2月1日にスタートしたドラマ「伝説のお母さん」(NHK)に、子育て世代からのブーイングが寄せられているようだ。前田の演じる“伝説の魔法使い”は8カ月の赤ん坊を育てる新米ママながら、夫婦で住む城下町には保育所に空きがないという、ファンタジーと現実世界が入り混じった物語となっている。

 その前田には国王から、復活した魔王を倒すために討伐の旅に出てほしいとの依頼が。そこで子育て担当課に相談すると「特例で申し込めば最優先で保育園に入れる」とのアドバイスを受けるが、困っているのは自分だけではないと断るという一幕も。そして伝説のパーティー再結成の祝賀会に参加するため、会社をクビになった夫に赤ん坊を託す場面も描かれていた。

「魔王討伐というミッションこそ突拍子もないですが、要は以前の職場から重要な案件への協力を頼まれた新米ママが、遠方の実家や夫には頼れず、子供の預け先に悩むという物語です。前田の置かれた状況に感情移入できるママもおり、夫の放った『俺、育児向いてない』とのセリフには《殺意覚える》といった反響も。しかし一方では《NHKは保育園に入れなかった我が家をバカにしているのか!?》といった批判も殺到。《NHKふざけんな!!》と激昂するママも少なくないのが実情です」(子育て中の女性誌ライター)

 本ドラマは18年に発売された同名のコミックが原作。RPG仕立てのストーリーはテレビゲーム世代のママたちにハマり、現在は続編がウェブ連載中だ。苦しい体験をあえて笑い飛ばしてデフォルメ化するのはコミックにおける常とう手段であり、「伝説のお母さん」も子育てRPGゲームを俯瞰する視点が秀逸。ママたちの支持を得るのも納得だろう。しかしそのコミックを実写ドラマ化したのが、そもそもの誤りだったとの指摘もあるという。

「コミックの実写化では常に、生々しくなりすぎるという問題にぶち当たるもの。《魔王討伐?大変ねえ》で済んでいたものが、実写ドラマだと《子育てママが魔王討伐なんてふざけるな!》になってしまうわけです。とくに本作では待機児童問題や子育てに非協力的な夫といったデリケートな社会問題を扱っており、ただ笑い飛ばせば済むという話ではありません。それゆえNHKに対して子育てママの辛さや苦しさを理解できていないとの怒りが湧くのも当然ですし、制作陣には待機児童問題などで苦しんでいる人がいないのではという疑念も生じてきますね」(前出・女性誌ライター)

 ひとつ言えるのは、これらの批判は主演の前田にぶつけられているわけではないということ。前田自身も11カ月の赤ん坊を抱えるママであり、原作が示す様々な子育て問題には共感を抱いているに違いないことだろう。

(白根麻子)

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