NHK BSプレミアム東山紀之主演のBS時代劇「大岡越前5」(毎週金曜夜8:00-8:45)が放送されている。

【写真を見る】「大岡越前5」第6話(2月14日[金]放送)より

加藤剛さんが約30年にわたって演じ続けた大岡越前守忠相を、東山が引き継ぎ2013年に新シリーズがスタート。

第5シリーズとなる今回からは、2019年新春に放送されたスペシャルに登場した高橋光臣演じる伊生正武がレギュラーメンバーに加わっている。

今回、主演の東山と東山演じる大岡のライバルの北町奉行・伊生役の高橋にインタビューを実施。互いの印象や作品への思いを聞いた。

■ 東山「高橋くんが新しい風を吹かせてくれている」

――東山さんが主演を務める「大岡越前」シリーズも今回で第5弾になりました。第5シリーズが決まった時のお気持ちを教えてください。

東山:7年の間に5シリーズさせていただくことができて大変ありがたいことなのですが、やはり(2018年の第4シリーズまで忠相の父を演じていた)津川雅彦さんや加藤剛さんのことを思い出すのでちょっと切なさも感じますね。

“継承する”ということも大切だと思いますので、お二人の思いも引き継いでやっていきたいと思います。

今回は高橋くんが新しい風を吹かせてくれているので、役ではライバルという関係ではありますが、ドラマ性を高める上で大切な存在になってくれているので、新しい「大岡越前」に期待していただければと思います。

――2019年に放送されたスペシャルに続き、今シリーズからレギュラーメンバーとなった高橋さんはいかがでしょうか?

高橋:前回出演した時、僕が演じた伊生は勘定奉行だったのですが、今回は北町奉行ということで東山さんと格が並ぶ役。

自分には余る役だなと思ったのですが、時代劇をやらせていただく上で格上の役を演じることで成長できると思いますし、ありがたいことですので、とにかく全力で楽しみながら頑張りたいと思います。

■ 高橋「東山さんとご一緒したいとずっと思っていたんです」

――2019年に放送されたスペシャルでご共演されていましたが、その時の印象はいかがでしたか?

東山:高橋くんのことは京都で時代劇を頑張ってやっているということもあり、知っていたんです。スタジオに入ると高橋くんのポスターがバンと貼ってあって…。

高橋:うれしいですね。こんなうれしいことはないです!

東山:「この方と共演させていただくんだ」と大変うれしく思っていますね。

レギュラーメンバーはとてもいいメンバー揃っているんですが、そこに新しい風を吹かせてくれるかなと。

忠相も完璧な人間ではないですし、そういった意味ではお互いを高め合うことができる人が必要だなと思っていたんです。高橋くんの存在は“まさに”という感じですし、向かっている方向が同じでもアプローチの仕方が違うので、面白いなと感じました。

一緒の場面では緊張感のあるシーンが多く、“真剣勝負の場”という感じですが、役を離れると人間的に落ち着いた方で穏やかな空気を出してくださるので、非常に心地がいいですね。

高橋:僕もスタジオでお見掛けしていましたし、東山さんとご一緒したいとずっと思っていたんです。東山さんが走るのが大好きとお聞きして僕も京都の街を走り始めたり、東山さんの本を読んだり…。時代劇を愛していらっしゃる東山さんとご一緒できるということで、願っていれば(機会は)来るんだな…と思いました。

東山さんは現場で寡黙にされていることが多いのですが、現場を離れ、同心やスタッフさんと飲んだ時などはみんなのことを気遣いながらお酒を飲んでいらして、こんな一面もあるんだなと一ファンとしては思ったりしていました(笑)。

皆さん温かく迎えてくださったので、それに応えられるようにやっていきたいです。

――高橋さんにとって東山さんは憧れの存在ということですが…

東山:まあ、さっきちょっとお小遣いを渡していたので…(笑)。

時代劇の作品が減ってきている中でも時代劇に取り組んでいるというのはとても大切なことなので、高橋くんの存在は京都の人にとっても大きいと思います。

第5シリーズまで続くのは奇跡的だと思いますし、加藤さんがやっていらした約30年は大きい。この作品は僕が主演を務めるものではありますが、その時代を生きた人たちに加藤さんを思い出してもらえるような作品になればと思っています。そういった面で、チームとして高橋くんが協力してくれるのはとてもありがたいですね。

■ 東山「自分自身もきちっとしてないとこういう役どころは難しい」

――演じる役とご自身の共通点はありますか?

東山:撮影中は、忠相に寄ろうとしますね。ある程度自分自身もきちっとしてないとこういう役どころは難しいなと。べろんべろんに酔って裁きを申し渡すってねぇ…?

