ホイットニー・ヒューストンが歌った「I Will Always Love You」が世界的に大ヒットを記録したことでも知られる、1992年公開の映画『ボディガード』。人気絶頂の歌手レイチェル・マロンと彼女のボディガードをつとめるフランク・ファーマーが、危険が迫る中でお互いに想いを深めあっていくという、この物語。2012年にミュージカル『ボディガード』がロンドンで初演され、2019年9月には英国版の来日公演も開催された。そして今回、新たな演出も加えたミュージカル『ボディガード』日本キャスト版が3月19日(木)より大阪・梅田芸術劇場メインホールで開幕、その後東京で上演される。同作でフランクを演じるのは、人気俳優・大谷亮平。NHK連続テレビ小説『まんぷく』をはじめ様々なドラマ、映画などに出演する大谷だが、舞台は初挑戦。今回、フランクのキャラクターをどのように捉えて演じようとしているのか、話を訊いた。

大谷亮平 撮影=田浦ボン

大谷亮平 撮影=田浦ボン

――原作となった映画『ボディガード』について、大谷さんはどのようなご感想をお持ちですか。

レイチェルを付け狙うストーカーの存在が最初から最後まで常にあり、その緊張感の中でふたりの関係性や立場に変化が生まれてくる。距離が近づいたり、離れたり、その描き方がとても魅力的に感じました。

――フランクを演じるにあたってどのようなアプローチをお考えですか。

台本を読んだとき、「女性の目にフランクがどのように映るのか」を意識しなければいけないなと思いました。女性目線=レイチェルになるはずなので、女性が「フランクにはこうあってほしい」と理想を描いてもらえるようなキャラクター作りを考えています。

――その部分はどういった感じで、あらわれてきそうですか。

稽古が始まっていないため今の段階でははっきりと明言はできないのですが、ボディガードという仕事の枠をこえてレイチェルと距離が近づくことになるので、女性から見て納得してもらえるような男性像を作らなければいけないですよね。基本的には、台本や設定に忠実に沿って役を固めていくつもりです。でもフランクがその中でどのように変化していくか、それは実際に稽古がはじまってから、さらに詰めていくことになるはずです。

――フランクベースとしてはクールダンディ。一方で、人間味がどのようににじみ出てくるかにも注目ですよね。

人間味というと良い意味合いに聞こえますが、裏を返せばクライアントと恋愛関係を持ってしまうので、そこに関してはタブーではある。しかし、そういう隙みたいなものがキャラクターとして面白いのかもしれません。その部分をどう魅せるか。気をつけて演じないと、ご覧になる方への響き方がかなり変わってしまいますね。

大谷亮平 撮影=田浦ボン

大谷亮平 撮影=田浦ボン

――大谷さんは、レイチェルのどういうところにフランクが惹かれていくのだと思いますか。

レイチェルには、息子を一人で育てる母親としての強さの中に、もがき苦しんでいるところがあります。フランクはそれを目の当たりにして、「彼女を、命をかけてでも守りたい」と考えるようになっていく。職業をこえて気持ちが動いて、愛情が生まれるのだと思います。

――フランクはそこで、あくまでボディガードとしてプロフェッショナルに徹するべきか、それとも男女として近い関係であるべきか苦悩もしますよね。

そうですね。僕の解釈では、フランクは「プロに徹する」というより、「このままでは守りきれない」となって、一度距離を置こうとするのだと思います。

――なるほど

彼自身、過去に守りきれなかった人がいるという後悔を抱えている。二度とそれを繰り返さないために、レイチェルとの向き合い方を決断していく。台詞として「プロに徹するために」といった意味合いのものがあるのですが、彼女に魅了されて、本心からも守りたいと思ったからこそ身を引こうとするのだと、僕は考えています。

――まさにホイットニー・ヒューストン主題歌I Will Always Love You」の歌詞そのものですよね。愛する人を守る、というのは人間としてもっとも強い感情です。

フランクはボディガードという職業に就いているけど、レイチェルに対しては愛情が優っていく。実際にボディガードを仕事にしている人たちがどのような感情なのかは分かりませんが、どんな状況であれ「命をかけて誰かを守る」という気持ちそのものに変わりはないはず。

――大谷さんはそういった感情に駆られたことはありますか。

大切な人に対してそういう感情を抱くことは当然あると思いますし、僕の周りでも、たとえば「自分の命よりも子どもの方が大事」という人はたくさんいます。誰かを守る、というのはつまりそういうことなのかなって。

――最後に、大谷さんにとって今回の舞台でもっともポイントになりそうなところを教えていただけますか。

危険が近づく中でふたりのラブストーリーがどう進んでいくのか、そしてサスペンスがどのように展開していくのか。そこが重要だと捉えています。来日版を見たとき、歌などのショー的な部分ももちろん素晴らしかったのですが、やはりストーリーに引き込まれるものがありました。今回、ご覧になる方たちにいかに物語としての面白さを感じて頂けるか、それが大事。そこが弱いと入り込めないので、お芝居できっちり物語を伝えていきたいです。

ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版

ミュージカル『ボディガード』日本キャスト

取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン

大谷亮平 撮影=田浦ボン