現代の医者が突然江戸時代にタイムスリップし、満足に医療器具がない時代で多くの命を助け、坂本龍馬らと交わりながら幕末の混乱を生きるという、TBS開局60周年記念のドラマ『JIN-仁-』。ナマナマしく描かれる幕末の情景や人々の暮らし、そして見えないストーリーの行く末に、毎週手に汗握っている人も多いはず。

その時代のどこかには自分たちの先祖もいるのかと思うと、主人公の仁先生のように、タイムスリップを経験してみたい......そんなことを思っていた矢先、まるでこのドラマとリンクしているかのような、タイムスリップ気分を味わえる1冊の本に出会いました。
 

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それは家系図を辿るためのノウハウ本『家系図を作って先祖を1000年たどる技術』(同文舘出版)。

私の場合、「我が家の先祖は武士だ」ということを親から聞いていますが、どこをどう辿ると武士にたどり着くのか、武士といってもどの位の身分だったのかは、きちんと調べたこともありません。でも代々の先祖がどんな人で、どんな暮らしをしていたのかが分かるなら知りたいなぁ。と、最初は軽い気持ちで読み始めました。

「ま、どうせ私は有名な家柄でもないだろうし」......と思いながらも、読み進めてみたらアラびっくり。

「自分の身体に、歴史上の有名人の血が流れている可能性は意外と高い」

そうなのです!

「自分の両親を1世代として、その上の世代にはそれぞれの両親で4人(例外除く)......と辿っていくと、27世代前(だいたい鎌倉時代ごろ)までには1億人の先祖がいた計算になります。そんなに大勢の先祖がいれば、歴史上の人物の血が入っていない可能性の方が低い」

そんな話を聞かされたら、もしかしたら自分の先祖も......なんて期待してしまいます。でも1000年も前の先祖が本当に調べられるのでしょうか?

「明治以降から現在までは、戸籍によって例外を除いては自分の直系のものであればほぼ確実に入手できます。一方、1000年ほど前の平安期も、家系重視の文化のおかげで信用度の高い系図集が残されています。

問題は平安期と幕末・明治~現在の間の数百年。この間を埋められれば1000年の家系図がつながるのですが、実際は信頼に足る資料が少ないのです。そのため、このポッカリ空いた数百年を地道に埋めていく作業が必要になるのですが、実はこれこそが、家系図以外の史料(年貢を納めさせるための「検知帳」など)から当時の人々の地位や職業、暮らしぶりをうかがうという、まるでその時代を旅行しているかのような作業なのです」

確かに、例として書かれている実際の先祖探しの話にも、直接の家系図は見つからなかったものの、土地の譲渡を申し出る嘆願書が見つかった事で、その先祖が沢山の土地を江戸に所有し、多くの職人を抱えていた羽振りの良い棟梁であったことが分かったのだとか。

思わずこの話を、『JIN-仁-』のドラマに出てくる江戸の街並みに重ね合わせてしまいました。

誰の先祖も、何かしらの生業を持ちながら日本のどこかで暮らしていたのですよね。もしかすると現代で仲の良い友人や恋人と、数世代前にも一緒のコミュニティに居たのかもしれません。

家系図を辿ることで先祖の歴史が見えてくる、ノンフィクションのタイムスリップミステリー。読んで想像するだけで鳥肌が立ちました。

実際に家系図を辿る作業は、インターネットで簡単に調べる方法から本格的に足で情報を得る方法まで同書に詳しく書かれてあります。

その気になれば誰でもトライ出来ますが、かなりの根気と時間が必要なようです。

知りたいけれど自分で辿るのは面倒という人は、著書の丸山学氏のような行政書士の中に、家系図の作成代行をしている人がいるそうですので相談してみて下さい。(普通は戸籍で辿れる分のみを作成するそうなので、1000年遡りたい場合は丸山氏にご相談を)


[1000年たどる家系図の作り方 丸山氏連絡窓口、フォトライブラリー]

Ricky