高橋:それも見てみたいですけどね(笑)。

東山:ある程度の説得力があるような生活態度はしなければいけないと思っています。だからといって堅くなりすぎず…という感じでしょうか。

普段から(この役に合わせて)走ったり、そういったアプローチは必要だなと思っているんです。僕はそういう方法で役にアプローチするのがあっているなと。

そして加藤剛さんも同じだったみたいですね。「大岡越前」をやると決まった時には家が近所だったということで、いろいろお話も伺いました。

高橋:僕が演じる伊生はスペシャル版ではあまり登場してこなかったので、役を新たに作っていかないといけないんですよね。

奉行ですから大岡忠相と対抗できるような役を作っていかないといけないので、そういう意味では僕も私生活から律するということは必要かなと。

奉行は相当な役職だから人格者でないといけないですし、プライベートでも気を付けてはいるのですが、なかなかつかめずにホテルでよく夜な夜な悩んだりしているんですけど…。

この間は初めて白洲のシーンの撮影があって、なかなか眠れなかったんです。朝食に買ったバナナを扇子に見立てて練習したりしたので、現場で扇子を使って座ったりとかしてみたのですがサラッと流されて…(笑)。そのくらい撮影は緊張しましたね。

白洲のシーンはやりたくてやれるものではなく、与えられて初めてやることができるもの。

東山さんがやられている白洲より時間的にはかなり短いですけど、白洲をできるというのは役者としてはかなり大きなことなので、私生活から意識することもありました。

――具体的には私生活でどのような点を気を付けているのでしょうか?

高橋:走ったりもしますね。また、僕が大好きな方のお見舞いに行ったとき、その方が帰りにエレベーターの前まで送ってくださり、さらに深々と頭を下げてくださったんです。

僕より年配の方なのですが、そういった姿を見て、僕も人と接するときはこういう人間でありたいなと思いました。

その時のことを日々意識しているので、それが役に繋がっていけばいいなと思っています。

――白洲のシーンはやっぱり特別な思いがあるのでしょうか?

東山:正座地獄ですからね、ダンサーとしては致命的なんですよ(笑)。

でも足がしびれていることを忘れるくらいみんな集中してやっていますね。

僕が善悪を決め、そこから人の人生が変わっていくという場面なので、物語のエネルギーを集約してやっています。

■ 高橋「人の心に寄り添う“大岡裁き”に触れていただきたい」

――先ほども役作りのことをお話しされていましたが、白洲の撮影を控えた前日は何か特別なことをされるのでしょうか?

東山:食事のタイミングからトレーニング方法までそれに合わせて変えていきますね。スポーツ選手が試合に臨む感覚と同じですね。

――今回のシリーズでは、忠相の父親としての一面も色濃く描かれていますよね。

7歳の求次郎という息子が登場しますが、この子が非常に自然体で面白いですね。津川さん(津川さんはこれまでのシリーズで忠相の父を演じていた)の遺伝子が強い役どころなので、その子を見ていると津川さんを思い出します。

また、僕自身も父親になったので、子供に対する父性はにじみ出てくるのではないかなと思います。

――最後にこのシリーズならではの魅力を教えてください。

東山:現代にあることを江戸に置き換えて…という作品ですが、昔あったことは今も起きるし、今起きていることは昔もあったことだなと感じました。結局、人間がそこで生活しているということは変わらないんですよね。

僕が特に印象に残ったのは、第4話(1月31日放送)の認知症のエピソード。今でこそ認知症という言葉がありますが、昔はよく分からない状態の中で周りの人も向き合わなければならなかっただろうし、そういった状況の中での家族の在り方というのは昔も今も課題になっていますよね。

忠相は最終的に裁きを下しますが、親の気持ちと子供の気持ち両方をくんで裁かなくてはならない。

第4話に限らず、人の気持ちをどう読み取っていくかは重要だと思っていて、なるべくみんなが幸せになれればいいなと思っています。もちろん犯罪は裁かなくてはいけませんが、色んなことが現代と繋がっているなと思います。

高橋:私の場合は加藤剛さんを直接は存じ上げないので、「大岡越前」というと東山さんのイメージがあります。

東山さんが加藤さんの意志を継いで新たな歴史を作っていかれているのを間近で見ることができるのはすごく幸せです。

また、この作品は現代にも通じることがたくさん描かれているので、多くの方に人の心に寄り添う“大岡裁き”に触れていただきたいです。現代を生きる方々に見てほしい時代劇ですね。(ザテレビジョン

NHK BSプレミアムで東山紀之主演の時代劇「大岡越前5」が放送中