入口を完全に封鎖しないためか、不自然に上部を空けて積まれたブロック石、その石に雑な文字で書かれたいたずら書き、鬱蒼(うっそう)と生い茂る草木、そしてどこへ続いているのか一切不明な漆黒の闇が広がる内部…。このトンネルの写真を見ているだけで、なんだか陰鬱な気持ちになってこないだろうか。

【写真を見る】閲覧注意…日本屈指の心霊スポット・旧犬鳴トンネルの内部、その恐怖の正体が明らかに<写真36点>

この不気味なトンネルこそが、日本屈指の心霊スポットとして知られる福岡県の「旧犬鳴トンネル」。トンネルの先には、日本政府の統治が及ばない、地図に載っていない集落「犬鳴村」があるとされ、付近で多数の霊の目撃例もあり、おもしろ半分で村に入った若いカップルが惨殺された…などなど、噂が絶えない“いわくつき”の超怖いスポットなのだ。7日より公開されている映画『犬鳴村』に登場する犬鳴トンネルに、恐怖に震えながら実際に足を運んでみた。

『呪怨』(03)や『輪廻』(06)で知られるJホラーの名匠・清水崇監督が手掛けた本作。霊感が強い臨床心理士の奏(三吉彩花)の周りで奇妙な出来事が次々に起こり始め、知人の女性がおかしくなり、奏の兄弟も失踪してしまう。そして、そのすべてに犬鳴トンネルが絡んでいること知った彼女は、謎を解決するために、トンネルの先の“村”へと足を踏み入れようとする…。

トンネルはもちろん、道路沿いにポツンと佇む電話ボックスや、実在した集落としての“犬鳴村”が沈んでいるとされる「犬鳴ダム」など、映画に登場するスポットはすべて実在していた。さらに、恐るおそる石の隙間からトンネル内部をのぞいてみると、ペットボトルやハンガーといった様々なゴミが散乱する無法地帯に。どうやら反対側も完全に石で塞がれているらしく、この先に村があるとは考えられないのだが…。

さらに奇妙なことに、トンネル付近数百メートルのみ各携帯会社の電波が圏外となり電波が遮断されるのだ。トンネル入り口にはなぜか折れ曲がったガードレールがそのまま放置され、使われなくなった家電も山中の至る所に投棄されている。そして、犬鳴峠の山道には「自己責任で」という文字が書かれた不安感をあおる案内板も…。

昼間でも薄暗く、周りの空気が止まったような独特の静寂さをたたえる旧犬鳴トンネル一帯だが、夜はまた格別。そこにいるだけで冷や汗が出はじめ、背筋にも寒気が。とにかく、一刻も早くこの場から離れたいという気持ちを抑えられなかった。

我々Movie Walker編集部は、なんとか無事に帰ることに成功した。さすが日本でも屈指の心霊スポットと言われる場所だけあって、その雰囲気は独特。厳しい山道をかき分けて進む必要があり、崖が崩れている部分もあるため、安全上はもちろんお勧めできない。しかし、もしこの場所に足を運びたいという人がいれば、どうか覚悟を決めて、自己責任で…。(Movie Walker・文/トライワークス)

『犬鳴村』の題材となっている旧犬鳴トンネルに実際に行ってみた…