
↓ 論点のすり替え
【回答】京都新聞が広告を審査で通した経緯

 記者はこの指摘に答えつつ、話題を野党共闘に移していく。

京都新聞記者:「その点について社内の営業に聞いた話では、選管にもOKをもらっており、会社としてどうこうという話ではないと理解している。で、国政の場での野党共闘において、共産党との関係に亀裂が生じることはありますか?」

 この質問に対する回答。

福山幹事長:「いや、国会で今、徹底的に戦ってるので、そのことはお互いわかった上で戦っていると思います。(赤信号)」

 以下のような論点のすり替え(=赤信号)を行い、またしても福山幹事長は質問に正面から答えない。

【質問】今後共産党との協力関係
↓ 論点のすり替え
【回答】現在共産党との協力関係

 結局、福山幹事長は問題の広告については「違和感を覚えた」と語るだけで、その違和感の詳細は決して語らず、野党共闘の影響についても頑なに答えようとはしなかった。国政では野党共闘による安倍政権打倒を掲げながら、地方選挙では自民党と同じ候補を仲良く推薦。挙げ句の果てに「共産党の市長はNO」という野党共闘を完全否定するような新聞広告に対して、「違和感を覚えた」としか回答できない野党第一党の幹事長

 この日の約35分に及んだ定例記者会見の様子は立憲民主党がYoutubeに公開しており、全編を視聴することができる。
 福山幹事長は安倍政権の不祥事コロナウイルスに関する話題には積極的に答えるものの、本記事で取り上げた京都市長選挙の広告に関する質疑(上記動画の9分45秒頃〜)ではあからさまに歯切れが悪くなる様子が確認できる。さらに皮肉なことに、この会見映像では福山幹事長の背景には立憲民主党が掲げる「まっとうな政治」というスローガンが背景に映り込んでいる。「まっとうな政治」というスローガンを背にして、「まっとうな政治」とかけ離れた記者対応をする福山幹事長。その不誠実さが鮮明になった記者会見であった。

【犬飼淳】
TwitterID/@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。
 犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル日本語版英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している

立憲民主党のYou Tubeチャンネルより